ソーシャルミッション
私が取り組む社会課題は、芸能関係者のメンタルヘルス不調の多さと、それに対する相談先の少なさの改善です。
芸能関係者のこうした問題は昨今の報道で注目度も高まってきていますが、実はまだ国内における芸能関係者へのメンタルヘルスの調査はほとんどないのが現状です。
海外だと、2017年にイギリスの音楽業界で働く人のメンタルヘルスについての大規模調査が行われた時には、ミュージシャンが生涯にうつやパニックアタックを経験する割合は一般の3倍になるという調査結果がありました。
もちろんこれがそのまま日本でも当てはまるかというとそうではありませんが、参考になる調査結果なのではないかと思っています。
私自身も、過去に10年ほど芸能活動をしていました。
その頃、人前に立つ不安や緊張や、SNSや周囲からの批評、見た目の維持・向上、人付き合いなど、悩みは無自覚のうちに多く抱えていました。ある時、初めて主演での舞台のオファーをいただけたのですが、様々なことが重なって限界が来てしまい降板しました。
当時本当に辛い気持ちを抱えていたのですが、長い間自分の状態や心の話ができる場所がなかったんです。身近な相手や同じ業界の人には話しづらく、一般的なカウンセリングルームなどは弱った状態から初見で飛び込むにはハードルが高く、当時の精神状態だと「芸能のことを話してもどうせわかってもらえない」と感じて、相談することができませんでした。自意識過剰ですが、万一自分のことを知っていたらどうしようとも感じました。
その後、本番で実力を発揮することを目的とした「メンタルトレーナー」の養成校に通い、2年かけてゆっくりと自分を取り戻し、ご縁があって主に俳優の方のサポートや講座をする機会をいただきました。そこで改めて、当時の自分と同じようにメンタルヘルス不調を抱えている方が想像よりも多くいることを知りました。肌感としては10人中4人くらいのイメージです。
私は日常生活を問題なく過ごせていることを前提としたメンタルトレーニングのお話しかできなかったので、生活や活動に支障が出てきている方のご相談に対して、何もできないという無力感もありました。
それから、働く人への心理カウンセリングを学びながら、この先をどうするべきか社会起業大学で考えました。
そういったこれまで培ってきた、芸能活動時の経験や、サポートの経験、心理の知識を生かして、「芸能に特化したメンタルサポートサービス」の運営を開始し、芸能やプロスポーツでの支援経験がある臨床心理士・公認心理師さん達とチームになって、主軸となるオンラインカウンセリングをはじめ、セミナーやトレーニング、役立つ情報の発信等を行っています。
私は当時不調になってからの心理相談のハードルの高さも強く感じていたので、パフォーマンスでの不安や緊張の改善、自己成長の為といったかたちで、気軽にご利用いただけるように工夫をしています。
2023年7月にサービスを開始し、約1年半経過した現在はご利用件数が300件を超え、さらなる増加が見込まれています。
また、個人だけでなく、芸能事務所や企業でのご利用もいただいています。
やはり自分がつくったサービスを誰かに利用してもらえるのはそれだけでとても嬉しいことです。また、自分がこんな風に使ってもらえたら嬉しいな、とイメージしていたように使っていただけたり、実際に活動に役に立っているというお声を聞くと本当に良かったなと感じます。
今後は、これまでのオンラインカウンセリングはもちろん、もっとご本人の所属する組織と連携をとった支援なども行っていきます。 例えば活動休止から復帰するときなど、事務所やマネージャーさん、周囲の方との協力体制がしっかりと機能することでよりよい活動復帰にしていけるので、近い未来はそういったこともメニューにしていく予定です。
自分の人生を棚卸しながら、しっかりと起業やビジネスの基本を学べたのが良かったです。また、卒業後もサポートしていただけたり、同期だった方とは今でも親交があり、時々情報交換したり、活動も励みになります。
自分の中に本気で抱える想いがあるのであれば、それをビジネスというかたちに落とし込むことで、誰かの人生も変わっていくのではないでしょうか。あとは、結構なんとかなります!一緒に頑張りましょう!
社会起業大学第25・26期生
窪田 茜さん
合同会社anchorage 代表社員
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アイディア出し・事業計画・マネタイズ...
これでならゼロから実践まで“着実”に進める