私は東京の生まれなのですが、祖母の家があった静岡県三島市に孫ターンして、食の分野を中心に、地域の魅力を伝え、つないでいくお手伝いをしています。
具体的には静岡県最大規模の食べ歩きイベント「三島バル」を主宰、地域の個店の魅力を伝える仕組みづくりや、沼津市の内浦漁協食堂「いけすや」をはじめ、地域の食の現場に入り広報・マーケティングを中心としたコンサルティングなどを行なっています。また「三島LINK」という行政・学生・企業が繋がる地域のコミュニティづくりにも取り組んでいます。
「大好きな三島を元気にできるような事業を始めたい!」
そう思い飲み歩きイベント「三島バル」を企画していたタイミングでした。
静岡県三島市は、私の祖母の家があるところです。
私は東京生まれ東京育ち、就職も東京でしていたのですが、
ひょんな縁が重なり、祖母の家を改装して開店していた「おにぎりカフェ」の店長をすることになり三島市に移住することになりました。
東京に住んでいた頃は、学校と家の往復、就職したら職場と家の往復。そんな地域と触れ合わない毎日を送っていた私にとって初めて「地域」という存在に気付かせてくれたのが三島でした。
新参者の私を毎晩飲みに連れてってくれた地域の先輩たちは、酔っぱらいながらも、
「俺は、三島をこうしていきたいんだ!」
「三島はもっと変わんなきゃいかん!」
と熱く(暑苦しく!?)地域の未来を語っていました。
そして、その都度ごちそうしてくれるのですが、
「いいから、いいから(笑)。
でも若い子や新しい仲間に同じことしてやるんだ。
次に繋いでいくんだぞ!」
というのです。
初めて、
「あ、地域ってこういうことなんだ。」
と気づいたんです。
人と人が、想いと想いがつながって受け継がれていくこと、それがこの地域を創っている。そして私もその一員として迎え入れられた気がしました。
「私も、この三島という地域のためにもっと貢献できることをしていきたい。」
そんなふうに思うようになっていました。
ちょうどその頃、お世話になっていたNPOの視察ツアーで知った「函館バル街」という地域を活性化する飲み歩きイベントの存在を知り、これを三島でやりたい!といろいろと計画を練っていました。
同じくらいのタイミングで、内閣府の地域インターンシッププログラムが三島で開催されるということで受講をしたのですが、実はその時アドバイザーをしてくれたのが社会起業大学の講師の方だったんですね。 そしてその講師の方に「もっと具体的にブラッシュアップしたかったら社会起業大学にきませんか?」とお誘いを受けたんです。
最初は、わざわざ学校に通う必要はないかなと思って曖昧な返事をしていました。
でも、ある出来事をきっかけに、ここで本気でやってみようと思いました。
東日本大震災です。
自粛ムードと計画停電は三島にも大きな影響を与え、
飲食店の経営に大打撃を与えていました。店を開けてもお客さんが来ない日々…。停滞していく町をみて、
「絶対に三島バルの事業を成功させなきゃ。」
そう思い、学べることは何でも学んで少しでも成功の確率を高めようと思って入学を決意しました。
実は、授業はあんまり印象に残っていないのですが(笑)、何度も何度もプレゼンの練習をしたことは鮮明に覚えています。
社会起業大学には「ソーシャルビジネスグランプリ」というビジネスコンテストがあるのですが、私はこれにエントリーしていて、何度もプレゼン審査の機会がありました。
その審査に向けた練習のために、同期の仲間たちが毎晩のようにプレゼンを聞いてくれてフィードバックをくれたんです。当時、社会起業大学には畳の部屋があり、その部屋で夜通し語りあったのを覚えています。今振り返ると私塾か怪しい道場のようでしたね(笑)
「三島バル」の事業は、ビジネスモデルとしては前例があるためある程度イメージが持てていました。でもお店や商店会の協力、行政との調整など、非常に多くの人を巻き込んでいく必要があり、ただ事業計画を説明するだけでは足りなくて、その目的や想いに深く共感してもらうことが大切になります。
社会起業大学の仲間たちは、
「なぜやるの?」
「本気でやりきれるの?」
「その想いの根本ってどこにあるの?」
という想いを丁寧に聞いてくれ、
「その経験は絶対伝えた方がいいよ。」
「今の話し方、とってもわかりやすかった。」
とフィードバックをくれました。
そうやって、親身になってくれる仲間たちの想いは、
「これは、もう私一人の事業じゃない。みんなの想いを背負ってるんだ」
「どんなに大変でも絶対にやり遂げる!」
という揺るがない覚悟を私にくれました。
ビジネスコンテストは、皆のおかげでなんとかファイナリストとして選出され、数百人の前で私のプランを発表することができました。
ここでブレない覚悟と想いを伝えるプレゼンテーションを磨くことができた私は、その年、第1回の「三島バル」を開催、47店舗の協力と1200人の動員数を得て大成功を収めることができました。
東海道11番目の宿場町でもあり、数十年前はかなりの賑わいをみせていた三島。
「あの頃の賑わいが戻ったようだったよ。」
と地元のおばあちゃんに言われたときは、涙が出る想いでした。
その後「三島バル」は開催10回を数え、参加者4000人規模の静岡県最大級のバルイベントとなっています。
(2019年7月現在)
人の挑戦を自分のことのようにワクワクしながら応援してくれる仲間。
この存在が、本当に大きな魅力だと思います。
何かを挑戦するときって、
必ずといっていいほど、負の反動が来るんですね。
私も三島でバルを実現させようと活動していたとき、
「こんなときばっかりくるんじゃねー」
「なんでそんなことやんなきゃいけねーんだ」
と言われたり、信頼していたつもりの人からFacebookの友達から削除されたりもしました。(涙)
そんな時は、落ち込んだりもうやめちゃおうかなって思ったりした時もありましたが、
私の挑戦を自分のことのように一緒にワクワクしてくれて応援してくれた仲間、
彼らが気づかせてくれた想いと覚悟が私を後押ししてくれたんです。
そして、これは卒業してから感じたことですが、
「脈々と紡がれている、緩いつながり」にも価値があると思います。
毎月のように会って何かを一緒にやることは少ないですが、同期だけじゃなくて前の卒業生や、新しく入学する現役生たちとのつながりがずっと紡がれていて、いざというときに手伝ってくれたり一緒に何かできたりする。
そんな繋がりが、とてもありがたいなって思っています。
先輩たちも含め、いつかは自分たちもこの地域からいなくなる時が必ずやってくる。でも私たちが先輩たちからもらったように「次の世代へ想いがつながっていく地域」がつくれたらと思っています。
だから今一番力を入れているのは、人がつながって、特に若い世代の人たちがやりたいことにチャレンジできる場づくりです。
自分がやりたいことを声に出すことができる場って、意外とないんですよね。そして声に出してもそれを誰かが応援する仕組みっていうのもないんです。
私が住むこの地域が、次の時代にもつながっていくためには、若い新しいプレーヤーたちが活躍していくことが不可欠です。
私が、単身三島に行き、未経験から「三島バル」をはじめとした事業を軌道に乗せることができたのは、地域で私のことを応援してくれた先輩や仲間、そして私の挑戦を自分のことのように一緒にワクワクしてくれて手伝ってくれた社会起業大学の仲間に出会えたからです。
だから私は今、次の世代にそういう仕組みを残していければと思っています。
それが私なりの恩返しだから。
私を成長させてくれたこの地域のために、
私の挑戦を応援してくれた人たちのために、
これからも頑張っていきたいと思います。
皆さん、ぜひ三島に来てください!
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