日本初の社会起業に特化したビジネススクール社会起業大学。約600人輩出してきた卒業生は今、どんな活躍をしているのか。林浩喜学長が話を聞いた。第二弾は、アフリカのベナンでカフェ&ベーカリー他複数の事業を営む高須多明さん。
人口約1,100万人、西アフリカの小さな国ベナン。ここで、飲食業を営むのが高須多明さん(36)だ。内定した有名大学の進学を蹴り、人生を一度リセットした果てにたどり着いたアフリカの地で、高須さんが目指すものは何か?社会起業大学 学長の林が聞いた。
—これまでのキャリアについて教えてもらえますか?
教育に厳しい家庭環境で勉強のみに没頭し、有名私立中学に合格しました。しかし代償として人とのコミュニケーションの取り方を忘れてしまい、人間不信に陥っていました。早稲田大学の姉妹校で進学は推薦で決まっていたのですが、親の反対を押し切って進学を放棄しました。
—大学に行かずどうされていたんですか?
NGOや様々なバイトを経験しました。ある時、コンビニを経営していた父に「2号店を出すけれど、やってみるか?」と言われ、23歳の時に店長を経験。万引き・クレーム・廃棄など様々な問題がありましたが、お客様・従業員に愛情をもって接することで紡がれる絆が経営の基盤であることを強く実感しました。
—そこからどのようにアフリカにつながっていくのでしょうか?
小さな頃に何度も不思議な夢を見ました。それは焚き火を囲み手を上下に振りながらアフリカ人と踊っている夢です。「一度行ってみたらどう?」と友人の声をきっかけに導かれるようにベナンに到着した瞬間「ここで何かを成し遂げたい」と強く感じ、自分の事業のイメージを具体化するため、社会起業大学に入学しました。
—入学してみてどうでしたか?
社会起業大学には、ただ成功するためだけではなく、自分と向き合い心から湧き上がってくるビジネスプランを作り上げるプロセスと、なんでも話せる温かいコミュニティがありました。誰かの為に、社会の為に、と情熱を持って入学した仲間達は、深い部分まで語り合い、分かり合うことができ自分にとって居場所でした。
—アフリカではどのようにビジネスを展開していくのですか?
ベナンは仕事不足で、まず雇用創出が必要だと感じました。過去の経験を生かし飲食業を始めようと物件を探していた時、突然、有名カフェ&ベーカリーの事業譲渡の話が舞い込んできたのです。10社以上のコンペで資金不足もあり交渉は難航しましたが「これまでの想いを引き継ぎながら事業を成長させたい」という私達の想いが伝わり、ライバルの半額以下の提示金額にも関わらず、譲渡してもらえることになりました。
事業を営む上で大切にしたのは、愛をベースに「ローカライズ」することです。歴史上の出来事を鑑みても、先進国のやり方・考え方・価値観を絶対に押し付けてはいけない。当初は現地スタッフとぶつかってばかりでしたが、「舞台は日本ではない、ベナンなんだ」ということを体に染み込ませ、彼らのやり方・考え方・価値観を尊重しつつ、日本の良さを取り入れ、調和・融和していくということを意識し、経営しています。
—今後の展開を教えてください。
現在ウガンダで土地を取得しエコリゾート事業に着手しています。息を呑むほどの美しさの湖、雄大な山々に加え、色とりどりの鳥達が共生する豊かなエリアです。ここでは学校や病院、農業などを融合させた理想的なコミュニティを作っていく予定です。基本的に寂しがり屋なので、コミュニティを求めてしまうのかもしれません(笑)。社会起業大学で、1枚の紙に描いたコミュニティの絵。それがついに実現するステージに入ることにドキドキが止まりません(笑)
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