【 ROCKY通信 】第282回 若者の潜在能力に感動!20歳の最終プレゼン | 【公式】社会起業家を育成するソーシャルビジネススクール 社会起業大学

NEWS & BLOGS 一覧

セミナー 一覧

ロッキー林のイロジカルシンキング へ戻る

【 ROCKY通信 】第282回 若者の潜在能力に感動!20歳の最終プレゼン

メールマガジンご購読者の皆様
 

いつもメールマガジンをお読みいただきありがとうございます。

社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
 

このROCKY通信では、皆さんが、人生やビジネスのヒントとなるようなお話をさせていただければと思います。

 

皆さんのお役に立てましたら幸いです。


 
 

【 ROCKY通信 】第282回   若者の潜在能力に感動!20歳の最終プレゼン

 

 

最終プレゼンを終え、どこか誇らしげな学生たち 

 

 

先週は僕の教えている周南公立大学のソーシャルアントレプレナーコースの最終発表会が行われた。本年度は「空き家問題」を社会課題のテーマに選んだ。全国平均を大きく上回る空家率に悩む同地域で(18%,2023年度)、市の空家対策室の方々による現状認識の為に具体的なレクチャーをして頂きつつまずは課題の認識。「世間で言われている空き家問題は、未来にかけて君たち自身の問題にもなるんだよ」と自分ごと化してもらった。そして現時点で自分たちに出来る事は何か?を考えてもらった。

 

同大学は入学者数の増員、新学部の増設で3年後には学生数がほぼ倍増することが明確になっている。しかも公立化に伴い、県外からの進学率が増え現時点でも75%と高い。結果として大学周辺では遠来者へのアパート不足とそれにともなう家賃の高騰という問題を引き起こしていた。そこで生まれたテーマが「地域の空き家問題×学生の下宿不足」となった。それも「シェアハウス化」を軸としたものでこれもチャレンジだ。諸物価高騰で仕送りが逼迫する親御さんの家計の助けになればというもの。プログラムは教室でのレクチャーに終始することなく、フィールドスタディに屋外にも出てもらった。空き家の現地訪問、地元工務店に協働して頂きリノベーション計画策定、また空き家オーナー・大学事務局へのインタビュー等。その後弁護士による法務的な注意点も伝授してもらった。そして絞り込まれた空き家3物件をシェアハウスの対象事例として多面的に考察を加えた。大学事務局とは実際に来年3月の新入生や進級生の居住スペースとして提供できるようにしようと目標設定した。

 

クラスの学生は経済経営学部の2年生が約20名。弱冠20歳。男女は半々。北は帯広、南は鹿児島から入学して来た面々。自分の子供と同い年なので不思議な感覚だ。みな体格は大人だが、まだあどけなさの残る可愛いい学生たちだ。立地条件や居住スタイルの異なる3物件に合わせ、クラスを3グループに分けた。そして各学生にはリーダー、リノベーション、オペレーション、財務、法務と4つの役割のいずれかを担ってもらった。

 

最初は同じ学部といっても知らない者同士も多く、なかなか打ち溶けない雰囲気だった。僕のクラスは常に発言、対話を求めるので黙って下を向いているわけにはいかない。内容の正誤が問題ではなく、自分の意見を述べることを重視している。そして聞き手はそれにリアクションすることが望まれる。そこで自分の考えも逆に整理されてくるのだ。回を重ねるごとにクラスは活性化していった。ベーシックな意見を述べる生徒、突飛なアイデアを出す生徒、強気の決断をする生徒、リスク回避を重視する生徒、、、本当に様々だ。議論を通じてお互いに学び合ってゆくうちに徐々に信頼関係が出来、仲間意識も高まって来る。ラスト1か月は最終発表の資料作成、プレゼン練習をしてもらった。授業時間内では時間が足りず、時間外でも自主的に準備に備えていたようだ。教授によってスタイルは異なるようだが、僕は大いに「個」を発露してもらいたいという主義。AI依存して「正解っぽい意見」をクラスに持ってきても学びにはならない。多少の知識は入るだろうが、そんなものはすぐに忘れてしまうだろう。大事なのは自分で考えて、その意見を述べることだ。そして他者の話を聞くことだ。

 

仮面を外して語る彼らのコトバには、こちらがハッとさせられたり、深く考え込まされることが度々ある。彼らは素晴らしいポテンシャルを持っている。卒業後は企業のモノサシ、社会のモノサシを当てられて、そのフレームの中で生きていくことになるかもしれないが、常に自分の考えを堂々と述べられる人になってもらいたい。そして必要に応じてそれらのフレームをアップデートもしくはチェンジできる人になってもらいたい。

 

さてお揃いのTシャツで臨んだ発表会だが、これが感動ものだった。まさか20歳そこそこの学生たちがたった半期足らずのクラスでここまで成長してくれるとは、、、ご招待した空家オーナーや市職員、工務店の経営者の方々も一様に感動されていた。それは内容も含めプレゼンが期待していた以上の出来栄えだったからだ。議論に基づく多面的考察、枠にとらわれない発想、数字も交えた分析、楽しいデザインセンス、そして学生たちの豊かな個性。

 

地元の有力不動産業者へのヒアリングを僕自身いくつか試みたが、現時点では学生への賃貸、それもシェアハウスとしての部屋貸しにはネガティブなオーナーが殆どだそうだ。今後は大学事務局に本腰を上げてもらい、来春には今回のプロジェクトが結実し、地域の良きモデルとなってもらいたい。そして地域の空き家オーナーのマインドセットに変化が起きることを祈念したい。

 

 


メールマガジン登録(無料)はこちら


    【オンライン開催・参加無料】
    未経験からでも目指せる
    自分の才能を生かして誰かの役に立つ起業家へ
    社会起業家入門セミナー