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【 ROCKY通信 】第301回 帝王ジョルジオ・アルマーニの帰天

 

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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
 

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【 ROCKY通信 】第301回 帝王ジョルジオ・アルマーニの帰天

 

最晩年のジョルジオ・アルマーニ(引用:BBC News Japan)

 

2025年ももう最後。今年は例年にも増して同時代に生きた世界の巨星たちの訃報を多く耳にした。若い人からすれば、知らなかった人がいなくなったという程度の感覚だろうが、プレシニアの僕からすれば寂しいものだ。そしてそれは順送りのエスカレーターに乗っている自分の晩節にも思いが巡る。僕にとって他人事でなかったのは、ローマ教皇フランシスコさん、ファッションの革命児ジョルジオ・アルマーニさん、俳優のロバート・レッドフォードさん、政治家ホセ・ムヒカさん、野球の長嶋茂雄さん、小説家の曽野綾子さん、そしてロックスターのオジー・オズボーン!笑

 

今日はイタリアそして世界のファッション界に革命を起こした起業家デザイナー、ジョルジオ・アルマーニさん(以下アルマーニ)を回顧したい。彼は僕の若き日に大きな影響を与えた人だった。大学に入るまで、さしてファッションに興味は無かった。大学生になり色気づいてきたこともあり、ファッションにも興味を持ち始めた。お洒落の最先端都市だった当時の神戸で学生時代を送ったことも背景にあったと思う。当時はそれまでメンズの主流だったブルックスやJプレスといったアイビー系に加え、DCブランドと言われる黒を基調とした先鋭的なブランドが若者を熱狂させていた。コムデギャルソンやY‘sがその代表格。僕はどちらにも馴染めなかった。アイビー系は僕にはなんだか甘ったるく、DCブランド群はなんだかヒリヒリして落ち着かない。それでもファッションは自己表現の1つと思い込んでいた。

 

映画アメリカン・ジゴロ (引用:VOGUE JAPAN)

 

大学1年の夏だった。三宮の阪急電車の高架下に、輸入衣類を扱う店舗が何軒かあった。今で言うなら直輸入のセレクトショップ。ふと気になり、店に入った。HITSUJIYAという店で、そこには上記のいずれとも異なる服がディスプレイされていた。色柄は多彩で、デザインもカッコいい。生地にはホンモノの質感を感じた。ただ値札を見てビックリ!上記の2系統とは桁が1つ違うではないか。しばし手に取ってみていると、1枚のデニムシャツが僕に語り掛けて来た。今でこそデニシャツは定番中の定番だが、当時はまだ物珍しかった。試着させてもらうと、身体にしっくりと馴染むではないか。今でもあの時の感覚を覚えている。いわゆる立体裁断というやつだ。名前を聞くとジョルジオ・アルマーニという新進のブランドで、まだ日本には店が無いという。カテゴリーでいうと、イタカジ(イタリアンカジュアルの略称)というそうだ。直感で俺はコレだ!と思った。値段は確か4万8千円だった。その店では安い値段だったが、僕には高すぎる価格だった。銀行でバイトで稼いだ金をおろし、即購入した。これが僕のファッション原体験だ。それから嬉しくて嬉しくて小ハレの場を中心に着て出掛けた。デートや合コンからゼミ等々。あと1人で背伸びして北野のバーに行く時なんかも。それから2年くらいしてからだろうか、東京の名門百貨店に小さな販売コーナーが出来たと聞いた。映画「アメリカン・ジゴロ」でアルマーニが主演リチャード・ギアの衣服を全てデザインしたこともアルマーニへの憧憬を加速させた。上京した際に、ジャケットも渋谷西武で購入した。学生には高い買い物だったが満足度はそれ以上だった。

 

2023秋冬アルマーニ ファッションショー(引用:PR Times)

 

社会人となり、東京の商社で働き始めた。初ボーナスでスーツを買うことを決めていたので、銀座の路面1号店に出向いた。就職前に三宮の大丸で揃えたスーツは2着で、ゼミの恩師村上ご夫妻が選んでくれたもの。とても大事にはしていたが、洒落たものも着てみたかった。値札も見ずに一目惚れしたチャコールグレーのスーツを試着すると、一発で気に入った。やはり立体裁断で身体にフィットする。これが既製服か⁉と驚いた。素材も最高生地。いいねいいねぇ~。ネクタイにも目をやると、品よくも主張がある。あまりに生地が薄いのには驚いたが、試してみると全くネクタイを締めている感覚がない。エアーネクタイ。笑 スーツもタイも実に楽なのだ。合わせて頂き!お値段〆て30万。当時の僕には清水の舞台からの飛び降りる感覚だったが、当時はそういう価値観だったので仕方ない。そのスーツを着て出社すると、テンションも上がってやる気満々。勇気も出た。そして結果も出た。ファッションというのは単なる機能ではない。人間のモチベーションを高め、自信まで与えてくれるものなのだ。

 

あれから40年、ブランドは成長を続け、アルマーニ帝国を築いた。頂上のジョルジオ・アルマーニ。準高級ラインのエンポリオ・アルマーニにアルマーニ・ジーンズ、そして完全普及ラインのアルマーニ・エクスチェンジ等。アルマーニはローマ帝国さながらに領土を拡大した。デザイナーとしてだけでなく、天才マーケターとしても稀有な才能を有し、僕も経営戦略のクラスでよく彼の事例を引き合いに出してきた。質と量の二兎を追うことは並みの経営者ではできない。外部的には成功ヒストリーという光だけに着目されているが、きっと内部的には財務問題、人材問題等の闇も抱えつつ世界制覇を進めたのではと推察する。だがその帝王アルマーニも、ついに帰天した。御年91歳。ファッション業界では、ココ・シャネル以来の革命児だと思う。シャネルは女性の、アルマーニは男性のファッション意識を変えた。創業者の強烈な理念哲学があったビジネスは、一時的に時代の流行に劣後することがあっても、またブランドオーナーが変わることがあっても、最終的に生き残る。

合掌

 

 


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