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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
このROCKY通信では、皆さんが、人生やビジネスのヒントとなるようなお話をさせていただければと思います。
皆さんのお役に立てましたら幸いです。
先週末、第2期「やまぐち社会起業塾」が無事開校した。これは山口県が主催し、山口銀行グループが総合企画、プログラムは社起大が提供するという社会起業家の発掘、育成、支援するプログラムだ。昨年度より開校した(昨年度は西京銀行が総合企画)。今回は参加者15名中12名が女性という女性が8割という年だ。
また第1期は、県央、県東部からの参加者が集中していたが、今回は県西部からの参加者もおりバランス良く県内全域から集まってくれた。職業もまちまちで、勤め人、個人事業主、NPO活動家、会社役員から主婦まで実に多彩だ。僕の理想とする高杉晋作の奇兵隊のイメージに近いかもしれない。また塾生の活動を期中から起業するまで背後から支える「伴走支援チーム」は今年も盤石だ。各界のスペシャリストが名を連ねてくれた。
女性がマジョリティだと、クラスがメルトするまでのスピードが早い。あたかも旧知の仲であるかのような対話がいきなり普通に行われる。どこかで似たような感覚を経験した。デジャビュのような気持ちになり、思い出した。かつて小学校のPTA活動に参加していた時に思ったことだ。あの時も、初対面のママ同士があっという間にメルトし年間の運営計画から班分けまで済ませてしまった。男同士だと中々こうはゆかないものだ。
各人が取り組む社会課題は、ハッキリと決まっている人もいれば、まだふんわりとしている人もいる。女性は自分が当事者として体験したことや、身近な生活における気付きがテーマとなっている人が多い。直感や経験で社会課題を素早く掴んでいる印象だ。男性はどちらかというと理屈も押さえた上でのテーマ選択という人が多い気がする。これは社起大の本校でも見られる傾向だ。どちらが良いというわけではない。ただ取り組む社会課題の選定は早い。
プログラム後半のビジネス領域に入ってくると四苦八苦する人が多いのも事実だが、女性は社起起業家という生き方、仕事には向いていると思う。実際、「チェンジメーカー」という社会起業家を目指す人のバイブルのような本があるが、そこにも世界中で活躍している多くの女性起業家が紹介されている。
さて、開校式や初回クラスなどで僕が最も大切にしているのは「場の空気」だ。人は多くの場合、理よりも情で動くからだ。未来志向でポジティブな、そして自由な空気の醸成を常に心掛けている。大事なのは自分が思っていること、感じたことを素直にそのまま発言できること。そして他者の発言に対し、賛否は別として聞き手が傾聴してそこから学びを得ようという姿勢を持つこと。ダイバーシティの良さはそこにある。
僕の役割は、まずはクラスの生徒たちが取り組むテーマは異なれど社会貢献意識という1点で横串を刺し、仲間がいるんだという喜び、同志がいるんだという僥倖を感じてもらうこと。そして教理の伝授ではなく、生徒たちが自らのソーシャルミッションを発見するのをお手伝いし、それを最終的にビジネスで表現できるように誘導させて頂くだけである。
さあ、船は港を出た。
寄港を繰り返しながら目的地である12月の発表会まで、どんなドラマがあるのだろうか?今からとても楽しみにしている。
NHK『社会課題解決へ起業家を育成「やまぐち社会起業塾」開講式』
周南市在住作家 徳原望氏の作品