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【 ROCKY通信 】第80回 本業を通じた社会課題の解決

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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
 

このROCKY通信では、僕が社会起業家の育成・支援に携わっている中での経験や僕自身の人生での学びや考えをシェアさせていただいています。
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【 ROCKY通信 】第80回 本業を通じた社会課題の解決

 

9/8(水)に仲浩史教授にお越しいただき盛況に終えた学長特別対談

 

先週、東京大学のシンクタンク「未来ビジョン研究センター」の仲浩史教授に特別セミナーへお越しいただき「日本企業の本業を通じた社会課題の解決」と題してトークセッションを行なった。この度は仲教授の研究へのご協力という形で行われ、かなり高度な内容だったにもかかわらず、仲教授と参加者のやりとりは尻上がりに盛り上がり、最後は参加者の皆さんの発言時間が取れないくらいであった。仲教授からも研究材料のネタがたくさん得られたと喜んで頂けた。 

 

渋沢栄一翁(深谷市HPより)

 

まず仲教授が冒頭で語られたのは、今後日本企業に必要とされる「公益性のある企業」という概念は明治期に既に渋沢栄一によって確立されており、そのDNAは企業内に残存していること、そしてこれからそのDNAを再活性化しなければならないということだった。ここ数年、明治の偉人として大ブレークしている渋沢栄一のお話を熱く語られた。そしてその文脈を通じて、日本の企業が今後どういう道筋を歩んで公益性のある企業になってゆくのか?という論点を、具体的な形で示され参加者と議論を深められた。

 

仲教授の言われたかったことの骨子は、上記のDNAを活性化することで本業を通じた社会課題の解決に向かうことができるというもの。ESGやSDGsの本格定着による市場の変化に伴い、経営環境も変化している。そしてそのDNAを活性化するには、以下5点が必要であると。

 

1. 短期志向→長期志向

2. 利益重視→統合志向

3. 株主重視→ステークホルダー重視

4. リスク回避志向→適切なリスクアペタイト

5. サラリーマン社長→強いガバナンス

 

相当高度な内容を分かり易く噛み砕いてお話して下さったが、その裏には大胆な主張、メッセージが秘されていたことである。一例を挙げると、2や5と関係してくるのだが「有価証券報告書の枕は、CEO自らが自分のコトバで書き示せ」というもの。良い企業、良くなる企業は例外なくCEOが自ら筆を取っているそうだ。それをもって投資家を含めたステークホルダーに自分の言葉で進路を示すと共に、何より最も大事な社員も鼓舞することが出来ると。

 

恥ずかしながら、今回僕は仲教授から聞いて初めて統合報告書※1という言葉を知った。有価証券報告書といえばお決まりの財務諸表と3ヶ年中計が定番だが、今後はそれだけではダメだと。財務諸表は過去を示すもので、大事なのは当該企業の未来像とそのルートマップだと。それを非財務情報としてビジネスモデル、経営戦略、ソーシャルインパクトのKPIで示せと。そのためには本業の将来像、社会貢献(ESG、SDGs)、ソーシャルインパクトといった内容が社内で徹底的に議論される必要であり、そのプロセスが肝だという事なのだろう。

 

今後ますます世界の機関投資家は公益性を加味して投資するし、消費者も物品・サービスの購買動機にその要素も入ってくるであろうという予測だ。さらに統合報告書は、社内における経営戦略や社会貢献に関する議論のプロセスまでも示すべきというスタンスだという。そこまで求めるか?と言う気持ちにもなったが、経営者というのはそれぐらいの覚悟を持って事業に臨むべきであり、その責任を一手に引き受けろという強いメッセージを感じた。本業を通じて社会貢献するというのはそういうことなのだ。

 

仲教授のお話を聞きながら、「自社のDNAを再活性化し、本業を通じた社会課題の解決」というのは、まさに社起大の提唱する「ソーシャルミッション※2」そのものだと大きく腹落ちした。個人にとりソーシャルミッションが最も大切であるように、企業にとってもソーシャルミッションが不可欠な概念であることを新たに認識した次第である。

 

※1 統合報告書

有価証券報告書における非財務情報に関する重要事項で、未来志向で自社の価値創造ストーリーを明記したもの

 

※2 ソーシャルミッション

社起大で最も重要な概念で「自分の強みや価値観を生かして果たす社会的使命」今回の場合、自分→自社と置き換えればそのまま意味が通る。

 

 

 


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