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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
このROCKY通信では、僕が社会起業家の育成・支援に携わっている中での経験や僕自身の人生での学びや考えをシェアさせていただいています。
皆様の起業のお役に立てられましたら幸いです。
ファーストペンギン、つまり特攻隊長?
ここのところよく“ファーストペンギン”という言葉を耳にする。メディアでも巷でも。なんとなく語感でイメージは出来るが、調べてみると最初に海に飛び込むペンギンらしい。あらゆる天敵の潜む海中に、群の中で率先して飛び込む勇気あるペンギン。雌雄老若は分からないが、僕が敬意を覚える生き方だ。野球なら野茂さん、ゴルフなら青木さん、ボクシングなら西城さんだ。
なんともユーモア溢れた心温まる素敵な言葉。その飛び込む様子はテレビでも見たことは無いが、不思議と既視映像として脳裏にあった。
永塚さんほぼ手作り(DIY)のコメラザ内装
永塚真也さんは、今年度の「やまぐち社会起業塾」のファーストペンギンとなった。塾での最終プラン発表が1月21日。そして1月26日、山口県長門市でバルレストランを開業した。コンセプトは米粉を使ったラザニア専門店。その名は「コメラザ」。塾の期中では、コンセプトが尖り過ぎているので、もっと多くの客層に訴求できるものにすべきかと悩みに悩んだ。なぜラザニア?なぜ米粉で?
彼には長年のイタリア料理修行の経験があるし、やろうと思えば色々な地中海料理を提供することも可能だった。だが決断したのだ!ラザニアは自分自身が一番好きな料理で、地元食材の特長も打ち出せる。長門は山と海に挟まれた日本海沿岸の美しい町だが、人口減少と高齢化に苦しむ街だ。しかもレストランの立地は野良猫すらも見かけないシャッター通り。この決断は本当に苦渋の想いだったと思う。僕は永塚さんのその決断に最大の敬意を払いたい。
永塚さんの米粉ラザニア
おそらくラザニアが何たるかを知る人は市民の3%もいないと思われる。塾のスタディツアーで長門を訪問した際に、地元の方々とたくさんの会話をしてみたが、そもそも外食ニーズはあまりない。外出するのも億劫だという方々が殆どだった。外食一番人気はソウルフードの焼鳥屋(長門地鶏を使用しており、確かに美味い)。どう考えても永塚さんのアイデアはマーケティング理論的にはペケだ。市場が存在しないばかりか一から自ら掘り起こして創らねばならない。うーん、なんだか僕がベーグル専門店を始めた時と同じ流れだ、、、
ただ、僕も創業時にその手の批判を業界人から散々浴びてきたが、いつも強気で反論した。マーケティングは後付けの学問だ!既に出来上がった市場には通じるが、新たな市場に挑む時は関係ない。自分のアイデアが絶対に受け入れられる、きっと顧客から必要とされるようになるという「根拠のない自信」が全てだ!と。
キッチンワークを楽しむ永塚さん
永塚さんにはぜひとも成功してほしい。彼の真心のこもった手作りのラザニアで。地元の魚介や野菜をふんだんに使ったローカルコンセプトのレストラン。永塚さん流スローフード。ロスになる生鮮食材も積極的に取り入れる。米粉をベースにすることでグルテンフリーとなり、アレルギー顧客への対応も可能となる。今は汗をかきかきワンオペで調理と接客に走り回っている。自分の信じる道を大いに楽しんでほしい。そしていつの日か後進への道を拓いてほしい。
地元のお客さんを大切にしてください
新婚の奥さんを大事にしてください
そしてご自身とビジョンを大事にしてください
「ファーストペンギン」
ググって調べるとなんと長門の隣町の萩市が舞台のドラマのタイトルだったそうではないか!これも不思議な話だ。全く山口には縁もゆかりもない柏市出身の永塚さんが、長門に辿り着いて人生を賭した料理道の集大成。エリートサラリーマンからの心機一転。彼は転機をチャンスに変えた。自分が世の中に貢献できるのは料理人として、というソーシャルミッション。そしてそれを行動に移した勇気と決断。
狭き門より入れ
−マタイによる福音
米粉のラザニア専門店 コメラザ
長門市には西日本一に輝いた名湯俵山温泉、CNNの「日本で最も美しい場所31」に選出された元乃隅神社、中国地方一の棚田などの観光名所も豊富です。ぜひ観光を兼ねて永塚さんのコメラザにお立ち寄りください。
永塚さんプロデュース、地元食材を使った棚田米ビスコッティと3種のパスタソース