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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
このROCKY通信では、僕が社会起業家の育成・支援に携わっている中での経験や僕自身の人生での学びや考えをシェアさせていただいています。
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政治が珍しく真剣味を帯びている。それも国民を巻き込んで。連日ニュースで取り上げられている自民党総裁選にも、国民に投票権は無くとも他人事でなく自分事として政治に向き合っているという意味で。オリンピック、パラリンピックを無事終え、残された課題は足元のコロナ問題のみが焦点だ。罹患者数を減らし、重篤者数を減らし、社会活動、経済活動を取り戻す。敵は100年に一度の人類未経験のパンデミックであり、まだ敵の正体が完全解明されておらず状況も変化し続けている中で、今回誰が国政のトップに立っても苦戦は免れないであろう。
自民党総裁選に先立ち、8月22日に横浜市長選が行われ、野党の元公立大医学部教授の山中氏が当選した。この横浜市長選では、知名度に勝る現職市長ほか名うての大物候補者たちが落選し、立憲民主党新人が圧勝した。真の意味で民意が選んだ選挙だったのだろう。メディアでは野党選出議員の勝利、自民党の敗北と言われているが、僕はそういう印象は受けなかった。党派云々というよりも純粋に市民が何が今一番大事なのかという判断で選んだ結果という様に映った。もしそうであれば、与党支持候補の敗北というのが焦点ではなく、本来あるべき民主主義が実現したのだと思う。
自民党総裁選に関するニュースを見ていると、喫緊の課題であるコロナ問題への対処、解決よりも、衆院選も想定しつつ、いかにして自民党が第一政党であり続けることができるか、が優先しているように見える。大前提として自民党が与党であり続けることが日本の未来を保証するということなのだろうが、自民党議員の人々も自らの進退にかかってくるわけだからそうならざるを得ないという側面もあるはずだ。
まだ早いが菅首相にはご苦労様でしたと言いたい。あくまでテレビのニュースで見ているだけだが、色々な意味で最悪のタイミングで国政のトップとなり、高齢にも関わらず全力を尽くされている様に感じていた。外野からあれこれケチをつけるのは簡単だが、本当に地獄の1年だったのではなかろうか。テレビの画面越しに、このプレッシャー下でよく頑張っておられるな、健康は大丈夫だろうか?といつも思っていた。感情を押し殺してメディアに対応している場面も何度も見てきた。菅さんでなければ1年前のあの状況下で安倍さんからバトンを受けられなかっただろうと今も思う。あくまで私見だが、違う方であればもっと対応が後手に回ったのでは無いかとも。野党だけでなく与党の議員ですらあれこれ言うが、昼夜を問わずまともに対面議論すらできない環境下で、どう関係者ときちんと意思の疎通を図れというのか?
政界には政治家と政治屋がいる。政治家は理念の実現に自分を賭する人、政治屋はステータスや生きてゆく為に職業として政治を選んだ人。平時には政治屋でも良いのだろうが、こういう時は理念、信念を最低限持っていなければならない。刻々と状況が変わる中で論理性も求められるし、高いコミュニケーション能力や実務能力も必要だろう。1人で全部できるスーパーマンはいないわけで、強みを持ち寄りチームで課題解決に当たらねばならない。ビジネスの世界となんら変わりはない。僕は菅さんのことは政治家だと思っていた。
昔ある政治家がそっと教えてくれた。多くの政治家の仕事はマニフェストを果たすことでは無く、次の選挙に受かることだ、と。政治屋はそれでもいいのかもしれないが、政治家はそれでは困る。しかし最後は国民の一人一人が自分で考え判断し選択するしかない。そしてその結果を自分で受け入れるしかない。今回の一連の政治騒動は民主主義後進国の日本で、民主主義の本質を学ぶ良い機会になると思う。こんな危機的な状況でなければ我々国民が真剣に政治に向き合うことはないからだ。
そういう自分もこれまで政治にはあまり関心は無かったし、雑談の中ですら自分の意見をすることは殆どしてこなかった。宗教と政治の話は触れない方がいいという一般ルールの様なものもあるが、それよりも「文句があるならオマエがやればいいじゃないか」、という観念がどこかにあったからだ。それは今も変わらないが、今回の一連の騒動で、政治の世界ですら一番大事なのは「ソーシャルミッションだ」ということをあらためて認識することができたのはとても有難かった。今後も社起大は「ソーシャルミッション」の普及浸透に努めてゆきたい。
※ソーシャルミッション
社起大で最も重要な概念で「自分の強みや価値観を生かして果たす社会的使命」