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【ROCKY通信 】第110回 感情的分析論 ゴロフキンVS村田 2022/4/9

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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
 

このROCKY通信では、僕が社会起業家の育成・支援に携わっている中での経験や僕自身の人生での学びや考えをシェアさせていただいています。
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【 ROCKY通信 】第110回
感情的分析論 ゴロフキンVS村田 2022/4/9

第9ラウンド、タオル投入によるTKOの瞬間

 

土曜の夜、結果が出た。村田諒太の第9ラウンド、タオル投入によるTKO負けだった。これから感情論的な敗因分析をする。のめり込んで、感情移入して書くので、話が長くなる。お忙しい方はすぐに閉じてください。笑

 

期待通りの、いや期待以上のスタートが切れた村田。前回書いた僕がイメージしていた通りの戦略を遂行した。初回からゴロフキンをボディで追い詰め下がらせる事ができた。それも左でなく意表を突いた右ストレートによるボディブロー。あのゴロフキンが明らかに焦り、不安の表情を見せた。宿敵サウル・アルバレスとの連戦でも見せなかった表情だった。そして強烈な右カウンターもヒット。ゴロフキンでなければ間違いなくダウンしていたはずの強烈なブロー。これはひょっとすると本当にKO勝利もありえるなと大きく期待を抱かせた瞬間だ。この時点できっと村田も手応えを感じていただろう。距離感も中間から接近距離で、理想的なものだった。

 

初回から仕掛けたボディ攻撃

 

得意の右バズーカ砲が炸裂した第2ラウンド

 

しかし、しかし。中盤第5ラウンドから岩の塊のような左ジャブが村田を捉え始める。それに反し、村田も得意のはずの左ジャブがゴロフキンの頭を弾けない。でも大きな流れはまだ村田が支配していると思っていた。村田も前に出てパンチを振るうが、ゴロフキンのショートブローが鉄壁の村田のガードを割る。特に左フック、アッパーや右フック。村田のガードに対しほんの拳1個分外側から差し込む。パンチにうまく角度をつけているのだ。秘術。そして上下左右に強弱をつけた多彩なパンチで村田の戦力を削いでゆく。序盤の劣勢にも関わらず、村田のプレスにも冷静に対処。このあたりが歴戦のツワモノなのだ。なぜかヒクソン・グレーシーを思い出していた。

 

第6ラウンドに入り、アレ?と思い始めた。村田の動きが明らかにおかしい。前には出ているが、足に踏ん張りが効いていないのだ。そしてゴロフキンの右でマウスピースを飛ばされた。コーナーに戻る時の足取りが心許ない。嫌な予感がして来た。テレビで観戦している分には、ゴロフキンの連打は必殺パンチには見えなかった。しかしその実、継続的な岩石パンチは村田の大脳に着実にダメージを与えていたのだ。とはいえ依然として、この中盤さえ我慢して乗り切れば、終盤でのTKO勝利が待っていると揺るがぬ“イロジカル・シンキング”(非論理的思考)が僕を支配していた。結果論になるが、ここが天下分け目のラウンドだった。村田の踏ん張りどころだった訳だが、主導権はゴロフキンに移ってしまった。 

 

中盤、容赦なく村田を追いこむゴロフキンのパワーショット

 

第7、8ラウンドと流れは完全にゴロフキンのものになった。村田は勇敢に応戦するがパンチによるダメージと、序盤戦でスタミナを消費したからか、下がる場面が増えてきた。そこにコンビネーションをまとめられた。

 

第9ラウンド、一進一退の攻防の中で村田がロープに詰められ、かなりの数のパンチを被弾した。そしてその流れの中で力まずに放たれた右のショートフックで村田は一回転し、マットに両拳を突いた。生まれて初めてのダウン。ほぼ同時に村田コーナーの田中繊大トレーナーによるタオルの投入。ついにジ・エンド。トレーナーの判断は的確だった。

 

今回の勝負を分けたのは、常に最強の相手と激戦をくぐって来たゴロフキンの冷静を失わない能力。どんな状態に陥ろうと、そこから抜け出せるという絶対的な「自己信頼」。そして試合の流れの中で戦略を組み替えられる柔軟な対応力、判断力だ。中盤から村田は鍵となるボディブローが出なくなった。いや出せなかったのだ。ゴロフキンの考える暇を与えない中間距離でのコンビネーション攻撃で、村田の両腕はディフェンスに使わざるを得なくなったのだ。

 

ガウンをプレゼントし村田の拳を上げ敬意を表すゴロフキン

 

試合は完敗だったが、なぜか清々しい気持ちになった。村田のダメージだけは本当に心配しているけれど。オマエさんは甘いよと言われそうだが、万全の準備をして覚悟を決めて試合に臨み、全てを出し切って負けたのだから何が言えよう?これこそが格闘技だ。あの最高次元で示された純度100%の魂。ただ、ゴロフキンはそれを超える知性を持っていたということだ。最上級レベルのさらにその上のレベルの領域だ。

 

村田は何ら恥じることはない。持てる力の100%出し切った。ただ少々限界を感じた悲しさもある。最上級の戦いでは、戦略やスキルの紙一重の差が勝敗を分けるということを改めて思い知らされたから。そこは日本人がなかなか到達出来ない最後の1%の領域だ。

 

ビジネス的には今回はチャンピオン同士のタイトル統一戦だったわけだが、そんな視点は微塵も持てなかった。本物のトップ・オブ・トップス、ライオンと虎の勝負。ゴロフキンの試合後の真摯で紳士な立居振舞も感動に輪をかけた。僕の永遠の理想のボクサー、“アレクシス・アルゲリョ”の域に達したといえよう。これだから「ボクシング愛」は止まらない。

 

さあ村田さん、これからどうしようか?まだ現役ボクサーとしてやり残した仕事はあるかい?ゴロフキン以外のチャンピオンからタイトルを奪ったとして、ハッピーになれるかい?ボクシング以外の仕事で鎬を稼いで、ハッピーになれるかい?

 

僕は正直、引退してもらいたいと思っている。周りに気を遣う人だから、今回の試合への御返盃の義務感を持ちそうだけど、あなたはライオンと命懸けの戦いをしたんだ。試合後の止むことのない満場の拍手がその答えだよ。次のステージはボクシング界で最高の指導者になってもらいたい。ボクシング以外でも成功できる人だと思うけど、半端ない「ボクシング愛」を持つあなたなら、独自のボクシング思想と論理を併せ持つあなたなら、きっと世界に通じる最高の指導者になれると思う。きっと村田諒太を超えるボクサーを創れると思う。今回、究極の勝負の世界で、あなたから勝敗以上に大切なものを学ばせて頂きました。「勇気」と「誇り」という。心の底からありがとう。

 

Rocky Ⅱ Hiroki

試合後、村田の控室を訪れ健闘を讃えるゴロフキン