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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
このROCKY通信では、僕が社会起業家の育成・支援に携わっている中での経験や僕自身の人生での学びや考えをシェアさせていただいています。
皆様の起業のお役に立てられましたら幸いです。
5年くらい前、たまたま深夜にNHKでハーバード大学の成人発達研究所というラボが1930年代の当時10代だった学生のその後と地元ボストンの10代だった貧困層の成年男子を約80年にわたり合計724人を追跡跡調査し「幸福や健康と相関関係にあるものは何か?」についての結論を出していた。
そのことを思い出して検索して調べてみるとロバート・ウオールティンガーという教授の、「人生を幸せにするのは何?最も長期にわたる幸福の研究から」というものだった。しかし約80年の調査とはそれだけで賞賛に値するもだ。同教授も普通は研究者がいなくなるか資金不足になるかして10年ももたいない、と言っていた。
さて、補足として現代人に「人生の目的」をサーベイしたところ・金持ちになること・有名になることであり、そのためにハードワークするというのが大勢を占めたそうだ。ごく当たり前のことでこれは誰でも予測のつく結果だ。いかにも資本主義国家アメリカらしい結果だ。日本だとまた違った結果になったかもしれないが、概ね同様であろう。
そして、肝心の80年調査で出た結果は意外なものであった。それは「幸福と健康は、良い人間関係を構築することにつきる」というものであった。その中で報告されていたのは、・家族、友人、コミュニティといった周囲との繋がりは、健康や長寿につながる・友人の数の多さやパートナーの有無よりも、身近な人々との質の良い関係性が大事である・50代で人間関係の満足度が高かった人達が、80代になった時にも幸福だった・リタイア後に幸福になったのは、仕事仲間とは異なる新しい人間関係を自ら進んで作った人々である・良い人間関係を保持している人は、記憶力の衰えを避けることができるといった内容であった。
やはり人間は外的な満足だけでは幸福になれないのだ。幸せや健康の源泉は身近な人々との愛情や信頼の共有といった極めて内的なものである。その逆は孤独で、精神、肉体に悪影響を及ぼすそうである。僕個人としては全くもって賛成だし共感を覚える。数年前のレポートではあるが、この示唆に富む結論が、閉塞した現代の真っ只中で個人の価値観の転換を促す契機になればいいと思う。そして個人だけでなく、社会や国家といった単位でも。
さすがハーバードですね。このような地味な、しかし最も根源的な研究を約80年も継続していること自体が賞賛ものですし、驚嘆です。ぜひ半永久的に次世代に継承していって頂きたいです。しかし権威と資本主義の象徴とも言えるハーバード大学の幸福に関する研究成果が非常にヒューマンタッチなもので、少しホッとした気持ちになったのもまた事実でした。早速実践です。
さあ今日も拳を上げて前進だ!