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【 ROCKY通信 】第280回 新幹線という密室

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社会起業大学 学長の林 浩喜(はやし ひろき)です。
 

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【 ROCKY通信 】第280回   新幹線という密室

 

 

     標的になると逃げ場ない新幹線(引用:朝日新聞2021年11月22日)

 

 先週、新幹線の中で喧嘩の仲裁をした。最近は夜の街を歩くことも夜の電車に乗ることも無いので久々のことだったが、かつてはよくやったものだ。決して楽しいものではないが、いつも周りの人々が他人事なので自分が行くしかなかった。

 

今回は日中の新幹線のぞみの車中でのことだった。品川から外国人の旅行グループが乗って来た。たぶん10人ぐらいだったと思う。仕事をしていたのだが、新横浜を過ぎたあたりだったろうか、怒声が社内に響き渡っていた。「謝れよ、オイコラ!」「聞こえてんのかオイ!」と。車内が凍りつく空気に顔を上げると、前方の席で明らかにそちらの筋系、それも半グレ系の兄さんが外国人の大男に凄んでいる。相手は2Mはある中年の大男だ。暴力沙汰になりそうな気がしたので、その席の方に向かった。何があったのか聞こうと双方に問いかけるが、兄さんの方は完全にキレていて「お前はあっち行ってろ」「口挟むな」の一点張り。相手の外国人は英語が通じない。聞けばロシア人だという。さきほど品川から搭乗してきたグループの1人だった。スマホの翻訳機能を使って示してきたのは「これは大きな問題です」「この男をどうにかしてください」という文章。2人のやり取りを聞いていると、どうもガンづけされたと兄さんがキレてしまっているようだった。冷静になるよう促したが、その気配はない。ロシア人の方も譲る様子はない。下手したら殴り合いか、ひょっとしたら兄さんはヒカリモノを懐から出すかもしれない。さすがに自分の手に負える範疇では無いと判断し、他車両に車内警察(最近よく見かけていた)を探してまわった。

 

警察はいなかったが、警備員をどうにか見つけて連れ戻り状況を説明し説得役を任せ席に戻った。3人は車両の継ぎ目に移動してやり取りが始まったが、自動ドアの向こうなので見ることはできなかった。しかし兄さんのドスの利いた声は漏れ聞こえてくる。既に熱海を通過していたが、このままだと名古屋でも決着していないと思った。不思議なのは車内の誰もこの問題の解決に手を貸そうとしない事。警備の人が半時間くらい頑張っていたが、これは彼一人では仲裁は難しいと判断し、再度警察を求め車両を渡り歩いた。やはりその列車にはいなかった。代わりに車掌と思しき人を連れてゆき警備員と共に説得に当たってもらった。名古屋に到着する直前だった。やっと和解が成立したようで、ロシア人が席に戻った。兄さんの方は他の車両へ連れていかれた。きっと車掌は同じ車両に置かない方が良いと判断したのだろう。

 

僕もホッとした。ロシア人グループは京都で降りていったが、当人が僕の席まで来て礼を述べてくれ、握手を求められた。「気分を変えて旅を楽しんで!」とスマホ翻訳を使って笑顔で送り出した。

 

最初に仲裁に向かった時、恐怖感は無く冷静でいられた。今回の学びはパニック映画ではないが、新幹線という乗り物もこういったリスクがあるということを再認識したところだ。過去に放火事件や殺傷事件などいくらもあったが、どこかニュースの世界の出来事のように感じていた。最近は警備員が増えている印象もあったが、事が起きた時に近辺にいるとは限らない。彼らは警備員がいるんだぞという牽制役にはなるが、問題解決の専門家ではないので、そこは仕方がない。もちろん巡回してくれるだけでも有難いのだが、、、まして今回のように警察官が搭乗していないような場合は、最後は自己防衛しかない。そして新幹線、特にのぞみは飛行機ほどではないにせよ、停車駅間隔が長いのでほぼ密室だ。NHKのチコちゃんに怒られそうだ。「ボーっと席でビール飲んで仕事してんじゃねーよ!」

 


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