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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
このROCKY通信では、皆さんが、人生やビジネスのヒントとなるようなお話をさせていただければと思います。
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雁行形態論 概念図 『世界経済評論』
こだわりを持って入学した神戸大学経済学部だったが、殆ど授業には出なかった。後悔はしていないが、経済学部に帰属した身としては何ともお恥ずかしい限りだ。ミクロ経済学もマクロ経済学も全く興味を持てなかった。ただ、国際経済学・貿易政策のゼミだけは敬慕する村上敦教授に会いたいという理由だけで毎回出席していた。確か3回生の時だったと思う。初めて経済学に興味を持った瞬間があった。それは「雁行形態論」という概念であった。村上先生のご講義に聞き入ってしまった。正直言うと、理論そのものより先生の図解に見惚れてしまった。つくづく自分は論理よりも美や情理に響く人間だったのだと思う。さすがに起業してからは論理性も身に着けたが。笑 昨夜、塾生の指導をしていた時に統計折れ線グラフが出て来た。そしてなぜか六甲台の学舎での村上先生の図説のことを懐かしく思い出していた。
「雁行形態論」を簡単に解説してみる。一国の産業発展のプロセスはまず輸入から始まり、次にそれを自国で生産するようになり、その後は開発途上国への技術移転を経て、最後はそれらの国から自国に逆輸入することになる、というもの。世界の産業史はその繰り返しとなる。経営学でいえばプロダクトライフサイクルのプロダクトを産業に置き換え、先進国と途上国での比較優位性の代替にともなう役割分担の変遷だ。コトバで語れば、それだけのものなのだが図で示すと上記のように美しいものとなる。日本語通りに解釈すると鴨の群れが天空をV字飛行する形姿。英語で言うと“Flying Geese Model”というそうだ。何ともロマンチックではないか!鴨は群れでV字編隊を組みながら美しく空に弧を描く。この理論は神戸高商(現神戸大)、東京高商(現一橋大)で学ばれた後、一橋を中心に教鞭を取られた赤松要教授により打ち立てられた。4回生の時、村上先生がご昵懇だった直弟子にあたる山澤逸平先生をゼミに呼んで下さり、直々にご講義を聞く機会に恵まれた。温厚な先生の語り口に真剣に聞き入ったのを今も覚えている。

『日本の経済発展と国際分業』 山澤逸平著
そして、、、4回生の最後に卒論を書くことになった。4年間で最も関心を持った雁行形態論に因み、「雁行形態論と総合商社の使命」と題したものを書いた。詳細は覚えていないが、貿易の最先端を担う総合商社が起点となり、自国と途上国、あるいは3国間での貿易において、どうしたら関係国がベストな経済効果を出せるか?みたいな筋だったと思う。山澤先生の著書「日本の経済発展と国際分業」から多々引用させて頂いたことは言うまでもない。笑
あれから約半世紀が経つが、今も雁行形態論は国際経済で立派に実証されている。そして今後もきっと。真理とはそういうことなのだろう。そして真理とは学問分野を問わず、必ず「美」を伴うものではと今さらながらに思うのである。