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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
このROCKY通信では、皆さんが、人生やビジネスのヒントとなるようなお話をさせていただければと思います。
皆さんのお役に立てましたら幸いです。
(左)首相就任時の石破さん(引用:東洋経済ONLINE)(右)衆院選終了時の石破さん(引用:Bloomberg)
政治と宗教の話題は公の場ではタブーと諸先輩から教わって来たこともあり、このロキ通では人物論はしても、政治そのものにはあまり触れないようにしている。しかしここ数か月、首相選出から衆院選にかけてダイナミックな動きがあり、ちょっとだけ感想を述べたい。
正直これまで首相は誰がなってもそうは変わらないと思って来た。限られた任期で、それなりに運営されている会社の社長は誰がやってもそう大きくは変わらないのと同じだ。今日本に望まれるのは企業でいえば長期視点を持ったビジョナリーな創業社長的な側面と、山積する課題を解決してゆくプロ経営者的な側面を併せ持った首相だ。そんな人はそうはいないが、首相になる人は前者であろうとして立ち上がる人が多いと思う。
しかし結局は党内の力を持つ長老政治家や大物議員、党内外の異論等に引っ張りまわされて調整業務がメインとなり、企業の中間管理職のようになってしまう。顔つきも何となく悪くなる。そして自身の掲げたビジョンに向かいリーダーシップを発揮するまでもなく、いつの間にかお役御免というのを何度も見続けてきた。会社でも院政を敷いている先輩経営者や、シェアの高い株主の意向を聞かざるを得ないのと同じだ。
今回は石破さんが自民党の暗部を刷新する期待を背負って選出されたわけだが、さっそくアフターの発言がブレていると散々叩かれている。ナアナアな党内の関係性を良しとしない発言をしていた彼ですら過去の轍を踏むことになるのだろうか?過去の党員の負の遺産も背負わされ、人々から石打たれるなんてまるでキリストのようだ。自らの意思で首相の座に就いたとはいえ、気の毒な気もする。
衆院解散以外、彼は首相としてまだ何もしていない。東アジア版NATOの構想や地方創生等のビジョナリーな公約に取り組む時間をあげても良いではないか。国民による直接選挙ではないので、そういう意識もなかなか醸成されない。それで全く結果が出なければ致し方ない。この調子だと、次の首相が生まれてもすぐに引きずり降ろされて、また同じことの繰り返しだ。我が国の首相の平均在位期間が1年4か月(平成以降)なんて、笑えない。サミットで他国のトップから見向きもされないのもむべなるかなである。
衆院選の結果は自民大敗、立憲大躍進と朝からメディアで連呼されている。これは想像なのだが、ひょっとすると石破さんはこの結果ははじめから想定していた話で、いったん自民党を内部浄化し破算するところからのスタートを切りたかったのではなかろうか。ノアの箱舟のように。むしろ国民に厳しい審判を突き付けられた方が、政治改革を進めやすくなるから。
しかし、ここまで議席数を割るとは思っていなかったであろう。こうなると首相の座すらも危うくなってしまうが、今回の選挙が端緒となり日本が良い方向へ向かうのならそれもまた良しと考えていたのかもしれない。現在の日本はそもそもどの政党がどうのこうのと言っていられる場合ではないのだから。少々乱暴な話ですが、ロキ通は“イロジカルシンキング“がベースなのでお許しいただきたい。
補記
あれだけメディアが事前に煽っていたのに、投票率は53%と過去最低の水準だったという。不思議だ。政治が他人事であって自分事ではないのが根本原因な気がする。となると教育の問題になってくるのかもしれない。