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【 ROCKY通信 】第150回 2023共通テスト そして受験ノスタルジー1982

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【 ROCKY通信 】第150回 2023共通テスト そして受験ノスタルジー1982

先週末実施された2023年の共通テスト 東大会場にて

 

先週末、共通テストが実施された。テレビのニュースで試験風景をやっていたのを横目に、自分の40年前を思い出していた。この手の試験は共通一次→センター試験→共通テストとその名を変えて変遷してきたそうで、僕は共通一次を受けた。問題は年々難化してきているそうだ。科目の選択法も国公立だけでなく私立も採用している試験なので複雑多岐だそう。今日はノスタルジックに自分の受験時代を追想してみたい。

 

受験がらみで最初に洗礼を受けたのが、高校の入学式の日だった。地元の進学校に入学したのだが、理数科という理数系科目を3年間重点的に学ぶコースに入った。理系に進学したいからという理由では無く、事前の学校説明会の時に文理系を問わず難関大学への進学が良好だという理由で安易に選んだ。クラスガイダンスが終わり、休憩時間に周囲のクラスメート達と雑談した。

そして「林くんはどこの大学に行くの?何の勉強するの?」と聞かれた。もちろん何も決まってはいない。返答しあぐねていると、「僕は〇〇大でロケット工学を学んで、将来はNASAに行くんじゃ」「僕は△△大で遺伝子の研究をして難病を解決するんちゃ」「僕は××大で機械工学をやって日本一速いバイクを作るんじゃ」と言った意見が飛び交い盛り上がった。これはとんでもないクラスに来てしまったと。何を学びたいかならまだしも、その後のビジョンまで持っていたのが驚きだった。

 

母校 山口県立徳山高校

 

その後彼らの多くが初志を貫徹し、目指す大学に現役で入っていった。目先の合格だけでなく、進学の目的まで持っていた彼らは強かった。30年ぶりの同窓会で話すと、ほぼ仕事も目標としていた職についていた。それに対し僕は、、、3年進級目前で文転した。理数系科目にどうしても興味が持てなかった。

一番好きだったのは倫理社会の哲学の授業。これにはハマった。当時70代半ばの臨時教員の松浦先生。噂では京大で法哲学を学んだ先生とのことだった。とても話が面白く、一言一句聞き入った。とくに西洋哲学の斬新な考え方が新鮮だった。一時期哲学科に行くことも夢見たが、紆余曲折の果てに最終的には経済を学んで、実業家として海外雄飛したい、そしていつか起業したいとおぼろげながら思うようになった。

 

3年になるとクラスには受験スイッチが入った。僕は何だか勉強に身が入らず無為に時間が過ぎていった。全てが半端だった。秋の文化祭を終えると、3年生全体にもスイッチが入った。6限の授業が終わると、校舎の廊下には誰もいなくなり、何だか取り残されたような寂しい気持ちだった。1月になり共通一次を受けるために会場のある県庁所在地に出向きビジネスホテルに2泊した。クラスメートと雪の中を試験会場までの長い道のりを歩いた。その時の寒々しい心象風景はそのまま試験の結果を表しているものだった。

翌朝、学校で自己採点を行なった。模擬テストでもマークシート型の共通一次テストは苦手だったので納得のゆく結果ではなかったが、それほど悪い点でもなかった。しかし第一志望の大学の合格圏には及ばず、僕の現役受験のプロセスはここで終わりにした。面白かったのは、優秀なクラスメート達は1時間ほどで帰って行ったことだ。間違いの箇所が少ないから、自己採点に時間を要さないのだ。僕はほぼ午前中いっぱい掛けてこれでもかと採点した。何度見直しても点は変らなかった。笑

 

共通テスト試験会場内の様子

 

今にして思うと、共通一次テストとは記憶力と解答スピードを問うだけの試験だったような気がする。何だか無味乾燥な試験。それこそAIがあれば人間に求める必要のないタイプのもの。

それに対し現在の共通テストは同じマークシート式でも思考力や判断力を問う問題が多いそうで、その分受験生の準備は大変だと思う。科目数も僕の時はシンプルに5教科7科目だったが(それでも大変だった)、今は受験する大学によって6教科30科目からの選択だそうだ。英語のリスニングだけでも60分も掛けて行われるとは驚きだ。

そのような高度な試験が国の主導で行われているなら、各校で2次試験をやる意味がどれほどあるのかと思ったりもしたが、学校ごとで欲しい学生のタイプが異なるのであればその選別のために行うものなのだろう。

 

このメールを読んでいる人に受験生はいないだろうが、その親御さんはたくさんおられると思う。僕もその1人だ。受験の是非については議論され尽くされてきたし、最近ではSDGsの文脈ですらも語られている。僕は子供が自分で主体的に選んだ受験であればゴールを目指して挑めば良いと思っている。人生は決断と選択の連続であり、受験イベントを通じて人生最初のそのような経験をすることは、成否を超えた意味があると思うからだ。そして親は経済力の許す範囲でその選択肢を叩かせてあげられたら良いと思う。


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