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【 ROCKY通信 】第213回 屋外アート鑑賞会「脳が脱皮する美術館」@峨嵋山

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【 ROCKY通信 】第213回
屋外アート鑑賞会「脳が脱皮する美術館」@峨嵋山

 

お気に入りの赤い絵(エイブルアート・カンパニー所属作家)

 

峨嵋山全景

 

光市室積に峨嵋山なる山がある。少年時代に大好きだった芥川の杜子春の物語を思い出す。先週末その山中でアートイベントに参加してきた。社起大でもおなじみの福島治氏によるライブでの対話型アート鑑賞会だ。タイトルは「脳が脱皮する美術館」。福島さんは、フクフクプラスという会社を起業され、障がい者の社会進出をアートで実現する社会起業家であり、また東京工芸大学の名誉教授でもある。2月にはオンラインで僕と公開対談していただいたばかりだ。今回は瀬戸内海に望むその峨嵋山中にある屋外相撲場が会場に選ばれた。地元のアート愛好家や障がい者支援の関係者が多く集まった。主催者は「やまぐち社会起業塾」2期生で、先日起業を果たしたばかりの松村氏と山本氏だ。

 

会場となった土俵桟敷

 

そう高い山ではないとはいえ、山道の勾配は意外に急で、下見や荷物運びの手伝いで何往復もしたので息は切れ足はパンパンになった。山頂には神社があり、その直下に古代ギリシャの円形劇場を想起させる相撲の土俵桟敷が。なんでも江戸末から明治初期にできた土俵らしい。長きにわたり放置されていたそうで、雑草が生え原形を留めていなかったのを山本氏を中心とする市民ボランティアの努力で昨夏に復元されたそうだ。会場の土俵には10枚ほどの障がい者による絵画が並んでいた。真っ先に目が行ったのは鮮烈な赤い絵だ。内容はともかく赤に惹かれた。赤がマイカラーなこともあるが、色だけで釘付けになるとは我ながら呆れてしまう。俺は闘牛か!? 笑 土俵に近寄って一通り展示作を見て席に戻るが、やはり最初に気に入った赤い絵が気になってしまう。

 

福島さんと参加者による対話

 

福島さんが1枚ずつ絵をえらび、都度5名ほどの参加者が呼ばれる。そして優しく語りかけられた。「まずはじっくりと絵を眺めてください」「左脳を使うのでなく、右脳で、心で絵を見てください」「あなたがこの絵の作家なら何というタイトルをつけますか?」参加者は真剣に目を凝らし眺める。はじめはどうしても左脳が働く。ついアタマで理解しようとするのだ。これは○○の作風の影響だな。このモチーフはきっと○○に違いない。この構図は〇○を意識したにちがいない、etc. 皆さんの表情からもそのような様子が伺えた。しかし、それにもかかわらず口から発されたタイトルは皆さん全く異なるものだった。近しいことを言った人は誰1人としていない。不思議だ。次から次へと鑑賞画が変わり、福島さんから異なる質問が出される。「この絵の中にある乗り物にはどんな人が乗っていて、どこへ向かうのでしょう?」「この家の中にはどんな人が住んでいるでしょう?なぜここに住んでいるのでしょう?」「この文字を見てあなたはどんな夢を語りたくなるでしょう?」等々。

 

桟敷風景

 

後半になると皆さん慣れてきて、右脳と心で見始め、そしてより自由に語るようになってきた。奇想天外なストーリーを語りだす人もいて、会場からは笑いも起きる。「なーるほど。これが脳が脱皮する瞬間なのね!」とつい合点がいった。同じ絵を見てそれぞれが思い思いに自分の感想や意見を自由に述べる。福島氏の引き出し方が丁寧で絶妙なので、参加者は解放され自ずと饒舌になり、福島さんとの対話を楽しんでいる。屋外にいることも忘れてマイワールドに浸っている。さすが本プログラム開発者だ。休憩時間には地元の名店「コーヒーボーイ」のホット珈琲が振舞われ、参加者同士でさらなるアート談義に花が咲く。

 

しかし1枚の絵を見てこれだけ見方が異なるというのは何なのだろう?新鮮な驚きだった。たしかショーペンハウエルが言っていた。「人は自分が見えるようにしかモノを見ない」みたいなことを。ある意味で右脳や心で絵を見るとはそういうことなのかもしれない。いま左脳思考ばかりが強調されているが、それでは差別化された新たな発想やダイナミックなイノベーションは生まれないのでは?真のクリエイティビティは自由を前提とした五感や直感からしか生まれないのでは?などと思いを巡らせながら下山した。

 

福島さんはこの対話型アート鑑賞のプログラムを企業研修にも使ってほしいという。ダイバーシティ、チームビルドといった時代のキーワードとも連動するそうで実施企業からは好評らしい。今回はライブでの実施だったが、オンラインでも可能だそうだ。いろいろな形で日本中に広まればいいと思った。

 

イベント動画はこちらから→ https://www.youtube.com/watch?v=jwMhxUU1q-A


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