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【 ROCKY通信 】第87回  恋愛論 エディット・ピアフ 2

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いつもメールマガジンをお読みいただきありがとうございます。

社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
 

このROCKY通信では、僕が社会起業家の育成・支援に携わっている中での経験や僕自身の人生での学びや考えをシェアさせていただいています。
皆様の起業のお役に立てられましたら幸いです。
 
 

【 ROCKY通信 】第87回  恋愛論 エディット・ピアフ 2

 

『ピアフ 愛の手紙 あなたのためのあたし』平凡社

 

今日は、読んでいる方がとろけてしまいそうになる2人の未公開往復書簡「Moi pour Toi あなたのための私」について書きたい。酸いも辛いも知った大人なのに、あまりの純粋さに打たれてしまった。そう、これはもはや純文学なのだ。偶然にもニューヨークで出会ってしまったフランス人の2人、ピアフはニューヨーク公演のためにセルダンは試合のために滞在していた。寂しさも手伝ってか、お互いに惹かれ合うのにそれほど時間はかからなかった。そしてセルダンが非業の事故死を迎えるまでの2年間の人生をかけた純愛物語。1940年代半ばのフランスをというより世界を代表する歌手とボクサー。セルダンは僕と同じミドル級だったこともあり親近感も感じた。この2人が世間の好奇心やメディアの攻撃に晒されながらも、貫き通した珠玉の物語なのだ。 

 

公の場でのピアフとセルダン

 

その関係性はまるでジョン・レノンとオノ・ヨーコのようでもある。世間的には不実でありながら2人は人間として心底尊敬し合い、愛し合い、お互いを高め合った。そしてピアフはセルダンのためだけに生きるようになる。自分の方がより多忙なのにも関わらず、全てのスケジュールをセルダンに合わせ、一瞬でも一緒に居られる時間を長くしようと努めた。セルダンも同じだ。ピアフ無しでは生きていけなくなった。互いの仕事が重なって離れ離れになった時は共に狂おしいまでの熱情が湧き起こり、その裏では孤独との闘いが生じていた。Eメールの無い当時、結果として止むに止まれずこの往復書簡となった次第だ。セルダンの死の直前のほんの半年間の出来事。読んでいるとまるで中学生の恋愛のように思えてくる。 

 

トレーニングの合間に大好きな漫画を読むセルダン

 

話は逸れるが、ピアフがセルダンを想って書き上げたという20世紀を代表する名曲「愛の讃歌」は、ラストステージまで歌い続けた。何だか、ちあきなおみの「喝采」のストーリーも思い出してしまう。

 

いつか人生が、私からあなたを引き離しても
あなたが死んでしまっても、私から遠ざかってしまっても
あなたが私を愛してくれるなら どうでもいいの
この私だって いつか死んでしまうのだから

 

では2人が書いた手紙のほんの一部分をそれぞれご紹介したい。

 

ピアフ→セルダン昨夜眠る前にカレンダーの日にちに線を引いて消したの。あなたからの電報を2通受け取ったから、トレーニングは順調だって分かったわ。だから私の精神的な重荷が1つ軽くなった。あなた調子はどう?元気よね!あたしは淋しさに負けないようにしてるけど、とっても辛いわ。あなたが居てくれること以外は、何も望んでいない。身体に気をつけてね。あなたはアメリカ人とフランス人の両方をアッと言わせなくっちゃいけないのだから。1ヶ月後がどんなに待ち遠しいか、あなたには分からないでしょうね!!!シーツに残るあなたの匂い、私の身体はあなたの手の温もりを感じているわ。飾ってある何枚かのあなたの写真は、まるであたしをじっと見つめているようね。愛しているわ、あたしの熱愛する可愛い人、あなたを愛しているわ。早く戻ってきて、愛してる、愛してる、愛してる。あたしより。

 

セルダン→ピアフ今日は土曜日だから手紙は届かない。僕は試合の日とパリへの帰還の日を待ち焦がれている。本当にダメだ、早く飛行機に乗りたいな。今は試合までの日数も数えていない。僕、それさえ出来ないんだ。でもね、きみと離れ離れの日数を数えることだけはしている。そうだよ、シェリー(ピアフにつけたあだ名)、きみといる日のことしか考えないし、思い描いていない。1週間後には、君の元へと向かう飛行機の中にいるさ。心を込めて君にキスを贈るよ。そして強くきみを抱きしめる。ああ、きみを苦しめるくらい、狂ったようにきみを愛している。きみを熱愛している。シェリー、きみが恋しくて僕は参っている。ぼく。

 

この書簡集はこの様な調子の手紙のやり取りがずっと続く。魂をこすり合わせるような恋愛。肉体的には別々であっても2人の魂は一体化していたかのようだ。この手の恋愛は一般的には長続きしないパターンで、どちらかに負担になるか飽きが来るかして別れがくることが多いのだが、この2人は違った。

 

ピアフは告白する。「私の場合には、愛されたいという願望が病的と思えるほど激しいのです。自分のことを美人でもなく、誰からも相手にされず、しかも人に好かれる魅力のない女だと決め込んでいただけに、その思いがひとしおだったのかもしれません」セルダンと出会うまでの激しい男性遍歴、その出会いによって汚れた過去は浄化され真の愛を知った。セルダン無しでは生きられなくなったのだ。セルダンの事故死後、あまりに大きすぎたショックからピアフは薬物に頼り再び男性遍歴を繰り返してしまう。そして47歳の死床で最期の告白をした際に訴えたのは、「この女は多くを愛したから、その多くの罪は赦されているのである」というもの。イエス・キリストがマグダラのマリア※に言った御言葉だ。ピアフは自らを似た境遇の人生を送ったマグラダのマリアに重ね合わせたのだ。

 

「マルセル・セルダンが私の人生を変えたのです」セルダンは信心深いピアフにとり、生けるキリストだったのだ。

  

1963年に死を迎えるまで歌い続けた「愛の讃歌」

 

※マグダラのマリアイエス・キリストの母マリアとは別人。娼婦の過去をもち罪深き女として半生を送ったが、キリストとの出会いを経て信仰に目覚め、キリストを無上に慕い彼の死、復活を見守り最後は聖人に名を連ねることとなった。

 

参考図書 『愛の手紙 あなたのためのあたし』エディット・ピアフ マルセル・セルダン 平凡社 大野修平 訳