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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
このROCKY通信では、皆さんが、人生やビジネスのヒントとなるようなお話をさせていただければと思います。
皆さんのお役に立てましたら幸いです。
日曜、アショカJAPANの主催したユースベンチャーというイベントに参加してきた。コロナ以来なので4年ぶりとのこと。同団体代表の渡邊奈々さん(以下Nanaさん)にお誘い頂き、出張先から急いで帰京した。ユースベンチャーのコンセプトは、若者が気づいた世の中の違和感や矛盾に自らの行動を通じてアプローチする場。あくまで主体は若者にあり、大人はそれを見守るというもの。
アショカ について少し触れると、ビル・ドレイトンを祖とする世界初の社会起業家を発掘する財団だ。ワシントンに本部がある。社会起業家という概念は彼によって生み出された。NanaさんはアショカJAPANの代表で、「チェンジメーカー」という著書も世に出された方だ。今週のメールラジオでも触れるが、僕が社会起業家を目指すきっかけにもなった本だ。
少し遅れて渋谷の会場に到着すると、すでに多くの若者(高校生、大学生)とちょうどその父兄にあたる50代の方々が既にたくさん集まっていた。そして、当日のパネラーである若者5人が壇上で自己紹介を始めた。皆さん自ら取り組んでいる社会課題を明示し、その解決の為の具体的な活動内容について語った。
取り組み内容は様々だが、しっかり信念を持っていることに感心した。多様性の認識をボードゲーム化した高校生、受験勉強よりも大事な根源的な学びを提唱する大学生、子供が自らの意思で遊べるプレーパークを主催する大学生、ヤングケアラーの問題解決に挑む大学生、そして返却不要の青空図書館を主催する高校生。
その後彼らの臨時ブースを設け、参加者が自由に回りパネラーや参加者と対話するという仕立てだった。僕は返却不要の屋外図書館「川の図書館」を運営する女子高校生のSARAちゃんのブースに行ってみた。僕も自宅を活用して屋外絵本図書館をやりたいと思っていたからだ。彼女の活動はユニークだ。毎日曜日、多摩川べりに数千冊の本を仲間と運んで返済不要の自然図書館「川の図書館」をやっている。
行政の許可が下りない中で、当時まだ中2だった彼女はその構想を進めるべく、拒絶理由を一つずつひっくり返して実現にこぎつけた。最初は誰も興味を持ってくれなくて、「川の図書館」はスルーされまくったとのことだが、今では国内10拠点のソーシャル活動となり、大手企業のサポートも入ったとのこと。行動する若きチェンジメーカー、立派だ。
僕が17歳の時に何を考えていただろうか?将来起業したいと思っていたので、どんな事業しようかな?とか、1年後の受験のこと、大好きだったROCKやBOXINGのこと、そして好きだった異性のこと、、、きっとそんなところだったと思う。あ、あと授業での哲学講義には熱中したかな。それはそれで楽しい思い出だが、1970年代後半の当時、社会に対して自分が何を出来るか?という発想は微塵も無かった。それを考える場も無かった。
さて、イベントも後半に。シニアは別室に隔離された。笑
NanaさんとSARAちゃんママとのパネルトークだった。これは実に歯ごたえのある内容だった。お二人は思うがまま個人的な教育論を語っていたのだがSARAちゃんママの話にグサッときた。
特に効いたのは、家族における父親のプレゼンスの話。多くの家庭で、子供が一定年齢になると父親は臭いとかウザいの対象となっており、「家庭内イジメ」の標的になっているとのこと。それは子供達が全く同じことを学校で、また将来社会で同じことを繰り返すことになるある種原体験になるという話。
SARAちゃんママの話は、深い考察と観察に基づく示唆に富むものだった。母親の平素の口調がそのまま外部での子供の発言スタイルにもつながっているという。社会の最小構成組織である家族のあり方が子供の将来に影響を与えるという。当たり前の話なのだが、あらためて再考させられた。会終了後に、この話のポイントのキーは母親なのか父親なのか、どう思いますか?と聞いてみた。返答は双方とのことだった。
個人解釈してみた。夫婦愛と信頼関係が家族というビルディングの基礎工事となり、その上に家族が成立している。そしてその基礎があって初めて子供たちは安心して自分の描く人生にチャレンジして行ける、と。アドラーの教育論にも通ずるものだ。
3時間のイベントだったが、楽しくかつエキサイティングな場であった。子供も大人も本音で語り合う対等な関係性が担保され、参加者皆が自由だった。帰途、幸福な気持ちになった。Nanaさんありがとう!
Saraちゃんの紹介記事