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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
このROCKY通信では、皆さんが、人生やビジネスのヒントとなるようなお話をさせていただければと思います。
皆さんのお役に立てましたら幸いです。
先週に続き、感動の買い物体験の話を。今回はサービスではなくモノだ。モノで感動するのは僕の場合は大概デザインの場合が多いのだが、今回は珍しく機能の話だ。
仕事で使っていた黒のスニーカーがポシャったので、新しいのを買いにアウトレットに出かけた。スニーカーにはそれほどこだわりはなく、消耗品と考えている。いつも色と形とブランドで選ぶ事にしている。今回も予算は5千円。10分で買い物は終わる予定だった。
早々に候補は2つに絞られた。予定通り色は黒、アディダス製で5千円を少し切る価格。
ところが、、、
念の為にともう1周店内を回っていると、ある展示してあったスニーカーが話しかけてきた。「買うのは俺じゃない?」と。後ろに貼ってあるチラシには「靴べらの要らないスニーカー byスケッチャーズ」とあった。グッと引き込まれた。なぜならここ2年くらい、外出時にスニーカーを履く靴べらの手間がペインになっていた。そして靴べらが面倒だと、前屈して指でゴリゴリと踵をねじ込まねばならない。この前屈もかなりのペインだった。スニーカー履くのは面倒!言語化されていない、まさに僕の中の「不」だった。
値段を見ると何と1万2千円。予算の倍以上だ。7千円アップなのだが、決めていた予算の倍以上というのは簡単に納得できるものではない。スケッチャーズというブランドは20代の頃に購入したが、僕の足の形状には合わなくて殆ど履くことはなかった。だからブランドへの印象は良くなかった。
しかし、とりあえず試着してみる価値はありそうだ。店員さんにサイズがあるか尋ねると、展示してある現品しか無いという。人気商品とのこと。せっかくなので前述の候補も一緒に持ってきてもらって3足を試着してみた。
まずは候補だったアディダスの2足を履いてみた。うん、別に問題はない。5千円だしNO PROBLEMだ。最後に件のスケッチャーズをトライした。靴べらなしで、爪先からそっと足を入れてみる。カカトを直に踏み込む。ストンと足が収まった。そうストンと。今までに無い感覚。たとえで言えば、茶道具の2重箱の外箱に内箱を落とし込んだ感じ。これじゃ分からないよね?笑 iphoneの上箱を下箱に落とし込んだ感じ。これでわかって!笑
僕は完全にKOされてしまった。「コレだよ、俺が欲しかったのは!」ジョブスの有名な格言「顧客は、形になったものを見て初めて自分が欲しかったモノに気づく」が、今更ながら腑に落ちた。※
しかも、ソールはしっかりしていて安定感も抜群、装着感は足が包まれるようでいい具合。
紐も初めから編んであり結ぶ必要は無し。しかも洗濯機で洗えるときた。5千円の差以上の価値提供だ。もう外出時の不快とはおさらばだ。レジ決済の時に、気持ちは晴れ晴れとしていた。どんな商売もレジ決済時に顧客との勝負が決まる。
さて意気揚々としてそいつを持ち帰り、近所のスーパーまで歩いてみた。道は勾配になっているので、テストウオークには丁度いい。坂を登ってみた。「なんじゃこりゃー!」
感動した時にいつも口をつく松田優作のキメ台詞。靴底がしっかりと路面をグリップし、坂上に向かって足がパワフルに引き上げられる。今度は逆に坂を降ってみた。やはりしっかりしたグリップで、足首や膝が補強されている感覚。今までに履物では経験したことのない別カテゴリーの商品だ。平地を歩いてみると、やはりグイグイと両の足が前に進んでいく。商品名”GO WALK“そのものだ。例えるならクルマの低速ギアが靴に埋め込まれている感覚。
これは人気が出るのも当たり前だと思った。これはスーパーカーならぬ”スーパースニーカー“だ。
モノの機能でここまで感動したのはいつ以来だろう?
多分、民生品では30年前に初めてMacのパソコンを買った時以来ではなかろうか。。。
※ジョブスは日本の骨董品にハマった時期があるそうで、その際に骨董を仕舞う際に二重箱の経験をして感動したそうだ。摩擦なしで内箱が外箱にストンと収まるあの無二の感触。そしてあの白いiphoneの紙箱を作るよう指示したという逸話がある。