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【 ROCKY通信 】第208回 「じゃリン子チエ」 漫画四天王

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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
 

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【 ROCKY通信 】第208回 「じゃリン子チエ」 漫画四天王

漫画 じゃりン子チエ

 

僕には漫画のマイ四天王がある。「じゃリン子チエ」「明日のジョー」「がきデカ」「三国志」がそれらだ。今日はその中でも思い入れの強い「じゃリン子チエ」について書きたい。先週末にたまたまユーチューブ検索をしていたところ、なぜかアニメ版「じゃリン子チエ」が出て来たのを見たのがきっかけだ。あらためてこの漫画には強く惹かれてしまった。作者ははるき悦巳、掲載誌は漫画アクション。1978年10月12日号から1997年8月19日号まで約19年間連載されたそうだ。今の若い人達はこの漫画の名前すら知らないだろうが、僕の中では金字塔的な作品だ。

 

舞台の大阪下町

 

物語は大阪の下町を舞台に繰り広げられるドタバタ人情コメディー。まさに笑いあり、涙ありの昭和中期の浪花の日常。ストーリーは、主人公の小学生チエちゃんと超規格外の父親テツを中心に進む。アクの強い地域の人々、チエの小学校の友人に先生、そして人格化されたネコまでもが大事なキャストとなってストーリーを盛り上げている。人間関係における道徳的な要素も多分に含まれていて、僕は娘の保育園時代、道徳教育としてこの漫画を使った。毎週1巻ずつDVDを借りて来て一緒に見た。時に笑いこげながら、時にしんみりしながら、彼女らもチエちゃんワールドに引き込まれていた。

 

この漫画の何が好きかというと今や失われつつある人間の直接的で情緒的な対話や交流だ。親子の濃い付き合いやそこに生じる感情のヒダ、地域や近所の人々との人間臭くも暖かなやり取り。映画「男はつらいよ」にも通じる生き生きとしたコミュニティの人々の息遣い、リアルな生活感、そして人情。人情といっても単に甘ったるいものではなく、必死で生きているたくましい登場人物たちの臨場感がベースにあるのだ。そこがまた面白いのだ。

人々が戦後復興に猛進していた昭和中期の時代、忙殺されつつも社会全体が希望を持っていたその時代へのノスタルジーにどっぷりと浸れる。今や幻想風景のようにも思われる。聖地巡礼ではないが大阪に出張が多かった20年前、舞台だったと思われる西成区の萩之茶屋界隈をぶら歩きし、ホルモンや煮込みをつついてみた。

 

働き者のチエちゃん

 

今日は主人公のチエちゃんとテツについてだけ少し触れてみよう。

チエちゃんは小学生なのに、父親が働かないので家業のホルモン屋を一人で切り盛りしている。今なら児童労働で摘発されそうだ。笑 赤い髪留めが愛らしく、いつも下駄履きのチエちゃん。運動神経抜群で喧嘩も男子顔負け。明るく芯が強いのだが、性根は優しい子で地域やクラスの人気者だ。父親のことをテツと呼び捨てにし、完全にコントロールしている。泥酔した客や代金をごまかそうとする客も簡単にあしらうしたたかさも持ち合わせているが、「ウチは日本一不幸な少女や」が口癖。

クラスにいるときは普通の小学生で可愛らしいのだが、帰宅してからは大人に豹変する。飼っている猫の小鉄を可愛がっているのだが、この猫がまた強くて優しく存在感を示している。また、何らかの訳あって別居している母をこよなく愛しており、月に一度公園でデートするのが一番の楽しみ。アニメ版では中山千夏さんが声優でチエちゃんの動じないたくましさや、細やかな心のヒダを絶妙に演出している。

 

フーテンのテツ

 

父親のテツは破天荒の一言。明日のジョーの丹下段平がモデルと聞いたことがあるが、似ているのは風体だけでキャラは全く異なる。豪放磊落、天下無敵の強さを誇るが正義感が強く正直者で実は根は優しいのが魅力。酒タバコはやらず、大の甘党。子供がそのまま大人になったような性格で、地域の男子たちからは恐れられつつも愛されている。喧嘩と博打が三度の飯より好きで、ヤクザも避けて通る存在。ヤクザをカツアゲして小遣い稼ぎするシーンもあり大笑いした。確かボクシングのチャンピオンのスパーリング役を買って出て、ワンパンチKOしてしまい半泣きさせたことも。

もう40も近いのに仕事もせずに近所で遊び呆けているので、ホルモン屋の看板はテッちゃんの店と書いてあったのに、チエちゃんの店と書き換えられてしまった。粗暴だが実は優しいテツの声優は西川のりお。これ以上ないくらいのハマり役だ。そんなテツだが僕の中では今もヒーローとして君臨している。

 

 

うーむ、なかなか言葉だけではこの漫画の偉大さは伝えきれない。ユーチューブでも一部見れるので、ぜひお時間のある時にご高覧を!

 

 

名脇役 小鉄(右)とアントニオJr(左)


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