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【 ROCKY通信 】第138回 1986年秋 親友Tの人生を変えた統一教会

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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
 

このROCKY通信では、僕が社会起業家の育成・支援に携わっている中での経験や僕自身の人生での学びや考えをシェアさせていただいています。
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【 ROCKY通信 】第138回
1986年秋 親友Tの人生を変えた統一教会

統一教会問題がテレビで毎日のように報じられているが、団体の名称が世界平和統一家庭連合に変わっていることも知らなかった。今日は政治論、宗教論ではなく、統一教会と自分との1度きりの接点について書きたい。

日々ニュース番組を目にして大学時代の辛い記憶が胸中を去来した。辿り着くのは1986年秋だ。もう40年近く昔の話だ。僕には当時、親友がいた。大学1回生の時から語学のクラスが一緒で、テニスサークルも一緒だった。お互いのアパートで夢を語り合ったりもしていた。僕とは違ってきちんとした、良識のある本当にいい男だったので、ある種リスペクトもしていた。

大学3回生の秋頃だったろうか、Tは急に学校に来なくなった。たまに大学生協で会うと、なぜか場違いなリクルートルック(就活ファッション)のような格好をしていた。言葉数はもともと多くない彼だが、さらに寡黙になった印象だった。頰はこけ痩せ細り、目だけは爛々としかも鈍い光を放っていた。優しくノーブルな顔立ちの彼からは程遠い風貌に変わっていた。一体彼に何が起こっているのか?Tに問いただしても答えは無い。

 

何の用事だったか失念したが、その秋、大阪梅田に行った。JR、阪急梅田、阪神をつなぐ巨大ペデストリアンデッキを歩いていた。ある男が近づいて来て、アンケートにご協力してくださいと言われた。目線が合った。Tだった。「お前何しとるんじゃこんなとことろで!?」Tはバツの悪そうな顔をして、アンケート活動をしている仲間のところに逃げ戻った。「林、この話はまた今度学校で会った時にするから」と言われて別れた。

 

それから数ヶ月経って、学校で会った。僕は学食を避け、喫茶店に移動し彼に問いただした。一体何が起こっているのか、と。最後の最後にやっと答えてくれた。「統一教会の活動に参加している」と。あえて信者になったとは言わなかったのは、まだ数%の理性が残っていたのかもしれない。そして痩せこけた理由は、毎晩徹夜に近い状態で教団のビデオを見せられているからだと言っていた。それこそ洗脳教育、マインドコントロール。

それから何度か彼のアパートを訪れ、議論した。もちろん僕はアンチ統一教会だった。と言うよりも、単にTに元の彼に戻って欲しかった。東大に進学していた友人から、「林さ、今東京の名だたる大学には原理研という組織が猛威を奮っていて、多くの学生が洗脳されている。教授の中にも原理研の息がかかってる奴もいるんだ」と聞かされていた。原理研というのは、統一教会の大学における別呼称だったようだ。

Tの自宅に電話すると、お母さんがTはここのところ家に帰ってこないと言う。遠征してTの実家にお伺いすると、2週間以上家を空けることも多いと言う。しかしお母さんはまだ自分の息子を信じようとしているように感じられた。僕は決意した。教団に乗り込もうと。

 

Tから、Tが生活しているのは大阪の某駅(どこか忘れた)近くにある合宿所だと聞いていた。探しに探して夜の8時頃にたどり着いた。Tは出てこなかったが、何人もの同世代の男女が入れ替わり立ち代り出て来て応対された。皆、根は純朴で優しい人ばかりだった。しかし、皆さんどこか弱さも同時に感じられた。きっと何らかの堪え難いことがあり救いを求めて入信したのだろうと思った。

Tもその時、父親を失ったことや失恋などが重なり、本当に辛かったのだと思う。教団の合宿所の人々としばし議論した挙句、最後に「あなたはサタンだ」と言われた。苦笑するしかなかった。

Tとは4回生になってからは、数度だけ生協の書店で遭遇した。彼の就活(当時は4回生の8月スタートだった)の心配をして、色々と説得したが、教団関係の企業に就職が内定しており何の迷いも無くその方向に進むと言っていた。僕は東京で就職し、関西に残った彼とはそれきり縁が切れてしまった。TVで教団のニュースを聞くごとに(1980年代後半はよく取り上げられていた)、またふとした時にTのことを思い出していた。

 

2010年の前だったろうか?僕がキー局のTV番組で放送してもらったことがあった。Tはそれを大阪で見たらしく、当時経営していた会社の代表番号に電話をくれた。心の底から嬉しかった。連絡をくれたこと自体も嬉しかったが、統一教会を抜けたこと、結婚して娘を授かったこと、経営学の先生をしていること等々近況を聞かせてくれた。

 

あれからもう10年以上経つだろうか…

きっとTは元気でやっていることと思う。

人間には誰しも弱い面がある。宗教が何千年にもわたって人類に必要とされているのはその為だ。しかし、そこにも本物と偽物は存在する。ビジネス(金銭)ありきであれば、それは偽物だ。その世界では、信者は営業マンにされてしまう。本物はあくまで信仰に基づく救済、規範とする神への誘導が主眼であるはずだ。もちろん宗教も存続するには金が必要だ。世界史を紐解けば合点のゆく話だ。しかし最終的なその区別は、理性を持って判断したい。自己の直感とともに。

 


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