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【 ROCKY通信 】第259  ソーシャルホテル 福山「アンカーホテル」

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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
 

このROCKY通信では、皆さんが、人生やビジネスのヒントとなるようなお話をさせていただければと思います。

 

皆さんのお役に立てましたら幸いです。


 
 

【 ROCKY通信 】第259回  ソーシャルホテル 福山「アンカーホテル」 

  

 

アンカーホテルのエントランス

 

ここ数年、福山市の主催するソーシャルイベントのお手伝いをさせて頂いている。今年のプログラムは市内の大学生が現地でソーシャルビジネスに取り組んでおられる地元企業を訪問するというもの。今日のロキ通は訪問した2拠点のうち、アンカーホテルをご紹介したい。

 

感激の生チョコ

 

ホテルに到着するや否や、スマイルと共にスタッフお手製の生チョコがウェルカムサービスとして供された。バレンタインデーであることすら忘れていたので、いきなりのハッピーサプライズ。チョコと共にお手製のジンジャーエールもいただいた。どちらも心のこもった優しい味わいであった。

 

市職員Fさんと昨秋プログラムでの訪問先を検討していた時に、アンカーホテルの話を聞いてとても興味が湧いた。すぐにHPを拝見し、これはブルックリンやポートランドで一世を風靡したヒップホテルのインスパイア系だと感じた。果たして先月実際に宿泊してみると、やはりそうであった。従来型の均一をもって良しとするチェーン系ホテルに飽き飽きしている旅好きな若者がターゲットだと思った。そしてそこに引っ張られるように同様な価値観のアッパー世代にも愛好されているのだろうと。

 

ハードは地元の素材を積極採用。たとえばここ福山は鉄鋼がメイン産業なので、地元の鉄工所が作った建築材から家具やオブジェの類まで地元産にこだわっている。室内にはふんだんに木材を使用し、これも市の後背地に控える山林から伐採されたもの。室内に装備される外套、浴衣、たび、手提げ袋といったものは全て福山名産のデニムを100%使用したものだ。開業時には社長号令の下、スタッフ全員でアンカーホテルを「地元産業のショールーム」というコンセプトにしようとディテールまで考え抜いたそうだ。

 

市内にはオペレーター主導で従来発想の味気ないホテルしかなかった。旅の記憶に残るホテルとすべく、たとえ短い滞在だとしても寝に帰るだけのホテルから、心底寛げ福山を良き思い出に出来るホテルを目指して、社運を賭けて取り組んだそうだ。しかし全てを地元福山産にしようとこだわりまくったこともあり、当初予算の倍の初期投資がかかってしまったとリーダー役のA女史は豪快に笑われた。

 

ポートランドのヒップホテルを想起させるカフェラウンジ

 

接客もマニュアル重視の「こなす接客」ではなく、「フレンドリー」な接客。対等目線でありつつも付加価値を提供する。地元に関するあらゆる情報を語り、またお客同士をも友達にしてしまう接客もウリだ。それを実現するのが1階のカフェラウンジだ。部屋は居心地がいいので、外出する気分がなくなる不思議な空間だ。クィーンサイズはありそうな大きく低めのベッドの上で本を読んだり飲食したり何でもできる。仕事デスクが無いのだけが難点で、仕事をする時は1階のカフェラウンジを使用することになる。しかしこれも快適。スタッフが程よい距離感を守ってくれているので集中できる。少し疲れて話しかけるとちゃんと応じてくれる。実に柔軟な接客だ。

 

COZYな客室

ホテルビジネスは競合とルームシェアを競い合うまさにわかりやすい顧客争奪戦だ。最近はインバウンドのお陰で市場自体が拡大しているが、基本はゼロサムだ。そんな中で、地元全体の経済活性も配慮し、また市内の1,2次産業に携わる人々の地域への思いを顧客満足やサプライズに転化しようという発想。これはソーシャルビジネスという解釈も成り立つ。先述のA女史も、「ソーシャルビジネスというコトバは知らなかったけど、結果としてそういうホテルになっている」とおしゃっていた。

 

一度は食べたいアンカーお手製ホットドッグ

 

最後に僕が大のお気に入りとなったアンカーホテルのホットドッグをご紹介したい。アンカーホテルはルームレート1万円未満のビジネスホテルのプライスゾーンなのだが、翌朝にはサプライズの朝食が待っている。これには僕も参った。3種のメニュー(ホットドッグ、ビーガンサンド、クロワッサンプレート)から1つを選び、パンも4種から選べる(僕はホールウィートが一押し)。ドリンクもオリジナルな12種の中から選べる。気忙しいバンケット形式より楽だし、とにかく地元素材を堪能できる。

 

今回で2度目の滞在なのだが、僕はここのホットドッグは本当に出色の出来だと思っている。すでに何人にも口コミしてきた!笑 コーヒーも地元ロースターのオリジナル焙煎で、なんとも個性的なフレーバーだ。特に水出しのアイスコ―ヒーは抜群だ。思わず!となってしまったほどだ。朝食は東京のカフェ価格なら1500円はするであろう値打ちものだ。それもそのはず、ホットドッグの原価率は7割超えとやはりAさんは笑っていた。ソーセージもパンも野菜も全て地元産。そう考えると、実質7000円での宿泊だ。旧来型のビジネスモデルであっても、アングルを変えてアップデートすることができれば、ソーシャルビジネスとして再生できるという典型例である。

 

「アンカーホテル」HP:

ANCHOR HOTEL FUKUYAMA |アンカーホテル福山

 

 

 

 


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