横須賀から世界で通用する格闘家を輩出する!
そんな想いを胸に、格闘技初の実業団制度を構築し、選手がしっかりと仕事を持ち生活への不安をなくして、思いっきり世界にチャレンジできる環境を提供しています。
また、格闘技アカデミーを運営し、プロ選手だけでなくダイエットを目的とした女性や地域の子どもたちまで、幅広い人に格闘技に親しんでもらえる場を提供しています。
「実は、霧の中を歩いているような気分だったんです…。」
新卒で入った飲食チェーンのFC本部から、横須賀で介護事業を営む会社に移り新規事業責任者として働いていました。介護事業×飲食の宅配サービスを企画したり、空きテナントを利用したスポーツ教室をつくったりと、新しいチャレンジがどんどん出来ることが楽しくて仕事に没頭していました。
当時は通勤の時間ももったいないぐらいで茅ケ崎の家に帰るのは月1回ほど。普段は会社の事務所にスペースを作ってそこに寝泊まりしているような状態でした。(笑)
しかし、会社でさまざまな事業をゼロから立ち上げる一方で、いつかは自分でビジネスをやってみたいという思いも強くなっていました。
そこで仕事のかたわら、自分なりに資格をとってみたり、お金をためてみたり、会社設立の本を読んでみたりと出来る準備をコツコツと進めていたんです。
それがある程度材料がそろってきたと思ったとき
「で、俺は何をしたいんだ??」
と行き詰ってしまいました。
具体的な事業のイメージが全く湧いてこなかったのです。
ドライブに例えるならば、車を用意して、ガソリンを満タンにし、荷物も積み込んだんだけど、どこに向かっていけばいいかわからないという状態でした。
そんな状態でしたので、これはどこかで学ぶしかないと思って様々なビジネススクールや学ぶ場をインターネットで検索していました
いろいろなところがあったのですが、社会起業大学だけが「Step1やりたいことを見つける」「Step2ビジネスプランをつくる」と2つのステップにわかれて学べるということが書いてあり「ここがあっているかな」と思って個別面談を申し込んだんです。
授業内容を説明してもらうための面談だったのですが、
「現状の自分で、何ができるか知りたい」と思い履歴書と職務経歴書を持っていったんです。
社会起業大学は長年転職の支援も行っているということで、丁寧に書類に目を通し私の話を聞いてくれました。
そして、「これだけの知識と経験を持っているなら、すぐにやらなきゃもったいない。山城さんなら必ずできますよ」と言ってくれたんです。
そのとき、
「ここなら安心してやっていけそうだな」
と思い、入学を決意しました。
「わかっているようで、わかっていない “自分”に気づけたこと」
それが一番大きかったと思っています。
社会起業大学には、年代も職業も違う様々な人が集まります。
そしてそんな多様な人とグループになり自分の人生全体を振り返ったり、自分のやりたいことを発表したりする授業が沢山あります。
そういう授業を繰り返していくと、自分では思ってもみなかった視点からフィードバックがあったり、自分が何気なく言ったことに喜んでもらったりするようなことが沢山あるんですね。
そのうちに、だんだんと自分のことが分かってくるんです。
入学前は、事業領域や商品・サービスをどうやって選んだらいいのかをぐるぐる考えていたのですが、結局はシンプルに自分の好きなこと、ワクワクすることに取組めばいいんだと思うようになりました。
そしてそのとき浮かんできたのが、
自分が学生時代からずっと続けていた
「格闘技」
でした。
自分の中では身近すぎて生活の一部のようになっていたのですが、ある授業のときに、
「なんだかんだいって格闘技ってずっと俺を支えてくれていたんだな」
と気づいたんです。
そして、この自分が好きな格闘技を軸にして事業を創ろうと本格的に調査とビジネスプラン作りに打ち込んでいきました。
選手の困りごとと、介護の困りごとを組み合わせた実業団制度を着想
格闘技業界が抱える大きな課題に、選手が働ける環境がない、セカンドキャリアが描けないということがあります。 世界で通用することを目指すトップ選手は、トレーニング時間の確保や試合が入ったときのスケジュール調整等が必要になるのですが通常の仕事をしていたらこれはとても難しいことです。なので、融通の利きやすい短期的なアルバイトに従事する選手が多いのです。そうすると格闘技を引退したあと、なんのスキルも身についておらずまともな生活が出来なくなってしまいます。
そんなこともあり、将来の生活を考えて夢を諦めてしまう人も多いという現状がありました。
一方で、私が勤めていた介護業界では、慢性的な人手不足を抱えていました。高齢化が進みサポートが必要な高齢者が増える一方で体力仕事でもある介護職を選択する若者は少なく、現場はいつもギリギリで回している状態でした。実際、介護職は今後30万人以上不足するとも言われています。
これらの課題を整理していたときに思いついたのが、
「実業団制度」
です。その仕組みはこうです。
選手にヘルパー2級の資格を取得させ介護事業者で働いてもらいます。普段から鍛えている格闘家にとって力仕事の多い介護職は向いていて、通常2人必要な介助が1人で出来たりします。人手不足にあえぐ介護事業者としてはとても助かります。
一方で選手たちは、トレーニングや試合を優先したシフト勤務をしてもらえます。しっかりと仕事をしながら安心して世界を目指してチャレンジすることができるのです。
このプランを磨き、社会起業大学が主催するビジネスコンテスト、ソーシャルビジネスグランプリ2015にチャレンジしました。
社会起業家の登竜門であるこのコンテストで格闘技家を育てるプランなんて認められるだろうかと思いましたが、多くの方に指示していただき、なんとグランプリを受賞することができました!
これで覚悟が決まり独立を決意しました。
格闘技アカデミーを設立し前述のとおり、プロ選手から女性、子どもまでたくさんの人に格闘技に親しんでもらえる場を提供しています。
全てを受け入れてくれる安心・安全な環境だと思います。
そういう環境があるからこそ、普段は言えない自分の本音を遠慮なく話せます。そうすると本当の意味で価値のあるフィードバックが返ってきます。そこでまた調べたり考えたりしたことを話して、フィードバックをもらって…。と、とてもいいサイクルが回り始めるんです。
するとどんどん余分なものがそぎ落とされて自分が研ぎ澄まされていくことを実感できるんです。
私には一つの後悔があります。
それは、お世話になった恩師鈴木先生に「ありがとうございました」と言えなかったことです。
鈴木先生は、私が格闘技を始めて間もない頃通っていた道場の先生でした。格闘技の楽しさに気づき、もっと強くなりたかった私が、先生に朝練習をお願いしたところ、先生は快く受け入れてくれました。
最初はちゃんと毎週行っていたのですが、まだ未熟だった私は、寝坊したりたまにサボったりするようになりました。 「もうさすがに先生いないかな」と思いつつ、久しぶりに早起きして道場に行ってみると、鈴木先生は必ず待っていてくれて、何も言わず稽古をつけてくれたんです。
そんなある日、
私は地元の小さな大会でたまたま優勝することができました。
その日道場で行われた祝賀会。普段は寡黙な鈴木先生が珍しくベロンベロンに酔っぱらっていました。
そして私のところに来て
「山城、がんばったな!先生、ほんっとに嬉しいぞ。よくやったな。」
って何度も何度も言ってくれたんです。
朝練習もさぼりがちだった私に対しても、常に真正面からむきあってくれ愛情を持って接してくれていた鈴木先生。私は言葉ではなくその先生の姿勢から、武道の心を学ばせてもらったと思います。
久しぶりに帰郷したとき、
ふとあの頃のことを思い出し道場を尋ねたら、道場は閉鎖し鈴木先生はすでに亡くなれていました。
今でも先生に一言、「あの時はありがとうございました」と言えなかったことを口惜しく思っています。
でも、だからこそ私は今の格闘技アカデミーを通じて、先生に教えてもらった武道の心を若い世代に伝えていくこと、お世話になった格闘技に恩返ししていくことが使命だと思っています。
武道の心を持った強くも優しい選手たちが増え、いつか世界チャンピオンを私の格闘技アカデミーから生み出したいです。
皆さん、
ぜひ応援してください!
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