大手製造メーカーエンジニアのシニア起業 | 【公式】社会起業家を育成するソーシャルビジネススクール 社会起業大学

【公式】社会起業家を育成するソーシャルビジネススクール 社会起業大学

日本初の社会起業に特化したビジネススクール社会起業大学。約600人輩出してきた卒業生は今、どんな活躍をしているのか。林浩喜学長が話を聞いた。第3弾は、50代後半になってから社会起業にチャレンジし省エネルギー診断を主軸として活躍する小野村一博さん。

小野村さんは日本有数の非金属素材メーカーで30年以上働いたのち、自らの技術や知見を生かして社会起業した。

エネルギー変換工学専攻(大学時代)→エネルギー管理士(サラリーマン時代)→社会起業大学→省エネ診断(起業)というプロセスだ。

社会起業家としての3要素

我々は社会起業家を、「自分らしさ」「社会課題」「ビジネス」の3要素を重ね合わせる※SECMETHOD(セックメソッド)というオリジナル手法で育成しているが、小野村さんの場合は以下のようになろう。

省エネルギー技術(自分らしさ)×気候危機(社会課題)×省エネルギー診断(ビジネス)

その社会起業に向かう軌跡は、本人は全く意図していなかったと言うが改めて振り返ると見事に一貫性がある。コネクティング・ドッツだ。まさに自分らしさ、強みを生かした起業である。社会起業大学も起業テーマを絞り込むにあたり、授業での学びやクラスメートとの忌憚なき対話の「場」としての重要な機能を果たした。

起業までの道のり

55歳の時、1年後が役職定年というタイミングを迎えた。多くの先輩社員がそのタイミングを過ぎて会社に残ったものの気力を失ってゆくのを目の当たりにしてきた小野村さんは、奥さんの理解も得られ早期退職の決断をする。

当時3.11の渦中で国や電力会社の出鱈目な対応に怒り心頭だった小野村さんは、その怒りをぶつけるべく社会起業大学の授業では常に噴火していた。そのような中である講師から「小野村さん、怒りの中からは良い仕事は生まれて来ませんよ」と思い掛けず指摘される。そしてその後の内省でその怒りが学生時代に父親から受けた押さえ付け、つまり権威に対する反発心から来たものだと気付く。この大事なポイントに気付いた後に、既に亡くなっていた父親と心中で和解し、エネルギー問題を怒りの対象でなく社会課題として捉え直すことができるようになった。

社会起業大学同期生とイベント企画の準備で

その後、社会起業大学通学と並行して週末を使い知人の紹介で出会った経営者のもとでサービスのテストを試みたが、ここで本気スイッチが入ることになる。その経営者から「週末起業くらいの感覚なら、私は協力できない」と厳しい叱咤を受けたのだ。本気でやるのなら覚悟を決めろ、ということだ。起業への想いと生活不安の間で悩みつつ週末起業を考えていたが、この言葉で小野村さんの肚は固まる。

計測したエネルギーデータを分析して省エネ提案する小野村さん

社会課題とビジネス

「エネルギーロス(資源のムダ使い)×中小企業の経費節減」がテーマであり中小企業を中心に仕事を請け負うのだが、当時の業界は無料診断が前提の時代だった。そこで報酬を得るのは大変なことであり、3年近く退職金を取り崩す生活が続いた。小野村さんの差別化のポイントは、なるべく顧客に財務負荷をかけない形での現場実測をベースとした省エネ診断であった。徐々にその価値と成果が認められ信用がついてきて環境省や埼玉県といった行政の認定を受け、事業は少しずつ軌道に乗っていった。

シニア起業を考える皆さんへのアドバイス

60歳になっていきなり起業の選択肢を考え始めたのでは遅すぎると小野村さんは指摘する。仮に60歳で退職し、起業を想定するのであれば50歳前後から準備し始め、できればその手前で起業するのが理想的だと。最も大事なポイントは「気力」だという。会社に残留し窓際となることで目標を見失い「気力」が萎えてしまうと致命的だという。そこからでは巻き返しが効かないと。

埼玉県主催の省エネセミナーで登壇する小野村さん(2019年3月)

現在そして将来

自分の得意なことで起業を果たし社会にも貢献し、小野村さんは今仕事が楽しいという。明確な自己ミッションを持ち、その実現に立ち向かう小野村さんは幸せ者である。
もちろん苦労はあるが自分の人生を生きているという実感が伴っているのだろう。最近は地球温暖化問題という大きな課題に危機感を持って他者と連携して取り組もうとしている。世界中の人々が本気で自分ごととしてこの問題に取り組まなければ、次世代の良き地球はなくなると真剣な顔で警鐘を鳴らす。

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卒業生の紹介

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