社会起業大学 ソーシャルビジネスグランプリ2014夏|起業家を育成するビジネススクール 社会起業大学

社会起業家部門

「共感」de work:地方の中小企業の人材不足を解決する求人サイト
株式会社ルリエ 代表取締役 松本章太さん

地方の中小企業が課題としている人材不足を解消するために、これまでの概念を覆す斬新な求人サイトを展開します。これまで大手企業と同じ土俵で戦ってきましたが、これからは中小企業だからこその強み(技術、働く人、社長や一緒に働く人たちとの距離の近さ)を活かして、アピールすることが必要なのです。一般的な求人情報とは異なり、各企業の社長や働く人たちの仕事に対する”想い”や向き合い方をメインでありのままの姿を正直に掲載し、実際に働いてる笑顔の写真を使用しています。更に給与体系や福利厚生情報は一切一般公開しない代わりに、職場見学を斡旋することで、社長から直々に聞くことができるようにしています。各企業で働いている人の価値観に共感した人をマッチングするのが『共感』 de Workです。


審査員からの言葉(森 摂さん)

ファイナリスト紹介

オルタナでも、グリーン転職バイブルなど同じような分野で展開しており、より一層広げていきたいと考えているため、興味深いプレゼンでした。しかし、3年後400社の顧客を獲得するには、1人では難しいと思います。その点をどのように考えているか?ということ、地方に行くほど営業が難しくなるため、ネット上での戦略や顧客増のための手段などを強化することが重要になってくると思います。色々な企業・経営者がいるので、中小企業だからいいというわけではないし、大企業だから悪いというわけではないと思うのですが、社名ではなく、何で会社を選んで欲しいか?その答えを教えて欲しいと思います。


Crazy project : 気持ちをOpenにできる料理教室 Crazy cooking
Crazy Project 代表 松田政治さん

イタリアレストランでの副料理長と会計事務所という2つの職業を経験して感じた事は、自分の価値観を抑えつけ、パフォーマンスを十分に発揮出来ない人達が沢山おり、周囲に影響され自身の可能性に挑戦出来ない環境があるという事を感じました。つまり、現代には自己表現が出来る人があまりにも少なく、これこそが日本の豊かさが引き起こした目に見えない心の貧困だと捉えています。人は何故心に思いを抱くのか。それは感受性があるからであり、その思いを誰しも形にしたい。そのためには自己表現をし、その先に創造性が生まれ、そこからイノベーションが発生するのだと思っています。人が本気で思いを形にしたいのであらば、自分をさらけ出さないといけない事から、私はこれを「クレイジー構造」と名づけ、このCRAZY COOKINGを通じて、一人ひとりが自己表現出来るようになり、自分の可能性に挑戦出来るそんな新しいあたりまえを作り、次の世代が誇れる社会を創出していきたいと思っています。


審査員からの言葉(高橋ゆきさん)

ファイナリスト紹介

日本の豊かさが生んだ心の貧困という言葉に非常に共感しました。感受性がCrazyの源とプレゼンの中で語られていましたが、おそらく、感受性のベースになっているのは、感謝という言葉なのではないかと思いました。レストランの支配人、味わい深い人生を歩んで行きなさいと言ってくれたお母さまへの感謝の気持ちが感受性のスイッチを入れてくれたのではないか?と感じました。私自身も、More crazyをテーマにチームベアーズを運営しています。これからの時代は、目に見えないものに大きな価値があるのでは?と思いながらサービスを構築しています。Crazy projectがこれから、「感じるという力」をメッセージとして社会へ、たくさんの人々へ提言されていくのでは?とワクワクしています。「夢中な心」「情熱を持って力を注ぐこと」としているCrazyの定義を更に考えられ、新しいものがどんどん生まれていくよう応援しています。


和を以て貴しと為す〜新しくて懐かしくもある弁護士の形
藤川法律事務所 弁護士 藤川真之介さん

弁護士が相談を受ける時、まず相談者のトラブルを解決しなければなりません。そして大抵はそれで終わりです。しかし、相談者の中には、今後の人生でまたトラブルに見舞われたらと不安に感じている方も多いのではないでしょうか。トラブルの原因の多くが、問題解決に向けた対話の不足から生じてしまいます。弁護士が、今後に不安を感じている相談者に、人と対話しながら、主体的に問題を解決できる人になってもらえるようサポートする。そんな弁護士になります。
また、価値観が多様化する世界では、人と人の価値観がぶつかり、対話による問題解決がますます重要となります。弁護士が対話による問題解決の先導者となる。この想いを共有できる弁護士と共に研鑽に努め、この新しくて懐かしくもある弁護士の形を拡げていきます。 そして、「和を以て貴しと為す」世界の実現を目指します。


審査員からの言葉(秦信行さん)

ファイナリスト紹介

グローバル化の中で、多様性が拡大している中で、多様性をどう理解して受け入れるかは、日本だけではなく世界で問題となっています。
日本も米国のように訴訟の社会になる可能性があるが、社会としては健全ではない。
お互いのダイバーシティを理解しあえる方法を個々にだけではなく社会が身に付けられるようになるといいのでしょう。
大学教授と法律家は似ていると感じています。教授として学生同士の問題を仲裁することもありますが、どこかで落とし所を見つけようとするのが、なかなかうまくいかない。同じような問題意識を持っている弁護士がいることに安心しました。


「宙人ワンダーランド」:感性を磨くためのテーマパーク
こころやまと株式会社 代表取締役 内藤明子さん

「宙人ワンダーランド」は、宇宙や自然との一体感を得たい人たちが集まる場所です。日本の伝統文化には、周囲の人や自然と一体化し調和する性質があります。5才の頃から始めた書道を、従来とは違った切り口で提供する新しい書道講座「禅と書の融合」を皮切りに、周囲のアーティストにも協力してもらいながら、さまざまな文化や芸術・スポーツを体験できる場所を作ります。型にとらわれずに独自の道を歩んできた講師から学び、精神性を高める場所、そして参加者同士が交流できる場所を、日本各地に展開します。また、そこで得た感覚を日常に定着させるために、受講者限定のSNSを作ってメッセージを伝えてゆきます。地域色を出した個性的な小規模施設を展開することにより、地域活性化にも貢献します。


審査員からの言葉(渡邊 智恵子さん)

ファイナリスト紹介

私自身も、本来は月暦だったので、月は健康・感情に対する影響が大きいはずなのに、西暦(太陽暦)にしたことで、感性を忘れてしまったのではないかな?と思っています。元々、昔から人が持っている感性を取り戻し、磨いていくというところが、このプレゼンの内容としては、一番大きい部分なのではないか?と理解しています。それに対しては、同感します。女性は女性の持っている感性、男性は男性の持っている感性をもっと磨いていかなければならないと考えています。想いはとても良く分かります。但し、社会起業家としてどのようにビジネス化していくか?がこのプレゼンでは見えませんでした。きちんと生活できる(生計を立てられる)アーティストを生み出すにも、その点をはっきりとさせるべきではないかと思います。具体的にビジネスにしていくとは何なのか?という点を掘り下げていく必要があり、それがないと内藤さんの本当に思い描いている所まで到達しないのではないでしょうか。また、テーマパークにするのはもったいないのではないか?と感じました。これだけたくさんのものを1つのワンダーランドに集めることは難しいし、大きなお金と時間がかかるような気がします。現存のハードを活かし、コーディネートしていくというビジネスモデルの方が、新規で作るよりも早く進めることができるのではないでしょうか。しかし、とてもいいところに着眼されているので、伸ばしていって欲しいと思っています。


地方自治体が民間資金を調達する新しいカタチ〜自治体主導クラウドファンディング
前参議院議員 米長晴信さん

公的機関である地方自治体が主導するクラウドファンディングを利用し、限られた自主財源や国からの補助金に頼る地方財政を支える仕組みを作ります。まずは、より財政的に厳しい「村」からスタートさせます。地方に眠っている素晴らしい観光資源、農産物、特産品などを魅力的な商品として提供し、都会の人たちに堪能していただきます。特定の自治体に税金を納める「ふるさと納税」はありますが、使い道を指定することはできません。「目的税」のような形式にし、お金を出す人が納得する新たな自治体支援となります。来年からは投資型クラウドファンディングも解禁され、使い道は広がってきます。どんどん新しい手法を取り入れて地方を活性化させることで、地方が守っている我が国の多面的機能を維持していきます。


審査員からの言葉(町井 則雄さん)

ファイナリスト紹介

日本財団ではファンドレイジングとして企業やNPOを巻き込んでクラウドファンディングに取り組んでいるので非常に興味深くお伺いしました。日本の制度が変わって、今後、クラウドファンディングで投資型で1億円まで資金調達ができるようになっていきます。クラウドファンディング市場は金額的には欧米とくらべて100分の1と、経済大国第3位としてはちょっと少なかったんですが、今後はどんどん活性化し、ソーシャルビジネスを起こす人たちの資金集めも容易になってくると思うのですが、その一方で投資型の仕組みがフィーチャーされると、従来の善意のお金の流通がマジョリティから外れてしまうという危機感も持っています。そのような中で、今回の発表のような、インセンティブを持って色んな人たちが関われる地域を元気にする仕組みができてくることを期待しています。


SU*TE*KI アフリカで100万人が安心して出産できるクリニック
国際協力機構(JICA) 国際協力専門員 保健課題アドバイザー 杉下智彦さん
ソーシャルビジネスグランプリ2012冬

SU*TE*KIは、これまでアフリカの医療分野で20年間活動してきた経験とネットワークを基盤に、アフリカにおける出産の原点に立ち返り、安全な自然分娩を促進する民間クリニックです。クリニックでは、最新の医療技術と地域社会との連携に支えられながら、安全な自然分娩(アフリカン・バーシング)を促進していくと同時に、女性の生涯をトータルでサポートするするためのサービス(美容、栄養、自然療法など)によって、女性を総合的に演出していきます。さらに、診療費の前払い制度やソーシャル・フランチャイジングといった新しいビジネスモデルを導入し、遠隔地を含む幅広い層の人々に利用していただけるよう工夫されています。このような「健康で美しい」女性のエンパワメントを通して、伝統的アフリカにある家族や社会の素晴らしい価値観を見直し、リバース・イノベーションとして世界に発信していきたいと考えています。


審査員からの言葉(田坂 名誉学長)

ファイナリスト紹介

素晴らしいプレゼンをありがとうございました。特にコメントが必要ないくらい完成度が高いプランだと思いました。
社会起業家には2つの事業があると思います。一つは素晴らしい事業を作り上げて世の中を変えていくこと。もうひとつは生きざまです。自らの人生を通じて若い世代にメッセージを伝えることです。人間としての歩みもメッセージになります。
私が国会議員から日本がこの先豊かになるにはどうすればいいかを聞かれたときに、日本はどこまで豊かになれば我々は豊かになると思えるのか、ということを逆に質問しました。 70年も戦争がなく、世界3位の経済大国で、誰もが高等教育を受けられる国。4万ドルの年棒は世界の中で上から3パーセントに入る。日本にもいろんな矛盾がありますが、世界がどのような状態にあるのかをしっかり見つめなければならない。日本だけが豊かになるという考えは正しいとは思いません。
こういう生き方があるんだということをもっと伝えて頂きたい。社会が豊かの定義は、社会の中で弱い人達に目が行く社会かどうかだと思っています。社会起業大学のミッションの一つに、素晴らしいビジネスモデルを世の中に伝えていくことがあります。ぜひ今後も杉下さんの事業を応援していきたいと思います。