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【 ROCKY通信 】第178回 「サービスの危機」

メールマガジンご購読者の皆様
 

いつもメールマガジンをお読みいただきありがとうございます。

社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
 

このROCKY通信では、皆さんが、人生やビジネスのヒントとなるようなお話をさせていただければと思います。

 

皆さんのお役に立てましたら幸いです。


 
 

【 ROCKY通信 】第178回 「サービスの危機」

ここ数年だろうか

日常生活のいたるところで、「サービスの危機」を感じている。それに伴いライフスタイルの構造変化が起きている。旧人類に属する自分には苦痛だし、時として不快になることもある。が、これは大きな意味での時代の構造変化であり、それに適応できなければさらなるペインを味わうことになりそうだ。

 

つまり経済効率を前提としたサービスの再構築、再設計だ。悪い例えかもしれないが、あらゆるサービス業のIT化とも言える。ロジカルシンキングをベースとした、サービス業のデジタルフォーメーション化だ。そこではITやDXを前提とした世界があり、これまでの常道であった生身の対人コミュニケーションは原則排除される。

あらゆる接客要素をデジタル分解し、コストに置き換え、ロジカルに判断し、とことん無駄を排除しようというもの。そこにはクレーム対応リスクをミニマイズしたいという意図も見え隠れする。ITやDXに関しては国家ベースの取り組みであり、大きな潮流なのだから如何ともし難い。

 

例えば、最近のメガバンクも店舗受付もしくは電話で要件を受けて、顧客のニーズに応じて振り分けられる。証券会社も同様だ。通信会社にWiFiの申し込みをすべく0120で始まる電話番号に電話をしても、総合病院にアポイントの要件で電話しても同じだ。電話が死物となりつつあるのを感じる。大手電鉄会社に運行状況の確認電話をしようとしても、航空会社にチケット購入の電話をしても、スーパーで探し物を訪ねても同じだ。

それら第三次産業系の会社でなく、第二次産業系(製造業、メーカー)に商品に関することで連絡しても同じだ。まずは機械音声で振り分けが行われ、最後になってやっと生身の肉声が現れる。まるでこっちは顧客でありながら企業サイドのオートメーションに組み込まれた一部品であるかのような錯覚を覚える。

最近はHPに電話番号を明記していない企業も多い。まるで話しかけないでくれと言われているようだ。最悪なのは、サービスが分断されている(部門特化)ので、複数部署とまたがるような質問には誰も答えられず、たらい回し現象が起きる。統括責任者と話をさせてくれと言っても拒否される。電話口で我慢強く(下手をすると半時間以上)ウェイティングし、やっと番が回ってきても、その部門におけるピンポイントでない包括的な質問への回答は得られない。

相手方もサービスフローの一部しか担っていないので仕方ないとは思うが、そこで顧客の「不」が満たされことはまず無い。そしてその状態で話は終わる。こちらは「不」を抱えたまま泣き寝入りだ。嫌ならどうぞ同業他社の顧客になって下さいという空気に支配される。

 

アイフォンが前提の日常生活となっている今の30代以下には全く問題なく受け入れられているのかもしれない。「オジさん、そんなことでいちいち目くじら立てるなよ」と。

ここに来て、これまで最も劣悪だと批判されてきた行政サービス、それもローカル行政の接客が相対的に良化しているのを感じる。年始に父が帰天した際にあらゆる事後手続きをするのに役所回りをしたのだが、多くの窓口で丁寧な対応をしてもらえた。複数部門に跨る要望に対し、部門間での情報共有もしてくれ、気持ちの良い対応をしてくれ望外の喜びを感じた。感謝の気持ちすら起きた。

 

このIT化社会を前提としたサービスの分断は、若い世代には何ごともなく受け入れられるのだろうが、正直僕には苦痛だ。しかし時代の趨勢はそこにあり、抗うことはできない。

反面、「サービスの原価とは?」という発想が、サービスにおけるイノベーションの問題提起となるかもしれない。少なくとも日本ではサービスはタダという概念が前提の社会だったが、相応のコストと捉えるようになれば有償サービスの概念も定着するだろう。そこに新たなビジネスチャンスが生まれる。

富裕層と言われる人々は、エキストラ対価を支払ってもより快適なサービスを求めるであろう。「サービスの分断」をポジティブに捉えればチャンスでもある。それを埋めるという企業意思が働けば、大きな差別化のポイントとすることが出来るだろう。最後は顧客による選択だ。


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