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【 ROCKY通信 】第289回 結論総論 感情的ボクシング論 井上尚弥vsアフマダリエフ

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【 ROCKY通信 】第289回 結論総論 感情的ボクシング論 井上尚弥vsアフマダリエフ

強烈無比な尚弥のレフトボディ

(引用:Yahoo!ニュース)

 

猛獣対決はジャガーの井上尚弥がゴリラのアフマダリエフを破った。前号でのナオヤ終盤KO勝利という予測は外れてしまったが、大差判定だった。因みに僕の採点は118対110で、3人の採点者のうち2人と同じであった。リングジェネラルシップという言葉がある。試合の流れ、主導権を掌握する能力のことだ。この試合でナオヤはその言葉の意味を改めて教えてくれた。試合は一方的なスピード差と絶妙な距離感、そしてセルフディシプリン(自制心)を最後まで維持し続けたナオヤの圧勝だった。今回僕が一番高く評価したいのはセルフディシプリンだ。ボクシングの原点である殴り合いから、芸術の域まで高められた気すらする。結果論からすればその通りなのだが、それはナオヤが最後まで陣営の戦略に従い切ったからだ。プロボクシングはフルコンタクトの格闘技であると同時にエンターテインメントである。判定であってもただ勝てばいいという競技とは違う。

 

チャンスが来れば倒しに行く。多少の被弾は覚悟で。そこにボクシングの醍醐味がある。それは単なる無謀ではなく、研ぎ澄まされた勇気とでも言おうか。起業にも通じるものがある。そこにそのボクサーの「生き様」が現れ、ファンはその闘う姿に自らを投影して共に闘うのだ。そして勝てば共に酔いしれ、負ければ共に消沈する。

僕は感情移入型のファンなのだ。だからいまだに辰吉丈一郎を愛している。しかし今夜観たのは新しい競技、進化したボクシングの姿だった。ナオヤは中盤から終盤にかけてのKOチャンスがあったにも関わらず行かなかった。ある意味余力を残しての完勝。リズムと自らの距離を掌中にした中盤は、わざと両手ガードを下ろし、笑いかけながらアフマダリエフを誘ったが、強引にその距離(自分のパンチは当たるが、相手のパンチは当たらない距離)を詰めて倒しに行くことはしなかった。アフマダリエフがそれを待っているのを分かっていたからだ。

 

左ジャブで距離をコントロールする尚弥

(引用:Yahoo!ニュース)

 

これだけ徹し切ったアウトボクシングすると、KOを期待するファンからは苛立ちのヤジやブーイングが出るものだが、誰もそれをしない。僕も苛立ちは何もなく、至高のテクニック、スピード、パワーそして陣営の戦略を堪能した。繰り返しになるがこれはもう別の格闘技だなと思うほどの透徹性。過去のナオヤの試合で見られたような派手なKOシーンや、ドラマチックな展開も無かったが、ラストゴングが鳴った時には満足感ばかりか清々しささえ覚えた。50年以上プロボクシングを観戦してきたが、初めての感覚だった。

 

途中2度だけジャガーの野生を感じるシーンがあった。それは6Rに見せたレフトボディの3連発。これは強烈だった。ナオヤのサンデーパンチで多くの挑戦者をリングに切って落としてきたパンチだが、これほど鬼気の籠ったボディブローは記憶にない。そして8Rの右アッパー。ロープを背にしての相手の攻撃の一瞬の隙をついたものだった。タフなアフマダリエフでなければ、間違いなくKOシーンとなっていただろう。アフマダリエフは屈強なゴリラだ。頑強さではナオヤに勝る。試合後の世界のメディアの論調は全てナオヤ礼賛だった。確かにラウンドマストの採点法であれば圧勝だ。しかし、、、ナオヤも試合中に奴の左フックを食らったら、ヤバいという感覚は何度もあったことだろう。砲丸の玉をぶん回すような重い破壊力。対峙したものにしか分からない危険性。チャンスでKOを狙いに行けたのにそうしなかった理由はそこにもあったと思う。

 

アフマダリエフの砲丸パンチ

(引用:ロンスポ)

 

昨夜アフマダリエフが証明したのは、フィジカルの頑強さと重いパンチだ。メンタルに関しては実は慎重な選手だった。頑丈なのだからもっとガンガン行けば良かったのに。そうか、ゴリラはジャガー以上にパワフルだけど風体に似合わず草食だもんね。そして彼は実はオリンピアンの国家アマエリートでもあったことを忘れていた。ナオヤとの想定外のスピード差になすべきことが分からずに試合を終えた感じだろうが、もっと野生を出してほしかった。シルクロード対決でもあったんだし。最終ラウンド終了直前の左フック。あれは見事だった。実はナオヤは効いていた。ナオヤはゴングが鳴ってきっとホッとしたことだろう。もし世界戦がかつてのように15ラウンド制だったなら、勝利は不動にしても残り3ラウンドで痛い目をみたような気がする。怪我無く試合を終えることができ、本当に良かった。

 

誰が衰えたって~?

(引用:ロンスポ)

 

ナオヤは自制心のあるボクサーだが、実は優秀なビジネスマンでもある。勝利アナウンスの後の「アウトボクシングもいけるでしょう!?」「誰が衰えたって?誰が衰えたって?(2連呼)」は茶目っ気たっぷりでプライドの高さの裏にも、絶対なる「自己信頼」を感じた。ネリ、カルナデスと不覚のダウンを喫した苦渋を良薬に今回更なる進歩を見せた。そしてまた次なる高みを目指すことになりそうだ。次々戦で対戦が決まったという世界中のボクシングファン、玄人筋からも近年評価うなぎ上りのPFPランカー、中谷准人が会場で観戦していた。ナオヤの勝利アナウンス後、足早に会場を去ろうとしているのを視界に捉えたナオヤはリング上から衆目の中堂々と呼びかけた。「中谷君!あと1戦お互い乗り越えて東京ドーム決戦盛り上げようぜ!」のリング上からのダイレクトコール。目の前のアフマダリエフ戦に集中しつつも、既にナオヤの中にジュントが大きく存在しているのだ。

 

中谷潤人とツーショット

(引用:ボクシングモバイルニュース)

 

しかしなかなかのもんだねナオヤは。選手自らの対戦PR。それも衆目の中で。これで否が応にもボクシングファンならずとも盛り上がらざるを得ないではないか。畑山対坂本とは次元を異にする世界的興行。日本人にすれば究極の日本人対決なのだが、これは世界のボクシングファンが切望するPFPボクサー同士の雌雄を決する対決だ。国籍無関係の頂上対決。2人とも無事に次戦をクリアして、来春に予定されるスーパーメガファイトを実現して欲しい。昨夜のナオヤの戦略オプションの幅を見れば、双方がベストな状態ならナオヤに分があると言わざるを得ない。それを肌身に感じているのはジュント自身であろう。因みに今回のナオヤのファイトマネーは30億近いらしいいが、結構なことである。もっとファンに開示すればいいのにとも思う。プロボクシングは夢を売るビジネスでもあるのだから。そういう意味も含め、今から来春のメガファイトが楽しみだ。

 


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