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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
このROCKY通信では、皆さんが、人生やビジネスのヒントとなるようなお話をさせていただければと思います。
皆さんのお役に立てましたら幸いです。
広島県福山市熊野町に里山起業家の岡田臣司さんを訪ねた。里山資源をフルに生かした循環型ライフスタイルの提案を目玉にした、ソーシャルビジネスを営まれている。
その活動は多岐で、コアとなる古民家民泊は単なる宿泊にとどまらず田畑での農業体験、林業体験から野山での動植物生態系フィールドワークまである。養蜂にも力を入れており、ニホンミツバチとセイヨウミツバチの2種を飼っているのが自慢だ。さらに自らがハンターであることもあり、害獣駆除(僕はこの表現が好きでは無いが)とジビエを組み合わせたビジネスも展開されている。
昨年の夏、福山市で1ヶ月のセミナーをする機会を頂いた。福山青年会議所と福山市の共催によるものだった。皆様のお陰で、確か延べで100人近くご参加されていたと思う。ソーシャルマインド溢れる参加者が多く、いつにも増して“HOT”なセミナーとなった。
そんな中で印象に残った男性がおられた。自分よりちょっと目上の方かな?と思った。僕のセミナーでは敬愛するローリングストーンズのキース・リチャーズのネタをよく話すのだが、それに最も共鳴してくれた方だったからだ。また昨年末に青年会議所が主催された同市でのシンポジウムにも来て下さった。いつか岡田さんの運営する施設を見学させて頂きたいと思っていたのだが、ずるずると1年近く経ってしまった。
今回は急にお願いしての訪問だった。バスの到着時間がうまく伝えられなかったこともあり、最寄りのバス停で1時間を潰すことになった。しかし、のんびりとした里山の柔らかさを感じつつ眺める新田は心地よいものだった。かいた汗をそよ風が気持ちよく拭い去ってくれた。
車で迎えに来てくれた岡田さんは、ご自身もが取り組まれている田畑、山林、養蜂場などを見せてくれた。そして主力事業である民泊「せとうち母家」に着いた。あまりの美観、センスの良さに驚いた。100年以上経った古民家をリノベされたそうなのだが、絶妙な和洋の折衷感とディテールへのこだわりに唸った。さすがロック親父、やるなあ!と感心していたところに奥様が。
奥様はアーティスト&デザイナーで、古民家のリノベの指揮をとられたとのこと。今回は廃棄された衣服を使ったユニークな椅子を作っておられた。そして東京のIT企業で働かれていた娘さんもこのプロジェクトに加勢することになり、盤石のファミリービジネスとなった。
民泊古民家の隣には奥様と娘さんが中心に運営されているデザインオフィスがある。これがまた抜群に内装のセンスがいい。高台にあるのでオフィスには、心まで軽くしてくれるそよ風が流れ込む。そして音楽もクラシックロックが聞こえてきて僕には快感だった。スタッフの皆さんも生き生きと働かれている。仕事と生活が分離していないのだ。一体化しているのを感得できる。かつて自分も理想のオフィスがそういうコンセプトで、渋谷の松濤でそれを実現したことがあった。それを懐かしく思い出していた。
岡田さん自身のメインテーマの一つに、「自然との共生」という価値観をテーマにした若者の教育がある。ご自身が、アメリカのイエローストーン国立公園でレンジャー部隊の一員であった経験をベースに、自然との関わりで人は成長するという信念を持っている。きっと岡田さんの教え受けた子供達は新たに一生もんの価値観を授かることだろう。ルソーでは無いが「自然に帰れ」と。
さあ、帰りの時間もあるのでそろそろと思っていると、岡田さんが奥から手招きしている。オフィスの奥には岡田さんの書斎があった。そこには、狩猟の弾丸作りのコーナー、フライタイイングの道具からご自慢の半世紀モノのフェンダーのエレキギターまで揃っていた。まさに“オカダワールド”。戸外にはこれまたマニア垂涎であろうご自慢のクラシックバイクが3台。うーん、この人の人生はなんて豊かなのだろう。
「五感が喜ぶ体験を」という岡田さんが名付けたコピーを体現していらっしゃる。思わず自分の残りの人生のあり方を考えさせられてしまう時間となった。
PS
試食させて頂いた蜂蜜はニホンミツバチとセイヨウミツバチから採取されたものだが、本物の味わいにひとときの幸福感を得た。同じ花から取れた蜜とは思えないほど異なる味わいに自然の奥深さを感じた。
せとうち母家HPはこちら
岡田さんの紹介動画(Youtube)はこちら