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【 ROCKY通信 】第265 限界集落を希望の光に 社会起業家 細羽雅之

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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
 

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皆さんのお役に立てましたら幸いです。


 
 

【 ROCKY通信 】第265回  限界集落を希望の光に 社会起業家 細羽雅之

 

森の国ホテルオーナー細羽雅之さんと

 

愛媛県宇和島を初めて訪れた。地図上でのイメージと異なり、市自体が陸の孤島といってもおかしくないぐらい遠かった。そしてさらに車で内陸を小一時間走り目的地の松野町に向かった。しかしその素晴らしき里山はその難路に費やす時間に十分に値するものだった。

 

僕は観光の為に来たわけではなかった。松野町という限界集落にあるという「森の国ホテル」を訪れてみたかったこと。足摺宇和海国立公園の一部となる「滑床渓谷」を散策してみたかったこと。そしてそこに移住した若者を率いている細羽雅之さんという社会起業家に会ってみたかったこと。なのでアル!

 

 松野町のロケーション

 

松野町というよりも松野村だと思った。人口は2,600人という。その経緯は知らないが、どうみても限界集落だった。到着時、皆さんは農作業中であった。ちょうど野菜の作付け中だったようで、作業に集中されていた。多くの若者がおよそ農業家とは思えないアウトドアな洒落たいで立ちで懸命に汗していた。僕には映画「イージーライダー」の中でコミューンのヒッピーたちが麦の種まきをしている映像と重なって見えた。しばらくするとトラクターで農地を耕していた細羽さんがやってきて挨拶を交わした。極限ともいえるビジネス世界で生きて来た人なのだが、どこか思想家的な雰囲気を醸した人だった。

 

農作業をしていた若者たちと村のパン屋の販売台を囲み、1人1人から自己紹介を受けた。皆さん20代から30代の若き男女。都会からの移住者や現役大学生も含め、実に個性的な人々の集まりだ。面白いのは誰一人として世間や時流に流されている人はいなかったこと。主体的にこの地、ここでの仕事を選んできた人ばかりだ。

 

森の国ホテル外観と釣鐘

 

お目当ての森の国ホテルはその田畑から車で10分ほど山中に入った渓谷に立地していた。渓谷の向こうにホテルを見た瞬間に「匂い立つもの」を感じた。良いホテルとは常にそういうものである。聞けば上高地帝国ホテルをモデルにしたというが、中に入ってさらに納得。バブル時代の遺物とのことだが、品格がある。文化性があるのだ。建築を構成する個々の素材がホンモノなので、余計な奇をてらう必要も無い。アイコンであろう暖炉上の美しい釣鐘は圧巻であり、思わず仰視してしまった。ほんの3分でこのホテルにすっかり惚れこんでしまった。

 

 滑床川の巨岩石と一枚岩の雪輪の滝

翌日は午後3時まで自室でリモートワーク。Wi-Fi環境も申し分なしだ。そして日が傾きかける頃、30代の若者2人に滑床渓谷を案内してもらった。僕はフライマンなので国内は屋久島から知床まで、北米はアルゴンキンからデシューツまで主だった渓流は巡って来た。先に結論を言おう。ここは唯一無二の渓谷だ。フライマンの観点ではなく、渓流フリークとしての視点で。何でも太古の時代に噴火があり、その溶岩がこの巨石群と巨大岩床をもたらしたとのことだ。中でも一見古代遺跡に見える巨岩石と、滑床川の急傾斜の渓底をなす300mの一枚岩からなる雪輪の滝は感動を呼び起こす力強さがあった。

 

 渓谷入り口のレリーフ

 

さて元不動産投資業界でトップセールスだったエイジロウ君。いきなり渓谷入り口のレリーフに連れていかれ、「ロッキーはどう思う?」と問われた。そこには初代町長の岡田倉太郎氏による言葉で「この森にあそび この森に学びて あめつちの心に近づかむ」と書かれていた。チーム細羽のミッションはこの言葉と共にあるという。エイジロウ君からの問いは「あめつちの心に近づかむ」という言葉の解釈。その場で思ったことを直観で答えた。翌日集落を去る時に同じ質問をされたが、答えは同じだった。それは僕が忘れかけていた大切な感覚だった。20代の若き日、キャッツキルでフライロッドを振っていた時に経験したあの感覚、、、自然と人間の同期。自然のリズムと自己のリズムの一体感。岡田さんはそれを言いたかったのではないかと思った。

 

 ユキオ君(左)とエイジロウ君(右)

 

もう一人の引率者のユキオ君は元県庁マン。勝手に「ウナギ博士」と命名させてもらった。こと鰻に関していえば博士級の知見を持ち併せているユニークな人。生態系の知識から食べ方まで全てに精通している。渓谷案内をしてもらっていても3メートルおきに何かを発見して座り込み、何かを語り始める。森の微生物レベルから苔、昆虫や巨木レベルまで関心を持ち併せている。同時に森全体の構造にも関心を持っていることもよくわかった。3人で話している時、ウスバカゲロウの大群がいきなりハッチし、美しき浮揚のダンスを見せてくれた。時期的に考えると少なくとも1か月は早い。ユキオ君は奇跡だと言った。しばし3人で自然のダンスに見とれてしまった。

 

 宴会風景

 
 

出立の翌日も昼過ぎまでPC仕事をしていた。デジタルデトックスを薦める森の国ホテルからすれば、僕は邪宗門だろうな。2泊させてもらったのだが、毎夜宴会。その流れもあり翌日は臨時講演をすることになった。細羽ご夫妻、若き移住者たちに僕自身の社会との関わりについての思いを語らせてもらった。細羽さんをはじめ、この集落で出会った人々とはきっと何らかの縁があると感じた。  

                                                  多謝  

 

                                                                                                                                       

『よみがえる限界集落』細羽雅之著
https://wadainohon.com/books/978-4344941830/

森の国Valley HP
https://morino-kuni.com/


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