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【 ROCKY通信 】第59回 宇沢弘文 その1

メールマガジンご購読者の皆様
 

いつもメールマガジンをお読みいただきありがとうございます。

社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
 

このROCKY通信では、僕が社会起業家の育成・支援に携わっている中での経験や僕自身の人生での学びや考えをシェアさせていただいています。
皆様の起業のお役に立てられましたら幸いです。
 
 

【 ROCKY通信 】第59回 宇沢弘文 その1

 

宇沢弘文さん

2005年頃だったであろうか。渋谷のスクランブル交差点で信号待ちをしている時に素敵な老夫婦をお見かけした。“ヒトWATCHER”なので、何となく気になって後ろから眺めていた。
長身痩躯のおじいさんは、いやおじいさんという言葉は当てはまらない。年齢は多分70代後半くらいでいらしたと思うが、凛とした知的威厳があり、強い存在感を感じた。隣にいるおばあさん、こちらもお婆さんというにはあまりに愛らしく知的であり、無言ながら2人揃って夫唱婦随という雰囲気を醸し出していた。
おじいさんはベレー帽をかぶり、真っ白な髭を胸元までたくわえ、リュックにスニーカー。お婆さんもベレー帽にリュックにスニーカーだったと思う。なんて素敵なご夫婦なのだろうと感じつつ眺めていた。老夫婦は当時の僕の会社があった方向と同じ方向に向かって歩かれた。言葉は交わされていなかったが、お2人からは通常の夫婦というより同志というような感じが伝わってきた。
僕は通勤路をご夫婦の10Mくらい後を歩いた。僕が先に本社に着いてしまい、その老夫婦はさらに先に歩いてゆかれた。直感でおじいさんは文士か芸術家だと思った。「自由」の空気を感じたからだ。独立自尊のオーラのようなものも感じた。

 

それから半年くらいの間に3度くらい近所でお見かけし、最後は神泉駅改札で偶然お2人と遭遇した。そして前回と同じように当時の本社の方向に向かって、僕は10M後を追うような形で歩いた。ついに我慢しきれなくなり、お2人に追いつきそして口火を切った。
「時々近所でお見かけするのですが、とても素敵なご夫婦ですね」的なことを言った気がする。そして僭越ながら仕事も含めた簡単な自己紹介をして、他愛もない雑談をしながら歩いた。
おじいさんは「アメリカにいた時は、朝食はよくベーグルを食べていましたよ」と笑顔でおっしゃった。(当時僕はベーグル屋だった)会社の前でお別れし「ここで仕事しています」とお伝えすると、「宇沢と言います。すぐこの先に住んでいます」とだけ言われた。 

 

宇沢弘文氏の書籍3冊

 

それから数ヶ月後、日経新聞の私の履歴書におじいさんが出ていた。そこには宇沢弘文と書かれていた。その時初めて高名な経済学者だということを知った。日本人初のノーベル経済学賞の候補になっていたことも知った。記事を読んで、なぜ僕がおじいさんに惹かれたのかよく分かった。卓越した経済学者ということ以上に、おじいさんの生き様が琴線に触れたからだ。
きっとご自身の自由や尊厳を守るために、そして地球環境や社会的弱者のために闘いの人生を歩んでこられたのであろう。その根底には人道主義、公共心、倫理観を持っておられたこともわかった。
経営学、MBAが時代の主流だった30代の当時、不勉強だったとはいえ経済学部卒でありながらその意味をあまり感じられなくなっていた。そんな自分に改めて経済学の持つ意味、意義、役割について著書を通じて教えて頂いた。

 

その後会社を引っ越すことになり、宇沢さんとお会いすることもなくなった。しばらくしてお亡くなりになったことをネットニュースで知った。とても残念だった。もう一度お会いしたかった。結局お話しできたのは1度きり。
しかし僕の中ではまさに一期一会の出来事だった。ひょっとすると僕がソーシャル文脈に徐々に関心を持ち始める遠因をつくってくれたのは、宇沢さんだったのかもしれない。

 
 

◆ 編集後記 ◆

松山英樹というプロゴルファーが、マスターズで優勝したという話をネットニュースで知りました。とんでもない快挙らしく、日本のレジェンドゴルファーたちが皆涙したと言います。

ここのところボクシングの井上尚弥、テニスの大坂なおみ、スケートの羽生結弦、卓球の伊藤美誠などなど、これまで日本人が得意としてこなかった個人競技での世界トップ戴冠を見られるようになりました。本来はその実力があっても本番で萎縮してしまって栄冠を逃すことが多かった日本人アスリートですが、ここ一番のメンタルが備わってきたと言って良いのでしょう。

共通点はスタートが早いこと、青少年期から海外で他流試合を経験していること、有能なコーチ、トレーナーがいることなどもあるでしょう。でもそれ以上に本番で力を出し切るメンタルは別モノのような気がします。これからはスポーツ界だけでなくビジネスの世界でも、若い日本の人々が大活躍する日もそう遠くないことでしょう。

 

さあ今日も拳を上げて前進だ!