ソーシャルミッション
私が取り組んでいる社会課題は、若者が地域から流出する問題です。都心部に比べて魅力的な仕事が少なく、若者が安定して生活できる基盤が十分に整っていないことが課題と感じています。地域の活力を維持し発展させるためには、若い世代が地元にとどまり、または戻ってきて活躍できる環境を整えることが重要だと考えております。
都心からあきる野市に移住し、地域の多くの方々と出会ったことがきっかけでした。移住のきっかけは些細なものでしたが、地域の清掃活動や団体活動を通じて、多くの魅力的な方々と触れ合い、地域を愛するようになりました。その中で、若者が都心へ流出し、地域が衰退の危機にある現状を知り、この課題に取り組まなければならないという強い思いが芽生えました。
私が活動しているエリアは、あきる野市をはじめとする東京都の中山間地域です。
私たちは、東京都の中山間地域を「東京山側」と呼んでいます。東京山側は、東京都内にありながら国立公園を有する豊かな自然と歴史文化、そして独特の地理的特性を持つ地域です。また、都心から1時間程度でアクセスでき、世界的にも類を見ない高価値なフィールドです。この東京山側において、DXとプロジェクトマネジメントのスキルを活かし、以下のような事業に取り組んでいます。
まずは、システム構築・Web制作。私はITコンサルタントとしてキャリアを積んできましたが、プログラミングの経験もあるので、課題のコンサルティングから開発、運用保守までを一貫して対応しています。具体的には、板金加工業における製造工程可視化システムの開発や、商店街のHP制作などを行っています。
次に人材育成。東京山側の同志である株式会社東京山側DMCと、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科と連携し、多摩エリアにおけるイノベーション人材育成プロジェクトを開始しました。地域の自然・文化・歴史の本質的な価値を見抜き、事業化することができる人材の育成が目的です。私は、本プロジェクトにおけるディレクション業務を担っています。
それから、地域の新規事業である、高付加価値な観光サービス「アドベンチャートラベル」の推進。株式会社東京山側DMCと協働しているアドベンチャートラベル事業(ツアー造成、ガイド育成など)において、プロジェクトマネージャーとして活動しています。地域内外の多数の関係者と協働しているプロジェクトなので、スケジュール作成、進捗管理、収支管理など対応範囲が幅広く、苦労も多いですが、新産業の創出に向けて尽力しています。
また、あきる野青年会議所やあきる野市消防団といった地域団体にも所属しています。さらに、「東京山側地域課題解決会議」という活動を運営しています。障がいなどの社会的な領域で活動するNPOや市民団体の方のお悩み事を聞き、解決策をチームで実行する、というものです。このような地域への貢献も重要な活動です。
仲間とともに、地域の新産業創出に向けて活動するワクワク感があります。 また、地域から受けてきた恩恵を自分なりにかたちにして返していく。少しずつでも地域に貢献している。そのような実感が私の仕事の原動力になっています。
今後の展望は、東京山側を『大都市隣接×自然環境×デジタル』という特色を持つ唯一無二のエリアへと発展させ、魅力ある仕事を次々と創出することです。
地域の強みを活かした事業とデジタルテクノロジーのかけ合わせは、一つの解になります。例えば、アドベンチャートラベル事業においては、アドベンチャートラベルのツアー販売やガイド人材育成も大きな収益源になりますが、そこにデジタルテクノロジーを絡ませ、顧客体験の高度化とオペレーションの効率化を行うと、事業はより収益性の高いものになります。 地域には様々な問題がありますが、つまるところは地域の人材不足が原因です。収益力のある事業を生み出すことで、仕事が生まれ、若者が地域に住み続けることができるようになります。東京山側を、若者が住み続けたくなる、戻ってきたくなる魅力的な地域にしていくことが私の夢です。
自分の夢や想いについて本音で語り合い、高め合う仲間ができたことです。卒業から7年経つ今でも、シャキダイの仲間と定期的に集まっています。仕事としてプロジェクトをともに立ち上げることもありますし、実は、同じくあきる野市へ移住して地域活動を一緒に行っている同期もいます。
偶然の出会いや機会を大事にすることで、見えてくるものもあるかと思います。
もともと、私は「地域活性化をソーシャルミッションにしよう!」という強い志があったわけではありません。社会起業大学に入学したころの私は、自分が何をやりたいかよくわかっていませんでしたが、偶然あきる野市へ移住し、そこでまた偶然の出会いがあり、志をもって創業するにいたりました。
人生における明確な原体験と計画性をもった起業は素晴らしいと思いますが、私のような偶発性をもとにした起業も一つの形かと思います。
社会起業大学第16期生
足立 恭平 さん
株式会社東京山側デジタル推進機構(TYDI) 代表取締役
https://tydi.co.jp/
【無料オンライン動画プログラム】
社会起業家へのロードマップ
アイディア出し・事業計画・マネタイズ...
これでならゼロから実践まで“着実”に進める