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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
このROCKY通信では、皆さんが、人生やビジネスのヒントとなるようなお話をさせていただければと思います。
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まやかしの縄 仙厓
先週に続き蛇ネタを。といっても今日は先々週に書いて好評だった江戸時代の画僧、仙厓さんによる蛇をつかった寓話。愛嬌のある画にメッセージである画賛を添えた譬喩で、仏様の教えを江戸時代の子供や無学の人々にもわかりやすく伝えたのが仙厓和尚。僕も尊敬する出光佐三翁の仙厓コレクションのお陰で、四十路を迎えた頃からすっかり魅了されている。
さて今日ご紹介するのは仙厓ファンとしても知られていた哲学者鈴木大拙氏より「まやかしの縄」とタイトルを付けられた画だ。画賛には「切れ縄に口ちハなけれと朧月」とある。おぼろ月の夜、いいオヤジさんが縄の切れ端を踏んで、それを蛇と勘違いしてギャアーと叫んで飛び上がっている構図である。となりの別のオヤジさんは、ただの縄と知っているのかニンマリと笑っている。
きっとこの切れ縄を踏んだオヤジさんは夏の夜道を不安な気持ちで歩いていた。ひょっとしたら蛇でも出るんじゃないかと最初からオドオドしていたんじゃないか?だから縄を踏んだ瞬間絶叫したのではないかと。それを考えるとこの画は一段と面白い。笑
気持ちはよくわかる。僕も子供時代、夏の草むらに打ち込まれた野球ボールを探しに行くのは嫌だった。なんだか蛇が潜んでいて間違って踏んでしまうんじゃないかと思ったから。
人はだれしも暗がりは不安であり恐怖である。対象が見えないから、認識できないからである。人間が将来に不安を抱くのも同じ理由からだ。起業を志しつつも最後の決断が出来ない人が多いのも同じ理由だ。そして必要以上に失敗を大きく仮想してしまう。自分自身で。この不安や恐怖を拭うには、計画内容と段取りを書面に落とし、さらに一度その商品やサービスをテストしてみることだ。小さなレベルでも良いから。最後は自己信頼。自分の志している事業はきっと社会の役に立つ、社会を変えるんだというように。