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【 ROCKY通信 】第175回 周公大アントレプレナー実践 “移動販売実践” 海チーム編

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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
 

このROCKY通信では、皆さんが、人生やビジネスのヒントとなるようなお話をさせていただければと思います。

 

皆さんのお役に立てましたら幸いです。


 
 

【 ROCKY通信 】第175回
周公大アントレプレナー実践 “移動販売実践” 海チーム編

 

結果的には成功の海チームの販売実践だった。売上は目標値を超えることもできたし、島民の高齢者の方々との対話もしっかりと行うことができた。悪天候により行程計画が二転三転し、本当に大変な1日だった。

傘も役に立たず、パンツもスニーカーも全く意味をなさない中で、最も嬉しかったのは海チームが本番で1つにまとまることができたことだ。1年から4年までの混成チームであり、山チームに比べて独歩型のメンバーも多く、本番に至るまではチームの状態は決してうまくいっているとは思えなかったからだ。

 

豪雨に見舞われた山チームの販売の翌日土曜日、離島にて海チームの移動販売を行った。前日のひどい雨で地域に避難勧告も出ていたこともあり、前夜に海チームのリーダーから「明日は本当に実行するんですか?」というメールが来た。きっと海チームのメンバーも不安だったのだろう。

大学側とは数日前に万一の打ち合わせをしていたとはいえ、当日ここまでひどい状況になるとは思っていなかった。船会社に聞いても、運行は出発の半時間前に決めるというつれない返事。学生の安全が第一だが、トータル判断で、「明日は余程のことがなければ実行するよ」と返事した。

 

朝6時過ぎに販売車の荷積みに向かった。そこでいきなり島内のアクシデントについて聞かされた。船は多分出るだろうが、離島の方でがけ崩れがあり、車の移動ルートが土砂で塞がっているとの情報だ。移動販売車を運営し、離島を熟知している会社の責任者から、そのルートはもう使えないから販売拠点は数カ所中止するよう言われた。安全第一なので僕は受け入れる他なかった。

その後島に上陸したところ、島の行政の方々が土砂の除去を朝一総出で実施してくれたそうで、問題は解消されたとのこと。最終判断は僕に委ねられ、販売は計画通り行うことを決めた。行政の皆様には本当に頭が下がる思いだ。

 

 

学生しかいない販売車

 

最初の販売拠点は島内で最も世帯数も多く、集客の期待されたスポットだ。しかしそこは急な傾斜地に家屋が立ち並ぶ、足腰の衰えた高齢者には難儀な環境でもあった。今回体育会系の4年生が「重荷は全てご自宅まで送り届けます!」というサービスをすると張り切っていたのだが、販売車の到着を知らせる水戸黄門のテーマ曲を流しても誰も出てこない。よく見ると全ての家屋が雨戸をピシッと閉めて静まり返っている。豪雨に備えているのか、緊張感すら伝わってくる。

最も売上の期待されていた最初の拠点で空振り、次の2拠点も不調に終わった。海チームは、事前の高齢者インタビューで、牛肉、鶏肉、アイスクリーム、そしてなんと魚(離島なのに魚が獲れなくなった)にニーズがあることを知り、そこに活路を見出すべく強気の生鮮仕入れをした。計画通りにいかず陳列商品が減らない中、昼過ぎまで重苦しいムードになっていた。

 

 

少しずつお客さまが

 

その後も雨は降り続いたがやや雨脚は少し弱まってきた。訪れる集落ごとに、徐々に買い物客が増えていった。それにつられるように学生たちもだんだんと乗って来た。いい感じだ。社交性に欠く子も、普段無口な子も声が出始め、表情も明るくなってきた。そうだその調子。

 

 

雨が止み、ついにラッシュが起きた

 

強気で仕入れた肉の売れ行きが徐々に良くなり、魚やアイスもそれに追従した。ミルクコーヒーの試飲も徹底したせいか、コーヒー自体も売れ始めた。商品の売り切りを目指して学生たちは活気付いた。最後のポイントは元小学校(現介護施設)だったが、多くの方が買い物に来てくださり、人だかりが出来ていた。そして島民の高齢者の皆さんとの会話も大いに盛り上がった。気づくといつの間にかチームには一体感が芽生え、雰囲気が実に良くなった。そうなると確信はしていたが、これは見ていて本当に嬉しかった。

 

2日間に渡った移動販売実践。学業、部活、バイトと多忙を極める中で皆んな本当によくやってくれた。このメンバーの中からは、将来起業する子も出てくるだろう。しかしそれに関わらず、自ら事前調査し、計画を立て、交渉仕入れし、接客し、販売し、という一連の流れを体験できたことはきっと彼ら彼女らの中に貴重な体験として残るであろう。

大人たちを相手に初めての折衝にもトライした。売れ残りの不安と闘いつつ思い切った発注もした。地元の高齢者たちと心の交流もしっかり果たした。今回、僕は土俵は用意したが、なるべく口は出さずに学生が自発的に動くように仕向けた。

2ヶ月半の間に色々なドラマがあった。これらの経験が彼らの今後の人生に役立つことを願っている。そして世の中には困りごとを抱えている人々がたくさん存在し、その方々のために自分に何ができるのか?を自問出来る人間になってもらいたいと思う。

 

この2日間のプロジェクトは、地域コミュニティの皆様、オペレーション全般に力を貸してくださった施設の皆様、そしてコーディネーター役を担って下さった市の関係者の皆様のご協力があって成立したものだった。皆様の学生支援への熱意に敬意を表すとともに、この場を借りて心から御礼申し上げたい。

 

帰りの船からの夕景色は感動的だった。雨は止み、空は高く、神々しい太陽が島の上に顔をのぞかせた。

 

 

PS

奇しくも昨日、同じ瀬戸内の隣にある離島内で土砂崩れが起き、道路の一部が崩壊し、100人の島民が孤立しているというニュースを見た。今回の学びから、離島の高齢者たちは本土の病院通いや食料の買い出しすら行けないことが推測できる。何も出来なくて申し訳ない。早期の復旧を祈りたい。

 

帰船からの神がかり的な遠景

 

 

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