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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
このROCKY通信では、僕が社会起業家の育成・支援に携わっている中での経験や僕自身の人生での学びや考えをシェアさせていただいています。
皆様の起業のお役に立てられましたら幸いです。
メディア報道によると、コロナ禍の影響で出生数の減少が加速しているそうだ。統計値では今年2022年度で初めて80万人を下割れするという。因果関係はよくわからないが、結婚や妊娠が減ったそうだ。既婚未婚にかかわらず、就労者の自宅滞在時間が増えていたことから、出生数が増えるのではと思っていたが事実は逆らしい。前年同期比でも5%下回っており、今後もその傾向は継続するかもしれないと示唆していた。人口減ともリンクしており、1億人を切る時期も想定されている2050年よりも早まるそうだ。
どこの行政の将来方針を見ても、人口減少対策が目につく。国家をあげての問題なのだから当然なのかもしれない。東京のような継続的な人口流入都市は最低出生率(事実だが)でも心配ないのだろうが、殆どの市町村では高齢化問題とセットで第一社会課題とされている。そこで示されているソリューションは、移住、関係人口創出等と子供を育てやすい環境の整備といった似た内容だ。地域にとっては死活問題だから優先課題になるのはわかる。
しかし国全体で俯瞰すれば社会人口の増減は、ゼロサムゲームであり、どこかが社会人口増に成功すれば違うどこかで人口減が起きてしまうということになり根本解決にはならない。そうなれば自然増つまり出生数をどうやって伸ばすかということに意識が向くことになる。
そもそもなぜ子供が減ったらいけないのだろうか?
全体論でいうと経済の問題に行き着く。
少子化→生産人口の減少→経済成長のマイナス化→税収減→国家運営支障
というのがメインのフローだ。国の為ひいては国民の為ということなのだが、未来の国家ビジョンが国民に腹落ちしていないのに(存在していない?)、この停滞感の充満する国情の中で若者に子作りを強いるとすれば、それは筋違いな気がする。出産しやすい環境整備はするにせよ、それ以外の優先的選択肢を考えてゆかねばならない。
まず今後は出生数、率の減少を前提とした国家運営を標榜するしかないと思う。基本、企業経営における人手不足の対策と構造はそう変わらない。成熟期から衰退期に突入した企業が損益分岐点を下げつつ、新たなヒット商品・サービスづくりの機会を伺うように。
言い尽くされた内容だが、就労人口、それも20〜30代のコアとなる就労人口の空いた穴を埋めるには移民政策、シニア層および産後女性の就労環境整備、ロボット・AIの導入などで補うしかない。産業構造を変化させる、そして超収益性が高く、人手もかからないスーパー産業でも生み出せるのでなければ。
僕はそんな時代でも気は持ちようで、希望は持てると思う。
国家に盛衰はつきものだ。歴史が証明している。企業と同じく右肩上がりの永続的な成長はあり得ない。だからこそ時代や環境の変化に揺さぶられない為にも、今こそ「個の確立」が大事なのだ。ソーシャルミッションを右手に、ビジョンを左手に持って歩んでゆくことがより大切になって来たのだ。現状を必要以上に悲観せず肯定的に捉え、新たな幸福の形を国家と国民一人一人で探せば良いと思う。