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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
このROCKY通信では、皆さんが、人生やビジネスのヒントとなるようなお話をさせていただければと思います。
皆さんのお役に立てましたら幸いです。
タイムズスクエアの風景
初めてNYのタイムズスクエアを訪れたのは1990年だったと思う。ホテルは確かアッパーイーストだった。チェックインを早々に済ませタクシーを駆ってすぐにタイムズスクエアに向かった。そこは驚くべき街だった。まさに世界のオノボリさん大集結!僕もその1人だったので、何をかいわんやだが。笑
ありとあらゆる人種国籍、老若男女、富貴貧賤。辺りには観光客相手のチープな土産屋やいい加減な飲食店が軒を連ね、当時はスリや当たり屋のオンパレード。正直驚いた。これが世界のツーリズム、コマーシャリズムの頂上と言われるタイムズスクエアか!?と。目線を上げると、かの有名なビルボードは華麗に輝いていた。当時はバブル絶頂にあった日本企業のSONY、MINORTA、SUNTORYの文字が躍っていた。目線を下げると世界中からのオノボリ軍団が一帯を占拠しており、そのギャップには言葉を失った。
銀座の風景 (引用:『日刊ゲンダイDIGITAL』)
今月に入り、年の瀬の定点観測で銀座、新宿、渋谷、原宿と歩いて回った。街並みや客層こそそれぞれ違え、街の空気感は35年前のタイムズスクエアと同じなことに気が付いた。ジモティもちゃんといるのだが、海外旅行者のプレゼンスがあまりに強力で、一瞬ここはどこだろう?と思ってしまうほどだった。手にしている買い物袋を見るとGUからCHANELまで様々だが、「これって皆さんのお国でも買えなくないですか?」と聞きたくなった。円安とはいえ旅費宿泊費を使ってまでする買物か?と。
しかし、だ。皆さん実に嬉しそうなのだ。個人だろうがファミリーだろうが、団体さんだろうが人々の顔には喜びが溢れていた。そう、彼らは東京にストーリーを買いに来たのだ。東京という極東の大都会を訪れ、ベースとなる食を楽しみ、ショッピングを楽しみ、そして歴史、文化、風俗までも満喫だ。特にアニメやオタク文化は完全なる来日目的のセグメントだ。
最終的にはそれぞれの好み・嗜好なのだが、幸いにも東京には幅も奥行きもある文化がある。そこにハマると皆さんリピートすることになる。実際知人の外国人は皆さんそうなった。東京と言わず、日本には多彩なコンテンツがあるのにそれがあまり伝わっていなかった。アピール下手な国民性だから仕方ない。ところが外国の方々がそれを見出してくれ、楽しみ方を知ってくれた。日本のツーリズムビジネスはその後追いで俄か仕込みをしてる印象は否めない。
新宿の風景(引用:『U-NOTE』)
でもでも、嬉しいのは東京でマイストーリーを実現しようとする人々がこんなにも増えようとは。小泉元首相が観光立国を掲げ、クールジャパンを標榜した20年前が懐かしい。それがやっと今や当たり前となったのだ。話は変わるが35年前、NYで初体験して感動した「ベーグル」が奇しくも僕の最初の起業のシーズとなった。NYでのマイストーリーの中から生まれた起業だ。
そして日本でも買えるモンブランの万年筆、「マイスターシュティック149」をNYの文具店で買い求めた。起業、ビジネススクール留学を決意した記念として。今も大事にしている。爾来ビジネスでの大事な契約は全てずっとこの149を使ってサインしてきた。こいつは僕のマイストーリーの一部であり相棒なのだ。
渋谷の風景(引用:『IT MediaビジネスONLINE』)
東京もついにストーリー創りの舞台を提供できるようになって来たのだ。海外旅行者たちのパーソナルヒストリーに彩を加え、ひょっとしたら彼らの何かの起点となるのかもしれない。言語の壁さえ壊せれば、東京は本物のコスモポリタンとなれることは間違いない。我々日本人にはDNAとしてのホスピタリティもあるのだから。
そして最後に待たれているのは、間違いなく地方ツーリズムだ。すでにその兆候はある。新幹線で多い時は半分くらいが外国人旅行客だ。数年後には日本人すら知らない地方コンテンツが彼らによって見い出され、SNSで拡散され、新たなスターコンテンツが次々と生まれることだろう。
原宿の風景(引用:『The Sankei Shimbun』)