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【 ROCKY通信 】第166回 日本一 タクシー業界の虎 黒土始

メールマガジンご購読者の皆様
 

いつもメールマガジンをお読みいただきありがとうございます。

社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
 

このROCKY通信では、皆さんが、人生やビジネスのヒントとなるようなお話をさせていただければと思います。

 

皆さんのお役に立てましたら幸いです。


 
 

【 ROCKY通信 】第166回 日本一 タクシー業界の虎 黒土始

第一交通産業 創業者 黒土始

 

会社HP(創業者略歴)

https://www.daiichi-koutsu.co.jp/group/gaiyou/founder_profile.php

 

僕の出生地、小倉(現北九州市)は幼少期から中学時代にかけて自分の価値観に影響を与えてくれた街だ。その小倉で、立志伝中の起業家、黒土始さんが先月101歳で帰天されたことをYahoo!ニュースで知った。黒土さんが一代で築き挙げられたのは、第一交通産業という日本一の規模のタクシー会社である。保有台数はなんと8200台だそうだ。M&Aの手法を駆使した戦略で小倉の一中小企業から全国制覇を成し遂げた。

M&Aというと一般的に傍若無人に買い叩いて規模を拡大するドライなイメージがあるが、実は以前にM&Aされたほうの企業の幹部から感謝の念を直接聞いたことがある。東京の私鉄大手、T電鉄の部長さんから聞いた。「九州の伝説の起業家に、うちのタクシー事業を買ってもらったんだ。本当に凄い男で、いろんな企業が手を挙げてくれたんだけど、黒土さんの気合にほだされて、第一交通さんにお願いすることにしたんだ」と。

 

 

小倉名物の祇園太鼓

 

実は、黒土さんとは子供時代に何度もお会いしていた。7月の祇園祭りや盆正月に。実は林の本家の隣が黒土さんの創業の地で、小さなタクシー会社を運営されていた。狭い敷地に車は多分4、5台しかなかったと思う。

林の本家も商売をしていたこともあり、黒土さんとの交流もあったようだ。よく黒土さんが本家にお見えになっていた。隣地で便利なこともあり、よくタクシーにも乗せてもらった。そして本家が地所を売却する際に黒土さんが購入してくれ、そこに現在の第一交通の本社が建っている。

 

 

第一交通産業 本社

 

僕はBAGEL&BAGELを小倉に出す時に黒土さんのことを思い出し、会いに行った。もう20年ほど前の話だ。受付で身分と面談主旨を伝えると、完全な不審者扱いとなり、いかつい感じの方が出て来られた。大企業のオーナー経営者になられたのだから、それも致し方ない。笑

その方が「そげん話やったら会長は会うてくれるかもしれん」と言われて離席され、その後最上階の会長室に通された。黒土さんがにこやかに出迎えてくれた。「あんたのことは覚えちょらんが、あんたの爺さんには随分可愛がってもらった。あんたの叔母さんとの縁談話もあったとよ」と笑われた。当時90前だったと思うが、とても高齢のお爺さんとは思えない迫力があった。

一番嬉しかったのは、起業家として生きている僕に対する共感、そして生地小倉に店を出す僕の心意気をことのほか評価してくれたことだ。実はその出店は社内で全幹部から反対された。マーケティングの観点からはそうなるのは致し方なかったが、そういう問題ではなかった。僕は会ったことのない祖父に憧れて起業家の道を選んだ。僕が生まれる前に亡くなった爺ちゃんに喜んでもらいたかった。

そして僕のそんな気持ちを汲んでくれた黒土さんに心から感動した。まるで祖父に会ったような錯覚を覚えた。そして別れ際に、感謝の気持ちを伝えてくれつつ1階玄関まで送ってくれた。強さと優しさ、そして今や失われつつある情理のある方だった。

 

以来、東京であろうが地方であろうがタクシーに乗るときは極力第一交通を選んでいる。地方は特に第一交通が強いので、お世話になっている。黒土さんの葬儀翌日にある地方都市で第一交通のタクシーに乗った。運転手さんに黒土さんが亡くなられた話を振ると、買収された会社側の運転手さんで、黒土さんのことはあまりご存じなかったが、今朝朝礼で合掌し会長の遺訓を聞かされたと言っていた。

 

改めて黒土さんのことをググってみた。福澤諭吉と同郷の大分の中津のご出身だ。叩きあげの業界人かと思い込んでいたが、名門大分高商を戦争で中退していたことを知った。戦争が転機となり学位を捨て、国のために戦い、そして復員後に起業された。ゼロイチのスモールスタートで。戦争という最も理不尽な転機を自らの起業に生かされたという点がすばらしい!

黒土さんは起業家という言葉だけには収まらぬスケールの持ち主だ。地域を大事にし、2017年に北九州で起きた豪雨災害の復旧、北九州全域での交通事故対策など寄付活動にも力投され、国内の中小企業の表彰基金を立ち上げられる等、社会貢献にも最後まで尽力されたそうだ。祖父の生き方とも重なるものがあり、また小倉の英雄「無法松」の生涯のようにも感じられ、僕自身も喜びに満たされた。自分の価値観を再認識させていただく感謝の機会となった。

 

合掌


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