【 ROCKY通信 】第273回 Harvard is Harvard! | 【公式】社会起業家を育成するソーシャルビジネススクール 社会起業大学

NEWS & BLOGS 一覧

セミナー 一覧

ロッキー林のイロジカルシンキング へ戻る

【 ROCKY通信 】第273回 Harvard is Harvard!

  

メールマガジンご購読者の皆様
 

いつもメールマガジンをお読みいただきありがとうございます。

社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
 

このROCKY通信では、皆さんが、人生やビジネスのヒントとなるようなお話をさせていただければと思います。

 

皆さんのお役に立てましたら幸いです。


 
 

【 ROCKY通信 】第273回   Harvard is Harvard!               

 

 

ハーバード大学

 

アメリカの大学院留学時代、クラスには米国のいろんな有名大学出身者が集まってきていた。そしておらが大学自慢で盛り上がり、どこが1番かの議論に花が咲いていた。そんな話に耳を傾けていたS教授が“Harvard is Harvard!”とピシャリと断言してその話は終わった。意訳すれば「何のかんの言ってもハーバードはハーバード。トップはハーバードだよ」ということになる。アメリカを牽引してきた、言わずと知れた名門中の名門大学だ。

 

そんなハーバード大学がトランプ政権と真っ向から闘っている。トランプ大統領の発想は想像もつかない狂気というか暴力性のあるものだ。そしてそれを何の迷いもなく実行に移すところがまた恐ろしい。彼が不動産王だった1990年代の初頭、僕は起業家としてのトランプに憧れた時期もあった。

 

しかし、、、今回のバーバード大をスケープゴートにした留学生および研究者の強制排除の動きは、とてもまともとは思えない。トランプにしてみればおかしいのは現状であって、現政権でその過ちを正すという認識のようだ。新聞記事によるとこれまで同大には何千億と補助金をつぎこんで来たにもかかわらず、反ユダヤ、親中国の温床としてきたというロジックらしい。よってこれまでの理念であった多様性、公平性、包摂性も駆逐しようと。正義の定義が異なるのだからどうしようもないが、アメリカの一般国民はどう思っているのだろう?

 

コーネル大学

 

1993年から1955年、僕はハーバード大と同じアイビーリーグのコーネル大に留学していた。クラスの半分近くが留学生だったよう記憶している。東アジア、東南アジア、中近東、ロシア、東西ヨーロッパ等々。クラス外で付き合いのあった留学生はさらにアフリカやオセアニアの国々の出身者も加わった。アメリカ籍の人々も、いわゆるワスプの人たちだけでなく移民ルーツの生徒も多く、実に多様だった。都市型大学でなく、自然豊かな田舎町の大学だったので、学生同士の付き合いも必然的に密なものとなった。授業の後も、互いのアパートを行きかったりすることも多かった。

 

もしあの時のクラスに留学生がいなかったとしたら、、、考えてみただけでも異様で不自然だ。もちろん多様性に起因する考え方の違いで激しい議論になることは多々あった。グループワークという8名からなるチーム単位での通期実践プロジェクトで、僕は”Group from hell”と呼ばれるチームに入ってしまい、毎回激しい議論をしても合意形成のできないまさに地獄を味わった。笑 今となっては良い思い出だが、国民性の違いに強烈な個性も相俟って本当にキツかった。でも、でもだ。それまで30年近く日本人の常識、当たり前で育ってきた自分にとり、実はその相違性を内心面白く感じていた。

 

ハーバードスクエア

 

卒業後、ボストンに引っ越した。所持していたF1ビザで許されるギリギリまで現地で就労経験するのが目的だった。はじめは当地で起業を考えていたので、起業対象のチェーンレストランオペレーションの実地経験が欲しかったからだ。大学院時代、長期休暇や試験休みになると東海岸、西海岸。中西部を中心に徹夜移動で車を走らせ、サイトリサーチと称して20都市以上まわった。そんな中からボストンを選んだのは、ハーバード、MITを筆頭に80の大学が存在するというカレッジタウンの多様性があったからだ。

 

実際に住んでみると留学生による人種・文化の多様性とは裏腹に、地域住民は想像していたよりも保守的で排他性を感じることもよくあった。アメリカ史のルーツともいえる古い街でもあったからなのだろう。しかしハーバードスクエアだけは、世界中からの学生、研究者、観光客が入り乱れ、いつも自由で活気あふれていた。あのポジティブな空気感が大好きだった。仕事やプライベートで、多様なバックグランドを持つ人々と交流できたのは良き思い出だ。もしトランプの意図通りにあの街から留学生がいなくなったと想像すると、とても寂しいものになる気がする。

 

留学という貴重な機会の産物を最大化するためには、多様性による学びは大きい。それはアメリカ人学生にとってもきっとそうだと思う。研究者まで含めて考えるとアメリカという国家にとっても大きな知のフロンティアなはずだ。中長期的には研究開発、外交、産業振興にまで波及することになるだろう。

 

大学から留学生を排除し、大学の貴重な財源を根絶やしにすることで大学を思想的にも支配することが狙いと言われているが、それではアメリカの国家としての根底理念である「自由」が歪められ、最大の強みであった「多様性」が失われるのではないか?トランプは国際紛争をミスリードし、関税問題だけでも混乱を招いているのに、教育分野まで自国絶対主義を着火してしまった。最終的に一体何が欲しいのだろう?この先、60年代のような学生運動にまで発展しかねない気もする。

 

頑張れハーバード!あなたたちがリベラリズムの、多様性の橋頭保なのだから。

 


メールマガジン登録(無料)はこちら


    【オンライン開催・参加無料】
    未経験からでも目指せる
    自分の才能を生かして誰かの役に立つ起業家へ
    社会起業家入門セミナー