「SDGs 未来都市」岩手県 岩手町長 | 【公式】社会起業家を育成するソーシャルビジネススクール 社会起業大学

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日本初の社会起業に特化したビジネススクール社会起業大学。約600人輩出してきた卒業生は今、どんな活躍をしているのか。第5弾は岩手県岩手郡岩手町の町長佐々木光司さんだ。社起大OBOGとしては初の行政首長になられた佐々木さんに、令和3年3月の町議会が終了したばかりのタイミングで林浩喜学長が話を聞いた。
 

岩手町に生まれる→東京の大学を卒業→岩手町役場に就職→34年間の勤務→退職し社会起業大学へ→岩手町長選出馬→町長に→岩手町が内閣府「SDGs未来都市」に選ばれる
 

岩手町というところ

岩手県岩手郡岩手町という町をご存知だろうか?人口1.2万人強の地方都市であるが、県名、郡名、町名が一致するのは国内でこの岩手町だけである。東北新幹線のいわて沼宮内駅(ぬまくない)があり、町の誇りは東北一のキャベツ生産を中心とした農業、そして2人のオリンピアンを輩出した、町技ともいえるスポーツの陸上ホッケーである。話は変わるが昨年の夏に大ヒットした「岩手県岩手町のホップビール」をご記憶されている方もいるであろう。ホップを売りにするという切り口、三浦さんというホップ農家の演出、そしてその軽快なビター感覚に、すっかりハマってしまった。1本の缶ビールで岩手町への好奇心が一気に高まった。まさにこれぞブランディングだ。

東北一の生産を誇る岩手町のキャベツ畑

社起大にて

佐々木さんは、岩手町で石材業を営む地元企業経営者の長男として生まれた。東京の大学に進学したが、在学中は陶芸のサークルに入り、全霊を打ち込む日々であったという。卒業後は地元にUターンし、岩手町役場に就職。次第に町は人口減少、少子高齢化が深刻となり、さらに地域経済、地域資源は縮小して行った。佐々木さんは周囲から出馬への後押しがある機運の中で逡巡する。そして、57歳で役場を退職。「自分を立て直したい」「世の中のトレンドを知りたい」という強い思いから社起大に入学し、岩手町の新しい、持続可能なまちづくりのアイデアを練ることとなる。クラスメートとの真摯な討議、講師との真正面からの壁打ち、積極的な外部の人々との交流対話を経てついに覚悟を決める。「町長選に出馬する」、と。そして当時の現職町長との一騎打ちに。新人不利の下馬評を覆し、選挙戦に勝利する。

社会起業大学在学時のプレゼンテーションの様子

政策立案

現在の政策のベースは社起大時代の構想と教えが生かされている。トリプルボトムラインと名付けられた「SDGs姉妹都市構想への取組み」「町のブランディング」「シビックプライドの醸成」※といったものだ。実直で生真面目な素晴らしい町民のDNAを守りつつ、地元産品に付加価値をつけ外部への差別化のエッジをどう立ててゆくかが鍵となる。そして地域経済の縮小傾向に甘んじることなく、ヒトとモノとカネが大きなサークルを描いて循環して行けるような未来志向の町にしたいと佐々木さんは語る。その為にも人材育成には労を惜しまない覚悟でいる。

※シビックプライド/町に誇りを持ち、町の未来を町民自ら主体性を持って開くという精神

トリプルボトムラインの概念図

社会課題とビジネス

岩手町は多くの地方町村に共通である人口減少や少子高齢化という社会課題を抱える。特に若年層の流出は深刻である。そのような中で佐々木さんは社起大の“SEC METHOD”のお手本とも言えるようなプロセスを取られている。郷土愛の塊であるという「自分らしさ」を基軸に、放置すれば20年後には町の人口が半減し衰退してしまうという「社会課題」の解決に向け、地元の強み「農業」、「アート・ものづくり」、「健康・スポーツ」等に磨きをかけ、ブランディングするという。「ビジネス」視点で町の個性を際立たせ、規模にあった潤いのある町にしようというものだ。これは企業であれば当たり前の発想を行政に取り込むもので、まさに行政カテゴリーにおける社会起業でありソーシャルビジネスである。

石神の丘美術館 花とアートの森 西野康造《Harmony with the Breeze 2020》

社会起業を考える皆さんへのメッセージ

・社起大のモットーの1つでもある「動けばわかる」を実践すること
・様々な人々との「対話能力」を確立すること
・「情報発信能力」を上げ、世界レベルでのネットワーキングを構築すること
の3つをメッセージとして頂いた。社起大生だった当時57歳の佐々木さんが、壁を突破する為に机上で懊悩するだけでなく、ヒントを得るべく汗をかき奔走されていた姿をイメージし、当校のモットーでもある「動けばわかる」は真理だと改めて実感した次第だ。いつの日か公職を引退した後は、大学生時代に佐々木さんを虜にした陶芸を始めとする「アート&クラフト」を今度はビジネスで仕掛けたいという。もちろん素材は地元産品であり、そのプロデユースだ。みずからを“まちの魅力化プロデューサー”と言う佐々木さんの夢は尽きることがない。

岩手県岩手町長 佐々木 光司さん

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卒業生の紹介

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