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【 ROCKY通信 】第222回 「農業×社会課題解決」株式会社デナリファーム

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いつもメールマガジンをお読みいただきありがとうございます。

社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
 

このROCKY通信では、皆さんが、人生やビジネスのヒントとなるようなお話をさせていただければと思います。

 

皆さんのお役に立てましたら幸いです。


 
 

【 ROCKY通信 】第222回
「農業×社会課題解決」 株式会社デナリファーム

 

ハウス内オフィスで応対してくれた平岡氏

 

 株式会社デナリファームは瀬戸内海に臨む山口県由宇町の小高い丘の上にあった。「食育&農福連携」を目指す農業法人の同社事務所はビニールハウスの中だった。どこかで拾って来たかのような机と椅子。失礼!一瞬あっけにとられたが、快活な代表の平岡氏が笑顔で迎えてくれた。同社は元自衛官2人が4年前に起業した。代表の平岡氏はヘリコプターのフライトエンジニア、副代表の野間氏は護衛艦のレーダー監視員だった異色の経歴の持ち主だ(野間氏はぎっくり腰で当日はお休み)。

 

そして現在はイチゴのハウス栽培とサツマイモ栽培に乗り出しており、ともに県内一の生産高を目指している。起業のストーリーや今後の展望などの話を聞いているうちに、あっという間に時間が経っていた。面談を終えて、1つ明快になったことがあった。平岡氏は紛れもない「社会起業家」だということだ。

 

デナリファームの創業コンビ 平岡氏(左前)と野間氏(右奥)

 

最初に聞いた質問は「なぜ自衛官から農家に転身したのか?」というもの。たぶんこれまで100回は聞かれた質問だろう。笑 平岡氏と野間氏は愛媛出身。新居浜高専時代からの親友で、登山やスキーが共通の趣味。ともに海上自衛隊に入隊し、休日は頻繁に中山間地区を走り回っていた。その時すでにいつの日か腰を据えて農業をやろうという夢が芽生えていたという。

 

作物をイチゴとさつまいもにしたのは、子ども達が喜ぶだろうという思いから。子どもの食育や就農体験をミッションの1つの柱とし、就農体験も積ませたいという。僕も小6の時に、近所の農家のおじさんが芋堀りや田植えをさせてくれた時のことは鮮明に覚えている。殊に大きな芋を掘り当てたときの喜びは格別で、農業の楽しさを知る原体験となった。

 

現在デナリファームは海辺のハウスでイチゴづくり、中山間地区でさつまいも作りをしている。後者は耕作放棄地を借り受けて開墾さながらのプロセスを経てのものだ。今後さらに作付け地を拡大してゆく中で、耕作放棄地の引き受けは社会課題解決の一助となっている。地域の農家の人々から感謝されているそうだ。さらに農作業の現場には障害者や退役自衛官の受け皿となっているそうだ。

 

同社の経営面は平岡氏が、オペレーション面は相棒の野間氏がそれぞれ分担している。公(ビジネス)におけるビジョンの共有はもちろん、私(プライベート)における2人の夢も共有されており、社名はそこに由来している。“デナリ”という北米最高峰のアラスカにある憧れの山に、いつか一緒に登ろうというもの。良い話だ!笑

 

スマホで管理されるイチゴハウス

 

視察させてもらったイチゴのビニールハウスは想像を超えたスケールだった。しかも随所にハイテク技術が仕込まれており驚いた。海自時代、メカニック指導者だった平岡氏のIT知識が随所に生かされている。温度や湿度をスマホで一括管理するICTシステムを導入し、水量コントロールも自動管理だ。社会課題の解決に自らの強みをもってビジネスで挑む平岡氏は、社起大の教育モデルである“SECメソッド”をまさに体現した人だ。

 

我々の会話している最中に脇を通った主婦の一団はイチゴの集荷作業帰りだった。楽しそうに会話していた。そして可愛い作業着が目に止まった。労働時間は本人が自由に設定できるそうで、家事育児などの合間で楽しく仕事ができる。「辞める人いないでしょ?」と聞くと、にっこり頷く平岡氏。あらゆる点でサステナブルな農業を目指したいと胸を張る。

デナリファーム企業理念

 

平岡氏との対話には社会起業家を目指す人にとってのヒントがたくさんある。平岡氏は農業経験者ではないが、それは大きな問題ではない。僕も未経験分野で起業をしてきた。氏は社会貢献の対象として農業に取り組む「強い動機(ソーシャルミッション)」を持っている。地域における食育、福祉、農地承継との連動性だ。そこに元メカニックとしての知見を生かして「自分らしさ」をビジネスに価値づけしている。ICTだ。

 

だが肝心の農業技術に関しては不案内。そこをカバーすべく、地元JA、県農林水産部の人々から資材、肥料メーカー、そして農業法人協会の人々まで駆けずり回って教えを乞うて来たそうだ。これは起業家にとって大事な資質だ。「知らないことは知っている人に聞きに行く」を実行して来たわけだ。実は、起業家志望の人にも意外とこれが出来ない人が多い。そして氏には信頼感で結ばれ、強みの異なる相棒がいる。親友と起業して空中分解する例は枚挙に遑がないが、この2人に関しては安泰だ。

 

まだ起業して4年にもかかわらず、中山間地域の高齢地主から農地を引き継いで欲しいという話も舞い込んでくるようになったそうだ。高邁な理念への共感だけでなく、短期間で出した実績が評価されてのものだと思う。デナリファームには「農業×社会課題解決」で県内での成功事例になってもらいたい。そして後続する国内の農業起業家の目指す星となってもらいたい。

 

株式会社デナリファームHP

Home | Denali Farm

 

 

 


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