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【 ROCKY通信 】第286回 大物演歌歌手Sの営業努力

 

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【 ROCKY通信 】第286回   大物演歌歌手Sの営業努力

 

 

 

星影のワルツを歌う千昌夫さん
(引用:NHKクリエイティブ・ライブラリー)

 

早朝たまたまホテルでAMラジオを聞いていたら、よぼよぼ声のおじいさんがゲストで、身の上話をしていた。途中から聞き始めたので誰だか分からなかったが、話の内容からどうも演歌歌手らしい。なんでも表舞台に出るのに時間がかかり、下積み時代の苦労は半端でなかったようだ。よくある成功者の苦労話かもしれないが、当のご本人の口から出る言葉には説得力があり、ラジオの声に引き込まれた。ほんの10分の聞きかじりだったのだが、記憶が薄れないうちにと反射的にメモを書き留めた。話の内容は自分の起業時にも重なるものがあり、色々なことを思い出した。ポイントは起業時の人生賭けた営業努力。そして自己信頼。その日は生憎アポイントがあり番組途中で後ろ髪を引かれるように部屋を出た。その時ラジオから「星影のワルツ」が聞こえ始めていた。声の主は千昌夫さんだった。

 

つい聴き入ってしまったのは、たまたま前日に「起業したがなかなか集客できず苦労している」という相談があったのも一因だった。この手の質問は僕自身これまでに何十回も聞かれてきた内容でもあるが、多くの場合、事業が軌道に乗るまでの営業努力が圧倒的に不足していることが多い。起業してビジネスモデルが完成するまでは、起業家の最優先すべき仕事は営業だ。特にゼロイチの場合は商品・サービス自体が仮説なのだからそれを自ら実証せねばならない。リクルートの卒業生が起業家として成功者が多いのは、そこに理由がある。在職時代に徹底的な営業する訓練がされているからだ。会社の命運を握るのは顧客だ。サラリーマンから転身しせっかく起業したのになかなか軌道に乗ることが出来ず、停滞してしまっているケースの多くがこのパターンだ。ドラッガーも言っている。企業の第一目的は「顧客の創造」だと。

 

さて千さんの話で印象に残ったのはその営業努力だ。有名無名のあらゆるレコード会社に星影のワルツの売り込みをかけても当初は全く無反応だったそうだ。その時に千さんの取った行動は圧巻だ。まず百軒単位のレコード店に営業したそうだ。店頭でも歌ったそうだ。他にも当時黎明期の有線放送の放送拠点をこれも百軒単位でまわって、その場でギターの弾き語りをしたそうだ。あと笑ってしまったのが「呼び出し」の話。呼び出しというのは何ですかとアナウンサーが聞くと「新幹線の車内放送とかで、あの『星影のワルツ』を歌っている歌手の千昌夫さん、車掌室までお越しください。テレビ局から緊急電話が入っております」みたいなことを当時はやってもらえたんです、と。もちろんヤラせ。今じゃ考えられませんけどと笑っていた。とにかく自分の名前と曲名を覚えてもらうためには手段を選ばなかったと。

 
「つまり僕は『セルフ営業』だったのよ。そして『セルフマネジメント」だったのね。一人ぼっちだったから』と。まだ芸能プロダクションにもレコード会社にも属していなかったしね。でも田舎の岩手(陸前高田)から一旗揚げてやろうと上京してきたわけだから、そんなの当たり前だと思ってました」と。埼玉のとある有線放送拠点で、たまたま同曲が上位にランクインした際に、その資料をコピーしまくってあらゆる営業先に手配りして回ったそうだ。そしてそれがたまたま力を持った音楽関係者の目にとまり「この曲なかなかいいじゃないの」となり、支援を受け、憧れの大手芸能事務所に入れたそうだ。自分自身と商品である星影のワルツの可能性だけを信じて市場開拓に奔走し、表舞台へのチャンスを掴むことが出来たのだ。その後は歌手としてスター街道まっしぐら。時代背景が異なるので営業手段は異なるだろうが、今の起業家、社会起業家たちにも通じる内容だと思う。

 

さてそれはそうと今回AMラジオっていいなとあらためて思った。中学までは当時全盛の深夜ラジオが好きだったが、その後はFMしか聞いていなかった。音楽を聴く以外にラジオを聞く理由が無くなったからだ。また正直言うとAMはダサいと思っていたところもある。しかしAMにはリスナーとの同期感があり距離感も近く、なんだかあったかい。目の前で同じ空気を吸いながら対話しているような気分になる。独居の母が、好んでAMを聴いている気持ちがよくわかった。

 


星影のワルツ、50年ぶりにくらいに聞いたけどいい曲です
父方の婆ちゃんが晩年よく口ずさんでいました
「別れることはつらいけど~
別れに星影のワルツを歌おう~」
婆ちゃんの優しい、少女のような声が耳によみがえってきます


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