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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
このROCKY通信では、皆さんが、人生やビジネスのヒントとなるようなお話をさせていただければと思います。
皆さんのお役に立てましたら幸いです。
ついに先週還暦を迎えてしまった。「他人じゃなくてこの俺が!?」って感じです。50を過ぎたあたりから誕生日の意味も薄れて来て、殆ど毎年忘れてしまうようになっていた。しかしさすがに60ともなると今回ばかりは色々考えてしまった。これまでのこと、そしてこれからのこと。
僕は30半ばで弟を失って以来、死地からの目線で常に生きて来た。未来から現在を見る逆視線で。全てはその瞬間を悔いなく納得の行くものにしたかったから。しかしここにきて不思議なのだが、自我意識が抜けてきた気がする。残りの人生は神意に委ねるような心境になっている自分がいる。さてそんな一週間の話を。
まず皮切りは藤藪庸一氏との特別対談での気付き。これは僕の中では大きかった。社起大の開学の理念は「人が最も深い喜びを感じるのは、自分才能を生かして誰かの役に立った時である」というものであり、冒頭でその話をした。これは自分の実体験にも基づいたもので、多くの社起大卒業生達にも共感されてきた。実際、社起大のあらゆるカリキュラムのベースとなっているものだ。
しかし藤藪さんが日々お世話されているのは自殺志願者、元志願者の人々だ。彼らはそこに至る前の方々だ。地上の80億人のうち少なくとも1割以上の人々がそうだと推測される。藤藪さんは「生きてくれているだけでもいい」、「そこにおってくれるだけでもいい」という表現をされていた。僕の周りには普段そういう人々はいない。重い持病を持っていたかつての社員のお母さんから一度だけ同じ言葉を聞いたことがあったが、それくらいだ。つまり自分は知らず知らずのうちに驕ってしまっているのではないか?という気付きをもらえたことだ。藤藪さん、ありがとうございました。
次に「やまぐち社会起業塾」の最終講義後のサプライズのプレゼント。無事12回目の授業が終わり、さあ教室を後にしようとしたところで皆がハッピーバースデーを歌ってくれ、人生で一番美しい花束と寄せ書きノートをプレゼントしてくれた。この日はクリスマス月であることと還暦の意味も込めて、赤いニット帽に赤いセーターに赤いシャツで臨んだのだがまさかこういう展開になるとは思っていなかった。本当に嬉しかった。寄せ書きにはこの半年間の本気のぶつかり合いで築いた相互信頼のようなものを感じることが出来た。宝物だ。美しい花はしばらく楽しんだ後で、ドライフラワーにしようと思う。
また10年来のボクシング仲間の娘さんがパティシエで、フレンチ焼菓子を作ってくれたのも嬉しかった。マドレーヌ、フィナンシェ、ガトーショコラ、クッキー etc いずれも本格派の逸品で、コーヒーを淹れて美味しく頂いた。
耳順、孔子の教えの60歳を迎えた時の指針だ。60になったら他人の言うことがよくわかるようになる。だからよく聞けと言うことだ。これまで、高校を卒業した頃から自分の考えにこだわって来た。オリジナリティへの憧れがあったから。30を過ぎたあたりから、大事な決断はなるべく自分だけでしてきた。自己責任だから結果がどうあろうと後悔はない。さて、ではこれからどうしようか、、、
年を重ねて色々な経験の引き出しは増えているとは思うが、決めつけからくる偏狭さや判断の鈍りも出てくることも同様に増えてくることだろう。今後は考え方のダイバーシティを楽しめるようになりたい。そして迷った時は他人の意見もしっかり聞いた上で、最後は独断したい。あえてもう一つ物差しを加えるとすれば、「理想とする自分」ならどう考えるのか?というものだ。神目線といっても良いかもしれない。
いつの日か、三途の川を笑顔で渡りたいものだ。