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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
このROCKY通信では、僕が社会起業家の育成・支援に携わっている中での経験や僕自身の人生での学びや考えをシェアさせていただいています。
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60年代、70年代を代表する実力派ロックバンド、“ザ・バンド”の「ONCE WERE BROTHERS かつて僕らは兄弟だった」を見てきた。ずっと気になっていたが何とか最終日に滑り込んだ。20代の若手監督を練達のマーチン・スコセッシがサポートした映画というだけでも興味深いが、ゲストがまた豪華でボブ・ディラン、エリック・クラプトン、ジョージ・ハリスン、ジョニ・ミッチェル、ブルース・スプリングスティーン、ピーター・ガブリエルand so on. . . フリーク的には狂喜の限りだが、ポイントは多くの偉大なるそれらミュージシャンがザ・バンドをいかに尊敬し影響を受けたかというもの。それは「本物は本物を知る」という深遠な世界だ。しかしクラプトンが、ザ・バンドのメンバーになりたくて伝説のバンド”クリーム“を辞めたという逸話、初耳でビックリ!しかも加入させてもらえなかったとは。
バンド結成の背景から解散までの過程、バンド名の由来、1978年のロック映画の金字塔“ラストワルツ”の制作経緯、個々のメンバーのパーソナルヒストリー、そしてバンドメンバーが共有した濃密な時間とそこから生まれた楽曲群。リーダーのロビーロバートソンの自叙伝がベースになっている映画らしいので、彼の目を通じた暖かくも赤裸々なバンドビストリーだ。ドラマチックなストーリーとともに素晴らしい音楽が堪能できる見応えのある内容だ。
どんな偉大なグループも、外からは伺い知れない人間ドラマがあるものだ。今より個が強く発露されていたその時代では、名の知れたバンドも微妙なバランスの上に成り立っていた。上り調子の時はそれらを勢いで隠すことができるが、いったん下り坂に入ると全てがマイナスに働いてしまい最後は解散へと向かう。これはバンドに限らずどのような組織にも当てはまることかもしれない。頭のいいロビー・ロバートソンは、それを予見できたのだろう。そして崩壊する前に、寸止めでバンドを解散させたのだ。インタビューの中では、ツアー続きで疲弊したのが原因だったからと言っていたが、、、確執を噂されていた中核メンバーだった故リヴォン・ヘルムの悪口らしきことを一言も言わなかったのはせめてもの救いだった。
バンドメンバーは現時点で5人中2人が存命。1人1人が音楽的にプロフェッショナルで個性も持ち味も異なる5人がたまたま出会い、ウッドストックのピンク色の一軒家で共同生活(というより合宿!)しながら理想の音楽作りに没頭した。貧しくも大いなる夢に向かって、心から信頼する仲間とともに。映画のタイトルはこの時期のことを指しているのだろう。
忌野清志郎が生前言っていたことを思い出した。彼もバンドという形にこだわった。RCサクセションを率いて国内TOPに登りつめたときも、タイマーズの時も。そのカリスマとソングメーキング力を持ってすればソロでやった方が楽だし、実入りも良くなったはずなのだが、「俺はバンドじゃなきゃダメなんだ。」「俺はバンドが好きなんだ」と言っていた。アルバム制作やコンサートツアーといったゴールに向かうプロセスに、きっとソロには無い魅力があるのだろう。実は僕もつねづね会社はバンドと同じだと思っている。会社というバンドが好きだ。特に創業期の。
ザ・バンドの映画、“ラストワルツ”を大学時代に見た時は、正直あまりピンと来ませんでした。非常に評判が良かったので、当時VHSビデオをわざわざダビングしてもらって見たのですが、何だか老成した、熟練した、若いのにいぶし銀のようなバンドだな〜という印象。通好みすぎて一般受けはしないだろ〜なとも。ロックというよりもカントリーやブルースっぽい感じがした。
ただ、当時イケイケ80年代でダンスミュージックが全盛な中、それらとは一線を画す「ホンモノ感」「地に足の着いたリアル感」だけはしっかりと感得しました。この秋、35年ぶりでラストワルツを見直しました。心にガツンと来た!感動し、そして興奮しました。紛れもない本物のロックンロール。
楽曲の素晴らしさ演奏の素晴らしさはもちろん、ゲスト達との共演に垣間見る深い友情。そして監督スコッセッシの精緻なカメラワーク。全てに熱が力がみなぎり、とても解散目前のバンドの映像とは思えませんでした。映画自体は40年前のままなので、きっと僕自身が変化したのでしょう。60になったら、是非また見てみようと思います。次は何を感じるのかとても楽しみです。
さあ今日も拳を上げて前進だ!