メールマガジンご購読者の皆様
いつもメールマガジンをお読みいただきありがとうございます。
社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
このROCKY通信では、皆さんが、人生やビジネスのヒントとなるようなお話をさせていただければと思います。
皆さんのお役に立てましたら幸いです。
鉄の結束!頼もしき「やまぐち社会起業塾」の面々
このひと月で、社起大がプログラム提供する「やまぐち社会起業塾(以下塾)」の卒塾生たちが県内でソーシャルイベントを3つ実施した。とにかく本気!とにかく熱い!社起大の大切にしているスロ―ガン「動けばわかる」をまさに地で行く彼・彼女らの行動力には敬意を払うと同時に、正直とても誇らしい気持ちだ。またどのイベントもメディア(TV、新聞)で大々的に報じていただき、心より感謝している。
公開イベント「障がい者アーティストの市民権」@周南市
まず先月末には、「七福art」を立ち上げしたばかりの松村瞳さんが障がい者アートの国内第一人者の福島治氏を招聘し、周南公立大学で障がい者アートに関するシンポジウムを開催した。同時に、彼女の考えるソーシャルビジネスのキックオフの場ともなった。最初に障がい者アートに関する基調講演で福島氏がその課題と可能性について熱く語った。その後、松村さんによる司会進行のもと地域の福祉関係者、官僚、企業経営者らが思い思いに障がい者支援について意見交換が行われた。そして最後に松村さんの考えるソーシャルビジネス(=障がい者たちが制作したアートを県内企業や公共施設にレンタルするというビズモデル)を高らかに宣言した。
周公大の会場には百数十名の障がい者施設関係者、福祉関係者、行政関係者、市長、県会議員、地元企業の経営者そして大学生、一般市民までが参加し,それは強い磁力の働く特異な場となった。イベントのオペレーションは塾の同期生たちがほぼ総出で担い、同期の門出を心から祝った。イベント終了後も参加者たちの多くが周公大の大教室を去ることなく延々と議論をしていたのが印象的であり、イベントの成功を物語っていた。その成果もあってか、すでに営業実績もしっかり出ているようだ。松村さんは家族や地域の人々の協力支援を得て理想的な門出、はじめの一歩を実行することが出来た。近い将来、周南地域を世界における障がい者アートの聖地にしよう!
公開イベント「きもので成人のお祝いをしよう」@宇部市
次に、宇部市において障がい者の「きもので成人のお祝いをしよう」が実施された。これは3か月遅れの手作り成人式で、当事者を長女に持つ卒塾生の江本真弓さん主催の団体「セレーノ四つ葉」によるものである。地元の観光名所でもある名所常盤公園の大ホールを貸し切ってのもので、こちらも100名を超える当事者およびその関係者が集い、子どもたちの成人を皆で祝った。当事者の子たちは羽織袴や振袖に身を包み、とても幸せそうだった。ちょっとプラウドな感じもあるようでとてもそれも可愛いらしかった。僕は今回一つだけ好奇心があった。果たしてこの子達はこのイベントの趣旨を理解しているのだろうか?というものだ。セレモニー中ずっと動静を拝見していたのだが、どの子もちゃんと理解しているという結論だ。親御さんへの御礼のシーンでは泣いている子もいた。堪らず親御さんは号泣していた。その深い孝行心、親心に共感し、こちらまで頬を濡らしてしまった。
式を通じてとてもあたたかい会場の空気が心地よく、僕もその空気感に浸らせてもらった。このようなイベントに参加することは初めてだったが、気付けば周囲の人々に同期している自分がいた。会場参加者の中には当事者も多く、声を出して騒いだり会場を彷徨する子もいたが、何も気にならなかった。彼らこそこの会場の、いや社会の大切な一員だという気持ちになれた。それも自然に。あらためてダイバーシティという概念を「体感」することが出来、とても喜ばしかった。今回のイベントは当事者およびその関係者が主体だったが、もっといろいろな人々にも参加して欲しいと思った。特に一般市民。これは他人事ではないのだ。共事者として、この子たちの将来を親御さんたちと共に支える手立てを考えよう!重度の障がい児を持つ塾の1期生の一言が今も心に残る。「障がい児の出生問題は、誰かが引き受けなければならないんです」という。これは確率論の話だというのだ。健常者はラッキーだったと自己安堵に浸るのでなく、当事者の人々を陰からであっても支える義務があると感じたからだ。今回は2つの財団からの支援があったことを知り、またその責任者と話をする機会にも恵まれたが、企業がこのような支援の輪をさらに拡げられるような世界を実現したいと思った。
30年ぶりに開催 いい雰囲気の「子ども土曜夜市」@柳井市
最後に、先週末行われた柳井市の子ども土曜夜市。なんでも30年ぶりで行われることになった祭というではないか。塾の伴走支援者でもある有近まちこ県会議員が市とともに主催した地域イベントだ。塾からは現役保育士の白石恵さんが音頭を取って塾生から有志を募り、“実演スライム”のブースを設けた。卒塾生のOBOG組織である「YSE」としての初の実施参画イベントでもあった。
祭は夕方4時開始だったのだが、時間の経過とともに子ども達が出てくる出てくる。笑 ついさっきまで誰一人歩いていなかった駅前通りだったのに。未就学児や小学生が主体の祭なのだが、親御さんも子ども達に負けないハイテンションで参加していたのも微笑ましかった。スライムのブースはたこ焼き屋台と並ぶ人気ブースとなった。実は僕もスライムを初体験させてもらったが、あれは実に楽しいね。五感のうち日常もっとも人間が疎遠な「触覚」を存分に楽しむことが出来るから。子ども達は遊びとはいえ真剣そのもの。3つの素材を組み合わせて割りばしでネリネリする時のスライムの強いネバネバへの挑み。そして混ぜ合わさったスライムを両掌でコネコネしたりニギニギしたり、指先でツンツンしたりする楽しさ。あと面白いのがビヨーンと引っぱったり、指先ではさんでブラブラさせたり。思いのほかブラブラ感が新鮮で僕も思わずプチ興奮。視覚面でも思い思いに形を作れることや、異なる色を組み合わせたりすることで新たな発見が。
本イベントで、「祭」は子ども達にとり大事な人格や価値観の形成要素だと実感した。社会学的にも教育学的にも、そして民俗学的にも。祭には大人が果たすべき重要な役割がある。僕は子ども時代の学校行事以上に、地域で参加した祭のことはしっかり覚えている。そして今もたまに回想することがある。このような原体験は子供の人格形成にも直接間接に影響を与える。家族や友達との大切なあたたかい思い出にもなるし、郷土意識ひいては自我の原点にもなるかもしれない。そう、子ども達の潜在意識にそれらが隠座することがその子のアイデンティティーの大事な構成要素になるのかもしれないのだ。いや、間違いない!笑
ピンクのスライムお餅 ママにプレゼントしちゃおうかな
「毎日新聞」障がい者アート支える時代に
「山口朝日放送」障がいのある人の成人式
「NHK 山口 NEWS WEB」柳井の商店街の「土曜夜市」約30年ぶりに復活