企業訪問レポート

株式会社いろどり

2011年12月5日、徳島県上勝町にある『葉っぱビジネス』で一躍有名になった鰍「ろどり様を訪問し、横石社長の講演を受けてきました。その後、実際に葉っぱビジネスを行っている方のお宅を訪問し、直接現場のお話を伺うこともできました。以下にまずは講演内容からご報告致します。

横石社長は上勝町に赴任して以来、様々な失敗も重ねながら、今や過疎地域(限界集落)の活性化に成功した優れた事例として様々なメディアに取り上げられるまでに成功を収めました(何とついに映画化が決定し、2012年中に上映されるそうです!!)。しかしお話は『失敗から学んだこと』から始まりました。その中で印象的な言葉としては『居場所と出番を作る』というものです。限界集落の中で将来が見えず、愚痴ばかり言っているおじいちゃん、おばあちゃん達に対する『ステージの提供』という考え方です。横石さまは決して『町おこし、村おこし』をしようとは思っていなかったのです。ステージを提供し、それをプロデュースすることで結果地域の活性化に繋がりました。

ここで『葉っぱビジネス』の概要と歴史について少し触れます。『葉っぱビジネス』とは、懐石料理等に使われる『つまもの』と呼ばれる葉っぱを上勝町の山々から採取し、料亭などに売るビジネスです。今年になっても震災の影響などもありながら未だに事業が伸び続けている、というお話には正直驚きました。きっかけは横石社長が会食で料理を召し上がった時につまものを見て、『これは売れる!!しかも上勝町には葉っぱは山のようにある!!』と感じたことから始まりました。

しかしながら、始めは4人でスタートしたのですが、全く売れなかったそうです。その理由を料亭の料理人に聞いたところ、葉っぱが欠けていたり、穴があったりなど、デザインとして使えない、といったものでした。そこで、横石社長は現場を見ることを決意し、全国の料亭を駆け回ることにしたのです。それも自腹で、です。全国津々浦々の料亭を回り、その労働時間は年間4,500時間にもなったそうです(その影響で痛風にかかってしまい、倒れたこともあったとか…)。また料理人からは袋叩きにあったこともあったそうです。しかし、現場を回ることで『葉っぱには意味がある』ことを知り、高齢者の強みを生かすことを考えながら、ビジネスを組み直して行きました。そこでの気付きは情報を活用して、求める人に求めるものを提供する、という仕組みを作ることでした。そのために的確な情報提供をするため、防災無線、光ファイバーによるインターネット、さらに最近はタプレットPCを活用した情報発信を行うようにしました。注文を取るやりかたも工夫しました。高齢者でも使いこなせるような画面にしたり、また高齢者のモチベーションを高めるため、個人の売り上げを公開し、競争を促す仕組みを作ったそうです。結果として、今では年収1,000万円を超える方も出てきたそうです。重要なこととして強調されていたことは、『検証すること』とおっしゃっていました。気付き→検証→実行というサイクルです。検証することで『なるほどなぁ』と思わせる効果があるのです。

お話の後半では、改めてステージ(舞台)を作ることを強調されていました。その舞台は無限にある、それを生かすには『個を磨くこと』とおっしゃっていました。個を磨くことで『ハブとスポーク』が生み出され、それを何本も作っていくことで効果が出てくる、という考えです。例として『夜の銀座』のお話がありましたが、夜の銀座の世界は18:00〜24:00までのわずか時間です。この時間帯で最大の効果を上げるためにハブとスポークの存在があり、その数、幹の太さによって、ビジネス規模が左右されるわけです。そして、昨今のビジネスの流れ(特に震災以降)としては、『応援から共感』に変わった、というお話をされていました。いくら良い物を作っても売れるわけではなく、『あなたが作ったものだから買いたい』『売れるものが良いもの』と評価される時代になった、とのことでした。また、我々へのメッセージとしては、今上勝町では240名のインターン生を受け入れていらっしゃるそうですが、マネージャータイプが多い、ということを懸念されていました。横石社長の思いとしてはマネージャタイプではなく、プロデューサータイプがこれからは求められる、そして、そのプロデューサーを育てることがこれからの課題とのことでした。このメッセージは我々に対して、『プロデューサーを目指せ!!』という助言として受け止めさせて戴きました。横石社長は大変お忙しく、講演後はすぐに青森に向かわれるとのことで、あまりじっくりやり取りをさせて戴くことは叶いませんでしたが、非常に問題意識が高く、またメッセージ性に富んだお話を戴くことができました。

 

講演後は実際の現場を視察するということで、葉っぱビジネスを行っているお宅を訪問させて戴きました。写真は90歳のおばあちゃんです。左半身が不自由なため、片手で作業しているのですが、効率良く葉っぱを商品にしていました。

また、82歳の旦那様からお伺いした話としましては、『冬にも夏の葉っぱを提供できるように』とビニールハウスを立て、ボイラーを用意し、冬でも緑色の葉っぱを提供できる仕組みを整えたそうです。もちろん初期投資は掛かったそうですが、やはりここでも、横石社長がおっしゃっていた、『求めるものを求める人に』という考えが伝わっている極めて分かりやすい事例が実践されていることを感じました。

講演、現場視察から感じたことは、やはり地域の資源をうまく活用すること、そして、舞台を提供し、個の力が発揮できる仕組みを作り上げることなどです。他にも多くの学びがありました。今や『いろどり』は全国でも名の知られる存在になりましたが、その歴史の背景には横石社長のたゆまぬ努力があり、そして、それに共感したおじいちゃん、おばあちゃん達の存在があることを肌で感じることができました。今年は映画として上映されます。既に撮影は終わっているようです。一体どんな反響があるのでしょうか?今からとても楽しみですね。
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