千葉県佐倉市にある補聴器事業と総合介護事業を営む会社で取締役管理室長として働いています。役割は経営から現場まで幅広くやっています。いわゆるなんでも屋さんです。高齢化が進み認知症が増えていく地域でも「一人ひとりが幸せに過ごせる社会」を目指しています。
障がい者就労支援の会社に勤めていました。
その中で障がい者雇用の現実について多くのことを学びました。学んだ内容は様々であり、嬉しかったこともあれば、悔しかったこともありました。
嬉しかったことは、
障がい者を積極的に雇用し働きやすい環境作りに一生懸命になっている会社がたくさんあると知ったことでした。こういう企業があるから障がいがあっても働く事が出来、障がい者の自立につながります。
一方で悔しかったことは、
一部の会社の人事担当者が障がい者のことを法定雇用率を満たすためのポイントとして捉えていたことです。
私も聴覚に障がいを持っているので、
心の中で、
「じゃ、俺はこの会社では竹本ではなく、2ポイントになるのか…」
と強く憤りを感じました。
そんな経験から、同じように障がいを持つ人たちが自分の強みを生かし生きがいを感じながら豊かに働けるような事業を創れないかと考えていました。その時はまだ事業のイメージが漠然としていました。
友人が以前に通っていたことを聞いていて、社会起業大学の名前は知っていました。それで実際無料体験授業に参加して、情報保障も対応してくれるということだったので、思い切って入学しました。
社会起業大学では、とにかく対話をしないと授業についていくことができません。そしてここには世代も職業も興味・関心も異なる人達が集まります。そんな中でもしっかりと相手に理解してもらうための伝え方や、逆に相手の言いたいことを丁寧に聴き取る方法、ともに気持ちよく建設的に議論をしていくためのコミュニケーション力を徹底的に磨くことができました。
また、講師からの厳しいフィードバックも心に残っています。
「本当にその人は幸せではない?竹本さんの思い込みじゃないの?」
「障がい者である自分のことを書いている。自分の頑固さや思考が壁になっている。」
「自分の思考の枠を乗り越えることが大事。それをやらないと独裁者になってしまうし、自分のエゴを押し付けてしまう。」
内面をえぐられるようで苦しさや大変さも感じていましたが、自分自身と向き合いながら、本当に社会にとって価値があるものは何かを深く考え整理していく力が身につきました。
その中で、
「障がい者が幸せになれるってどういうことだろう?」
と考えさせられました。
自分の経験を振り返ったり、様々な人とインタビューしている中で、一つの仮説にたどり着きました。
それは、
「地域を取り巻く環境に温かみがあると、その人の幸せにつながる」
という仮説です。
私達の一日の大半は学校と会社等があります。
残りは自分の家がある地域で生活することです。いくら会社や学校の環境が良くても、自分が住むところで気楽に楽しめないと充実したオフ時間を過ごすことが出来ないかもしれません。
近所に仲の良い人や障がいに理解のある店があれば、週末に空いた時間でも楽しく過ごすことができ、オフの時間を楽しむことができます。そういう意味では、学校、会社だけに限らず自分が住む地域の力も必要だと感じたんです。
社会起業大学で考えた仮説は今の事業の方針にも組み込んでいます。会社のビジョンとして、「一人一人が幸せに過ごせる地域を創る」ことを掲げ、昔のように隣から卵やしょうゆを借りることが出来る温かい関係性をつくり、障がいがある人に対しても気兼ねなく声をかけ合える地域にしていきたいと考えています。
まずは、経営に必要なコミュニケーション能力が身につくことです。
職場では、自分より経験が長く年齢も上の方もたくさんいますし、外国人の方もいます。認知症を患った入居者の方もいますし、介護に疲弊し本当に困り果てたご家族の方もいらっしゃいます。
現場においては、そういった様々な背景やご事情を持つ人たちと丁寧に話し合い、丁寧に合意を形成していくことで職場内でのチームワーク、そしてお客様との信頼関係を築いていくことが本当に大切になります。
しっかりと相手の話を受け止め、そしてしっかりと自分の主張をする。そういった真剣勝負のコミュニケーションの経験を積めるのが社会起業大学の魅力だと思います。
そして、何よりの魅力は、
徹底した対話とフィードバックだと思います。
なかなかこたえられない厳しい質問や自分の内面に突き刺さるような言葉は、
自分自身のビジョンを磨くために本当に役に立ちました。
こういう機会は普通に生活していたら得られなかったと思います。
最初は、障がいを持つ方への支援事業を考えていたのですが、在学中に状況が変わり、母が代表を務める会社を継承することにしました。
私の故郷である千葉県佐倉市では、急速に高齢化が進んでいます。その中でも認知症の高齢者のへの対応は喫緊の課題となっていました。
「佐倉市一認知症に強い介護事業所を作り、地元佐倉市に貢献していきたい」
そんな母の想いに心を動かされ、現在取締役管理室長として、デイサービスやサービス付き高齢者住宅、グループホームなどの小規模ながら7つの総合介護事業を営む事業に携わっています。
耳が聞こえにくくなったり、足腰が弱くなったり、物忘れが多くなったりする高齢者の支援は、私が社会起業大学で考えていた障がいがある人もない人も受け入れられる温かみのある地域の実現につながると考え、日々奮闘しています。
私自身障がいのある当事者として、率先して動くことにより聴覚障がい者に対するコミュニケーションの仕方や合理的配慮を地域に知ってもらえるようになりました。
例えば、高齢者に対し耳元で大きな声で話す方もいらっしゃいますが、本当は正面から話した方がいいんです。それは表情を見る事も大切なコミュニケーション手段です。それでも伝わらないのであれば、筆談をすればいい。それでも伝わらないのであれば、ジェスチャーでやればいい。一番大切なのは目と目を合わせることであり、その上で臨機応変に対応することです。私達も目と目を合わせないで耳元で大きな声で話しかけられたらイラっとしませんか(笑)
また、私が会社の代表として地域の会議に多く参加することがあります。最初は会議がある都度自治会や地域包括支援センターへ手話通訳者の用意を依頼していました。一部は、予算の都合で無理と断れました。しかし、今はお願いしなくても自然に手話通訳者を用意してくれ、断ってきた自治会も当たり前のように用意してくれるようになりました。また地域の人達が手話に興味を持ってくれるようになりました。当事者が動く事で地域が少しずつ変わってきています。考えるだけではなく、強い志をもってアクションを起こすことは大切だと感じています。
まずは、佐倉市で一番知症に強い介護事業所という目標を実現し、それを千葉県一、関東一、日本一と広げていき、それぞれの地域が幸せになれるようお手伝いしていきたいと考えています!
私は生まれ育ったこの町が大好きです。そして私を育ててくれたこの地域に感謝しています。
多くの高齢者の方や障がい者も、住み慣れたこの場所で、安心した暮らしをしていきたいと感じていらっしゃいます。
そんな想いを叶えられるよう、これからも頑張っていきたいと思います!
(聞き手:瀬田川 史典)
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