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【 ROCKY通信 】第270回 井上尚也 大ピンチも乗り切る究極の「ボクシング愛」

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【 ROCKY通信 】第270回   井上尚也 大ピンチも乗り切る究極の「ボクシング愛」

 

                 8回ナオヤの見事な逆転KOシーン(引用:THE DIGEST (C) Getty Images)

 

 今日久々にネットボクシング放送で井上尚弥(以下ナオヤ)の試合を観た。米国ラスベガスでの試合だった。結果的には興奮させられたナイスファイトだった。会場の約1万人の観衆も大喜びだった。対戦相手ラモン・カルデナスは世界的には無名で、先に内定していた挑戦者が2人続けて敵前逃亡?したので、棚ボタで試合が決まった幸運な挑戦者だ。真面目な選手だが、これといった特徴のないランカーという風評。オッズも20対1。ということは完全なアンダードッグ。しかしそのカルデナスが気骨を示した。2ラウンドにはナオヤからダウンも奪った。これには驚いた。最終的にはナオヤの総合力の前に屈することになったが、ハートの強い立派なファイターだった。

 

             2回ナオヤの痛烈なダウンシーン (引用:デイリースポーツ)

 

 

1ミリほどだろうか、少し嫌な予感はあった。小林弘、西城正三から具志堅用高、辰吉丈一郎にいたるまで、日本の名王者が敗れる時は実は組み易しとして選ばれた対戦者の時であった。ナオヤの敵は油断だけ。戦前コメントで序盤はしっかり魅せたうえで中盤でKOするというようなコメントを聞き少し不安を覚えた。そしてカルデナスは、初回から危険な右ストレートを振って出た。思い切りも良くスピードもパワーも十分だ。ナオヤは鼻血を流した。おいおい、なんだか話が違うじゃないか!と身を乗り出して画像に食い入った。そして第2ラウンド、左フックのカウンターをドンピシャのタイミングで合わされ、ナオヤはリングに落下。つい画面の前で絶叫した。前々戦でネリに合わされた左フックと同じタイミングだ。

 

しかし今回は本当に効いていたので、一瞬KO負けを覚悟した。接近戦での左フックは、視覚外から来るので見えない。見えないパンチは一番効く。実際オーソドックスによるKOの5割以上はこのパンチによる。しかしそこからの立て直しは見事というよりなかった。何でこの人はこの絶対的ピンチの中でここまで冷静でいられるのだろう。並みの選手なら3ラウンド目あたりで倒されていたと思う。質が高く半端ない練習量がそれをさせなかったのは間違いない。その後は得意のジャブで距離をコントロールし、ボディで相手のスタミナを削り取り、決めの右ストレートを間断なく打ち込み、崩し切った。

 

今日の試合で頭に浮かんだことを整理してみよう。

 

①世界は広い 

こんな実力ある選手がテキサスの片田舎に潜んでいたとは!そして才能は凡庸でも、自分を信じ切り、相手を研究し、練習に集中することができれば想定外のパフォーマンスを出せるということをあらためて学んだ。

 

②油断大敵の実行は簡単ではない

どんな名選手でも、いつかは負ける時が来る。その落とし穴の多くは油断、慢心である。ナオヤは本来そういう選手ではない。しかし今回の試合前に9月、12月、3月と既に内定している強豪たちとのビッグファイトの方に意識がいっていたのは否めないだろう。

 

③必要以上の功名心は無かったか?

圧倒的な強さをアメリカのボクシングファンに見せてやる!という妙な功名心があったのではないか?初回から圧をかけて力ずくで倒しにいっているようにも見えた。往年の名選手たちも最晩年は短気になって打ち気にはやり、自ら墓穴を掘るパターンが多かった。そこにスキが生じてしまうのだ。

 

④累積疲労は無かったか?

世界戦23KO(世界記録)のプロセスでは被弾ダメージや減量苦による疲労も蓄積していると思う。毎回レベルの高い一線級とばかり闘っているのだから当然だ。初対面の時のナオヤは12歳の小学生だったが、そのナオヤももう32歳だ。たぶん向こう1年ぐらいがキャリアにおける実力のピークなのではないか。

 

⑤根っからのファイターなんだね!

冷や冷やさせるファイトではあったが、試合後のナオヤは妙に清々しい表情をしていた。笑顔もあった。久々にガチで殴り合った満足感、高揚感。僕もたまにスパーをするとその感覚があるので気持ちはわかる。ナオヤは本当に根っからのファイターなんだね。内定しているという次の3戦も猛者揃いで、今日以上にタフな試合になりそうだ。しかし相手が強ければ強いほど自分も強くなるのがナオヤ。新たなポテンシャルの開花を楽しみにしている。

 

今回の試合を観ていて少しナオヤが可哀想になった。金はしこたま稼いでいる。井上ファミリーやチーム関係者が仕事しなくても食べていける何十倍も稼いでいる。たぶんそこにはもうモチベーションは無いだろう。強さに関してもパウンドフォーパウンドを獲り、これまで日本人には未踏の世界的名誉も得た。いったい何がナオヤのモチベーションなのだろう?こんなにキツイ試合をして、、、

 

苦戦の末に逆転KOを果たし、試合後のインタビューでニコニコ笑っているのを見て思った。 ナオヤのモチベーションは、コレだ!と。それは果てしなき「ボクシング愛」だ。


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