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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
このROCKY通信では、皆さんが、人生やビジネスのヒントとなるようなお話をさせていただければと思います。
皆さんのお役に立てましたら幸いです。
今年の周南公立大学のアントレプレナー実践コースは、クラスの半分以上が1年生そして県外出身者が9割以上というユニークな構成となった。自分の子供と変わらない年の彼らは、息子であり娘ということになる。
今回のテーマは買い物難民と言われる少子高齢化の象徴である中山間地区(里山地区)と離島の課題解決にトライするというもの。前者は山チーム、後者は海チームと名付けられた。具体的には市の協力も得て、移動販売車を学生自ら運営させてもらうことにした。地元の障がい者アーティストにデザインしてもらったお揃いのTシャツを着て一同気合いは十分だった。
6月30日、まずは山チーム。大雨避難警報が出る中で5箇所を巡った。最初の2箇所は山チームの巡回先の最も過疎化が進んだエリア。事前の聞き込み調査では新鮮な魚が欲しいという声が多く、刺し身、切り身、丸魚を大量に積み込んだ。魚はその日の朝獲れた近海ものを漁師さんが持ち込んでくれたもの。ところが、、、お惣菜や菓子は売れるが、魚がどうにも出ない。一体なぜ?特に2箇所目は大事な集客ポイントであったはずなのだが、暴雨に見舞われ殆ど来客が無い。学生の顔にも不安が翳る。
3箇所目は廃校を利した公共施設。そこのグランドでの販売。雨脚は強まる一方。雨除けの庇も傘も意味をなさない烈雨。この日、グランドにある薪窯で、どうしてもピザを焼きたいと主張したF君がいた。チームの仲間は半信半疑。コロナ禍で3年間使用されていない地域自慢の薪窯。どうにかして窯を復活させて地域のご高齢者たちにピザを提供したいという彼の熱い思いがチームの仲間に伝播した。
窯から上がる煙のせいか、学生たちの熱気のせいか、少しずつ地域の人々が集まりだした。どうやらお目当てはピザのようだ。次々とオーダーが入る。優しいおじいちゃんが、わざわざ畑から茄子とピーマンを取ってきてくれた。それを刻んでピザ生地にのせて焼き上げる。見た目にもSo Good !だ。端切れを生で試食してみた。なんという瑞々しさ、何という自然な甘さ!僕は感動してしまった。強気の仕込みにも関わらず、ピザは完売した。
そしてそこには活気溢れるコミュニケーションの場が生まれた。おじいちゃんおばあちゃんと学生、そして久しぶりに会ったご高齢者同士も会話が弾む。この空気を共有した学生たちのテンションは嫌が応にも上がる。
4、5箇所目はおばあちゃんたちと一緒に「百歳体操」なるものを一緒に体験するというもの。これも良かった。地域の週例イベントに学生たちが仲間入りさせてもらうものだったが、学生のみんなは必死。目を横にやると、おばあちゃんたちは鉛を手足につけて負荷をかけてやっているではないか!動きこそスローとはいえ、そのスローさが逆に効いた。また関節の柔らかさも要求され、僕には実に長い30分だった。
そして体操が終わったあと、おばあちゃんたちはこぞって移動販売車に来てくれた。そしてたくさんのお買い物をしてくれた。魚も良く売れた。
5ヶ所目の最終ポイントでは、やはり体操を終えたおばあちゃんが移動販売車に集結してくれ、あらゆる商品を買ってくださった。学生たちも大いに盛り上がり、皆さんとの会話も弾んだ。帰途に着いたおばあちゃん達は、体操の疲れからか足元は覚束ないながらも、元気になったその後姿が印象的だった。
山チームは、素晴らしいチームだった。準備段階から1人1人が自分の役割をきっちり果たしてくれた。いや、それ以上だ。自らの意思で状況判断して動き、役割以上のものを果たしてくれた。結果この悪天下で売上は大健闘!そして彼らが今回のミッションとして掲げた、地域の高齢者との「心の交流」。この目的もしっかり果たしてくれた。気のせいか、ちょうど孫の年齢にあたる学生たちの純情熱意にほだされて、財布の紐も少しゆるくなっていた気がした。笑
来週は海チーム編、乞うご期待!