インタビュー

NPO法人Leaves of Grass 代表 櫻井正則さん

精神障がい通院者が250万人という現代社会。
企業への法定雇用率は少しずつ上がってはいるものの、条件を満たしている会社は半数にも満たない。
では、障がい者は働く意欲がないのかというと、支援のシステムが充実すれば働く才能を持った方が多いことは、20年間の社会復帰施設という職場で充分見つめてきた。
在宅雇用の充実で、一人の社会人としての自立を支援する。

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卒業生インタビュー 入学した経緯、社会起業大学での経験について

Q. 社会起業大学の入学を決めたきっかけや動機は何でしょうか?

 私は精神障がい者の社会復帰支援の仕事を社会福祉法人で24年間続けてきました。精神障がいをもった方を見続けてきて、支援の不十分な現状をなんとかしたい、という想いを強くもっていました。
 そんな時に、社会起業大学というソーシャルビジネスを起ち上げるためのビジネススクールができるということを耳にして、想いを実現するのにまさにぴったりの場所ができたと思い、すぐさま申込みました。49歳の時です。

Q. なぜ社会起業大学を選択されたのでしょうか

私は何の条件も見ずに決めました。ソーシャルビジネスを形にするというその理念が自分のやりたいことそのものだったからです。

Q. 社会起業大学で何を得ましたか?

私は、精神障がい者の方への支援をどうやったら事業として継続的に続けていけるのか、ということが課題でしたので、ビジネスの観点を身につけたくて入学しました。
入学後は自分の事業計画を必死に作成しましたら、社会起業大学1期生のグランプリを受賞してしまいました。そのことで、自分が実際に事業を始める決意が固まりました。数ある強豪たちの集まりの同級生の中で、まさか自分がグランプリをとるとは想像してもみませんでした。第1期のグランプリをとったという事実は、その後の自分によい意味でプレッシャーを与え続けてくれました。今、やらなきゃだめだという声がどこからか聞こえてくるようでした。

Q. 社会起業大学で出会った仲間はどんな人たちでしたか?

様々な分野で百戦錬磨で戦ってきた人間が集まっていて、喧々諤々と絶えず議論が絶えません。学ぶことに対して皆、貪欲極まりなく、講義では手が挙がることの連続でした。
卒業後も同期や後輩たちと語ったり飲んだり、ずっと縦と横のつながりを持ち続けています。大切な学友です。そうやって築いてきた学友たちは事業を始めてからも大いに助けてくれています。私が起ち上げたNPO法人Leaves of grass(LOG)でクラウドファンディングを行ったときも社会起業大学の仲間がいたから初めて成功することができました。
精神障がいの世界は、人権の問題もありIT社会になっていてもなかなかネット上で活動を広めていくことができない難しさがあります。ですから、日頃から顔の見える仲間たちとのface to faceのネットワークを築いていくことの大切さを感じずにはいられません。
卒業生の仲間から「障がいの世界がこんなに明るいものとは思わなかった」と言われたことがあります。自分という人間を通して障がいの世界を伝えられたことが嬉しかったです。私は精神障がいの世界について一般社会へ普及啓蒙活動をしています。これから本当に事業を興す社会起業大学の仲間たちが私を思い出してくれて、その事業で障がい者を雇用しようということになったらこんなに嬉しいことはないですね。

Q. 通学にあたっての一番の不安は何でしたか?それをどのように乗り越えましたか?

不安というものは全くなかったです。自分の目指す目的のために通っているわけですから、毎日が楽しくて仕方ありませんでした。

卒業後の働き方について

Q. 卒業後、どのような働き方をしていますか?

私はそもそも精神障がい者の社会復帰を支援する社会福祉法人に勤めています。そこでの仕事は私の問題意識の出発点であり、24年目になりますが今でも続けています。
一方で、社会起業大学を卒業し、グランプリを受賞してからはそのビジネスプランを元に精神障がい者の就労を支援する団体Leaves of Grassを起ち上げ、後にNPO法人にしました。グランプリで発表した事業プランは、受賞後4年ほど経ちますが全くぶれていません。秘めていた長年の想いをグランプリの場で具現化できたからだと思います。
事業内容は大きく分けて2つです。1つ目は精神障がい者のための修学事業です。家から出てこれない方に向けて、パソコン講師のスタッフがスカイプでパソコンの授業をします(インターン)。2つ目は、就業事業です。NPO法人Leaves of Glassが中間支援団体としてHP作成などの仕事を受けてきて、その仕事を精神障がい者の方に請け負ってもらうということをしています(エキスパート)。 精神障がい者の働き方の選択肢は、ほぼ清掃や内職しかないという状況で、この20年間ほとんど変わっていません。スキルをもって仕事をするという選択肢を増やすべきだと思い、この事業をしています。
また、精神障がいをもった方が家の中でもできることを提供することで、勉強や仕事を通じて自信をつけてもらい、自分から外に出ていこうというきっかけが作れればいいなと思っています。

Q. 今の仕事のやりがいは?以前の仕事とどのように変わりましたか?

1つの事業を起ち上げたということは、その責任を背負わなければならないということです。これまでは障がい者の問題について客観的に眺めていたのですが、自分の事業をもってからは、自分が積極的にやらなければ動きません。これまでとは覚悟が違います。自分がやっていく責任、途中で逃げるわけにはいかない責任があります。

皆さんへのメッセージ

Q. 社会起業大学へ入学を考えている皆さんにメッセージをお願いします。

社会起業大学を選んで学ぶというのはどういうことかをよく考えてください。お金をかけるのですから、その分成果を出さなくてはいけません。入学したら貪欲さをもって知識、友人をものにするつもりで是非挑戦してもらいたいです。私は社会起業大学の本科生を卒業して、50歳も超えましたが、直観的に自分の事業に必要だと思ったので、先日は社会起業大学に戻って並木先生の単科コースを受講してきたところです。求める気持ちが大切です。ぜひ挑戦してみてください。