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【 ROCKY通信 】第250  仙厓の禅画「さじかげん」

 

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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
 

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【 ROCKY通信 】第250回  仙厓の禅画「さじかげん」

  

 

仙厓画 「さじかげん」

 

禅画と言われる禅僧による書画一体となった日本の美術がある。江戸時代に隆盛し現代にも伝世しているが、その代表的なものが今回の仙厓師によるものだ。僕には20年近く古美術・骨董の狐に憑かれた時期があるのだが、その頃にこの仙厓さんと白隠さんにすっかりハマってしまった。特に仙厓さんはとても分かりやすく、その飄逸なスタイルもさることながら、敬愛する出光佐三翁(出光コンツェルンの創業者)がコレクターとして有名であり、それもあって画集を求めたり美術館に通ったりしてきた。

 

さて先月どこで見つけたのか忘れてしまったが、門司港の出光美術館で「仙厓の時代展」が開催されているというではないか。最終日はやまぐち社会起業塾の最終発表会と重なっており、行けるとしたら今日しかない!ということで寒風吹きすさぶ週末の門司港まで繰り出した。25点の仙厓作品が展示されていたが、これだけまとまったものを見るのは初めてだ。

 

 

仙厓展ポスター

 

帰途、いろいろな思いが交錯した。かわいらしいモチーフ、構図、書体、そして画賛。さらにそれらの画をコレクションした佐三翁のことまで思いを巡らせた。そんな中、今回1枚の画にくぎ付けとなった。それは「さじかげん」という画で、画賛とともにKOされてしまった。画賛というのは絵の上あたりに書かれている短い文言で、作者がその画を通じて伝えたいメッセージだ。「さじかげん」には子供が描いたような匙が描かれており、その上に「生かそふと ころそふと」とさらりと書かれてある。つまり人は生かすも殺すも匙加減次第だということだ。

ここ数年近しいことを考えていたのでグサッと来た。対人関係において、特に導くべき後進にはお節介も手伝い持論・経験論から信念までついつい押しつけるような物言いになりがちだ。あとは相手がどのように取捨選択するか血肉化するかの問題であり、それも君の自由と割り切って対峙してきた。「俺はそう思う、君はどう思う?」と。

  

ところがこの仙厓さんは「おまえさん、本当にそれでいいのか?」と画を通じて僕に語りかけてくる。料理で例えれば、塩加減ひとつで同じ素材が全く別なものに仕上がってしまう。塩加減が絶妙ならば、素材の味が引き出され、最高の料理となる。過不足があればそうはならない。由縁あって教育の仕事をしているが、これぞまさにその典型と言えはしまいか。マスプロ教育も意味があると思うが、社起大の教育手法は基本ワンオンワンの個別に近い指導スタイルだ。個々の能力を最大限に引き出すためには、この「さじかげん」こそがまさに鍵と言えよう。

 

出光佐三翁

 

理想的には、マスプロ的に座学で公理を述べ伝え、個別教育の場面では相手の個性を見極めつつ「さじかげん」を調整するというものなのだろう。「さじかげん」を教育において実践するには、こちらにも深い愛や根気も必要だ。この画を通じて、「人間第一主義」を経営のモットーにおいた佐三翁に教えを受けたかのような錯覚を覚えた。伝説から判断すると翁はまぎれもない社会起業家と言える。出光佐三翁のことはまた機会をあらためてしっかりと書いてみたい。

 

佐三翁の書「人間尊重」

 

 

 

 


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