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子どもたちに寄り添い、心の支えとなる「半兄弟」のネットワークを広げ、
家庭でも学校でもない第三の成長の場と機会を創り出す!

今回の社会起業家インタビューは、NPO法人夢職人 代表理事の岩切準様です。岩切様は、東京都江東区を中心に異年齢集団での野外教育活動、スポーツ・レクリエーション活動、文化・芸術活動などの多彩な社会教育活動を多くの若者と共に行っておられます。弱体化した地域社会の社会教育機能を新しい形で生みだそうとする想いや異なる年齢層が学び合う具体的な事業内容についてお話をお伺いします。

岩切 準 氏

NPO法人夢職人
代表理事 岩切 準 氏

子どもたちに寄り添い、心の支えとなる「半兄弟」のネットワークを広げ、
家庭でも学校でもない第三の成長の場と機会を創り出す

<プロフィール>
1982年東京生まれ、下町の江東区育ち。
東洋大学大学院社会学研究科社会心理学専攻修士課程修了。
NEC社会起業塾第6期(2007年度)修了。
ゴールドマン・サックス教育社会起業家・NPO支援プログラム(2009年度)修了。
2005年より江東区内の公立小学校評議員を務める。人情に溢れる東京の下町に育ち、高校時代は地域の子ども会活動をサポートする「ジュニアリーダー」に従事。
その後、大学時代に教育、福祉、心理に関する様々な団体で活動経験を積み、大学在籍中(2004年)に「夢職人」を設立。2008年にNPO法人化し、「特定非営利活動法人夢職人」の代表理事に就任。これまでにのべ3000人以上の子どもや青少年の成長支援に携わる。

Q.25歳時の興味関心、好きだったことは何ですか?

変化/子ども/若者/集団組織

●変化
昔から、物事を変えること、困難な状況を突破すること、様々な事柄を変化させていくことが好きでした。加えて、「人」に対して大変興味がありました。私自身、社会が個人に与える影響、個人によって社会がどのように形成されるのかといった、「社会心理学」を専門的に学んできました。個人の変化を考えた時に、一番劇的な変化を与えるのは、教育です。そのような意味で、子どもや若者の成長に特に関心を持っていました。

●子ども・若者
社会の変化を考えた時に、一番身近な社会という視点では、江東区という地域に行き着きました。今、地元に目を向けると、昔は人間関係が強く、例えば近所のおじさんやお兄さんといった、異なる世代間のつながりが強いものでした。しかし時が経過するにつれ、町の様子も大きく変わり、コミュニティが衰退していく状況に 危機感を覚えました。自分の頃は世代間の交流があり、教科書では学べないことをたくさん学ぶことができました。では、今の子どもたちはどうなのだろうかと。社会や時代が変わっていく中で、新しい形のコミュニティのあり方が必要だと感じました。

●集団組織
小さな頃から、色々な集団活動に参加していました。人は一人では生きていくことはできません。一生を通じて、大小問わず様々な集団に所属しています。人が成長していくうえで、チームやグループなど集団での活動は、決して欠くことのできない場だと感じます。それゆえに、組織を変えることができるコンサルティングなどの業界に大変興味を持っていました。インターンでお世話になった会社でも経営者のヒアリングをし、組織のおける問題の本質はどこにあるのかを常に考えていました。

Q.25歳時の興味関心のキーワードが、かなり密接していますね。

興味関心が絞ることができていたのは、生い立ちが起因していると思います。幼い頃から親でもなく、学校の先生でもなく、利害関係のない大人とたくさん関わる機会がありました。そういった大人との出会いの中で、色々なことを問われてきました。将来のことや社会のこと、正解のないことについて、何度も何度も考える機会があったということです。今思えば、その問われる機会に恵まれていたからこそ、25歳の頃には、同じ年齢の人たちよりも興味や関心がブラッシュアップされていたのかもしれません。今の大学生と話しをすると、興味関心は広いけれど、見識が浅いという感覚を持ちます。これでは、逆に器用貧乏になってしまうことが多いのではないでしょうか。大学入学後は、自分が「これは!」と思うことに対して、他の人よりも時間を割いて取り組んできたと思います。だから、大学時代が最も勉強した時期であり、他の人から見ると、浮いている存在だったかもしれません。

Q.25歳時の関心のある社会問題、身の回りの疑問・不安・不満は何でしたか?

教育/働き方

●教育
教育の場は、三つあります。家庭と学校と地域です。現在、勉強やしつけなど子どもの教育を全て、学校に集中させようとする動きが強くなっています。25歳当時の学校評議員をやっていた時、あれもこれもと学校に求められていることに限界を感じました。家庭では、核家族化する中で、昔のよう親をサポートする祖父母のような存在も少なくなりました。地域社会でも、以前よりもコミュニティが希薄化しており、教育機能として地域の役割が年々脆弱化しています。そのような現状に対して、変化を起こしていきたいと思いました。私自身が地域教育、社会教育で育ったという想いが強くミュニティの衰退に大きな危機感を抱いていたこともあり、地域での取り組みをはじめることにしました。人口の流動性が高い現代社会、特に都市部においては、物理的なエリアとしての地域ではなく、感情が行き交うネットワークのようなコミュニティとしての地域が必要です。単に「昔に戻しましょう!」という話ではなく、新しいあり方を考えたいと思いました。ただ地域教育で、食べていけるのかどうかわからないという不安がありました。既存の取り組みでは、地域の母親や高齢者がボランティアで関わっていることが多く、生活や仕事でとても限られた時間の中で取り組むしかなく、継続性もままならない運営状況を目の当たりにしていました。でも、「今度はキミが子どもたちのために、いつか同じことをしてあげなさい」と言って、自分の成長を支えてくれてきたみなさんとの約束を守らなくてはならないという使命感が自分を後押ししてくれました。

●働き方
大学時代に色々な経験をして、感じていた疑問や違和感、ユニークなアイディアなどを持っている友人って周囲にいませんでしたか?「さぁ、これから!」という時に、就職活動をしながら、決められた型に一生懸命にはまろうとし、その時に感じていたことを忘れ、「社会ってそんなもんでしょ」とフタをしてしまうことに疑問を感じました。同時にその頃思ったことが、何か新しいことにチャレンジしようとすると、周囲が止めることです。例えば、私が大学院の卒業時に、「NPOで起業する」と言った時、大学の就職課からやめるように言われました。もちろん、周囲からも同様のことを言われました。「学校を卒業すれば企業に就職する」ということが暗黙の了解になっており、そのコースに乗らない人は、変人と言われるか、社会から逃げていると言われるかのどちらかです。自分自身の目指すことが企業で達成できると思えれば、企業に就職することも選択肢です。しかし自分の持っている想いと合致する企業がいくら探しても見つからないのであれば、自分で新しくはじめるという選択肢があって良いと思います。大人は、子どもたちに、「チャレンジすることは良いこと」と教えてきているのに、いざチャレンジしようとすると、それを認めない。私は、子どもたちに伝えてきたことについて、きちんと責任と取るためにも起業の道を選びました。

Q.NPO法人設立から現在に至るまでの経緯を教えていただけませんか?

高校生の頃から地域の子ども会活動に取り組み、大学では本格的に心理学を学び、児童養護施設やサマーキャンプなどの子どもに関する様々なボランティアに積極的に参加しました。その中で、子どもたちが人と関わり合う力を身につけ、自立へと向かっていくためには、家庭や学校とは異なる「第3の成長の場や機会」が必要だと感じるようになりました。自分の好きなことや嫌いなこと、得手と不得手がわかるには、たくさんの体験が必要ですし、試行錯誤なくして自信を持てるだけの深い成功体験を積むことはできません。また、親や先生など利害関係のある存在ではない多様な大人との関わりが、自立心や自尊心を育むことにつながりますし、目標とする大人のロールモデルを構築することにつながります。家庭や学校、そして、新しい形の成長の場や機会を設け、それぞれがしっかりと役割を果たしていくことが大切だと思っています。

事業を始めたきっかけは、看護師のシングルマザーとの出会いです。仕事の都合で、土日も出勤することが多く、子どもとゆっくり過ごす時間がありませんでした。子どもは愛しているけれどゆっくりと接する時間が無いことを悩んでおられた時、私が代わりに子どもを連れて遊びにいくと申し出ました。近くの土手で、その子どもと友人数名の遊び相手になったことが、夢職人を始めるスタートになりました。この経験から、こういう機会を作る価値の大きさに気がついたのです。肉親ではないが、心の拠り所になることができる「半兄弟」のような関係を築ければ、子どもの成長を支えられると実感しました。参加してくれる子どもたちも大喜びで、その喜ぶ姿を見て下さった親御さんにも大変喜ばれました。仕事や家庭の都合上、子どもと接する機会が限られてしまう方だけでなく、身体に病気や障がいをお持ちでなかなか子どもを思い切り遊ばせてあげられない方など、このような場と機会を必要としているご家庭と次々に出会うようになりました。これまで目に見えない無数の縁が支えられてきたことができなくなりつつある現状に気づきました。だから、私がこの現状を変えなければと思ったのです。ただ一個人が善意だけで続けていくことは難しく、子どもを預かる上でも安全上のリスクが高いと感じました。きちんと責任を持って、続けていくことができる仕組みを作りたいと思い、共感をしてくれる仲間と組織化していきました。

Q.具体的な事業は、どのようなことをされていますか?

まず、地域子ども体験活動クラブ「キッズクラブ」があります。現在約140名以上の子どもたちに毎月様々な体験活動を提供しています。年会費は、1家庭で年間2,400円です。参加していただく敷居を下げるため、会費を抑えました。私たちは、体験型の教育プログラムのフレームを持っており、それに様々な企画を重ね合わせてプログラムを組んでいます。活動には、現在約70名を超えるボランティアが関わっています。教育は、形や品質が見えにくく、価格を付けにくいものです。でも、アイディアだけでプログラムを作るのではなく、ボランティアの人たちが企画を出し合い、体系化されているノウハウに基づいて安全性や品質をチェックしたりすることで、価格に正当性を持たせています。また、社会人のSEにも協力してもらい、組織のコミュニケーションを活発化させていくためにSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)のシステムを導入しています。このようなお子さんをお預かりして行う活動では、保護者の皆さんにどのような活動なのか、見えにくいという性質もあり、活動の翌日には、たくさんの写真をネット上にアップするようにしたり、担当者から活動の様子などを連絡帳のようなもので伝えるようにしています。他には、「土曜学習」を、地元の小学校と協働して行っています。現在は、参加は任意ではありますが、生徒の7割が参加する状況です。「プレーパーク(冒険遊び場)」づくりでは、地域の親御さんたちの団体と連携し、禁止事項をなくし、土・火・水・木などの自然を使って、子どもたち自身がのびのびと遊ぶことのできる場づくりをしています。夢職人で蓄積したリソースを子どもたちに関する様々な取り組みとコラボレーションできると考え、「土曜学習」や「冒険遊び場」などにも協働で取り組んでいます。

最後は、「キャリア教育」です。簡単に言えば、子どもたちが会社を起業し、地域の祭りで駄菓子屋を運営するプログラムです。きっかけは、子どもたちに実社会や働くことに対する興味関心を持って欲しいと考えたからです。内容は、子どもたちがいくつかのグループに分かれ、それぞれ駄菓子屋の店舗を経営します。同業の中で、いかに差別化をして売り上げを出すか、競い合います。その過程では、「地域社会から働くことを学ぶ」をテーマにし、子どもたちが地域のリソースから学ぶことを重視しています。具体的には、事業計画書や予算書作りをし、実際に銀行に勤めているスタッフからチェックを受け、資金調達をします。地元のジャスコさんや営業職のスタッフから販売について教わりました。地元の商店街や問屋にも協力してもらっています。要求されるレベルはとても高いですが、子どもたちが大人に鍛えられ、自分たちで次から次へと出てくる課題を仲間と協力し合って乗り越えた時、子どもたちは大きく変わります。例えば小遣いの使い方が変わったり、家でも将来ことを話題に話しをしたりする機会が増えたりするようです。経済産業省が提案している「前に踏み出す力」(アクション)、「考え抜く力」(シンキング)、「チームで働く力」(チームワーク)といった社会人基礎力を柱にプログラムが作られています。また、子どもたちを支える若いボランティアスタッフも、関わった子どもたちが劇的に変わる姿を見て、多くのことを学んでいます。子どもたちはもちろんのこと、そこに関わる大人も成長していくことができる場を作ることが重要です。

Q.事業収益はどのように得ているのでしょうか?

各活動の年会費や参加費が大半です。あとは、こういった活動を支援してくださる企業様からの助成金を活用したり、寄付金を募るなど様々な方の助けを得ながら継続をしています。現在、年間の収入は約900万円です。

Q.事業を継続して、どのような社会になるとゴールであると考えられていますか?

心身ともに豊かに成長できる機会が、万人に保障されている社会になることです。そのために私たちは、様々な取り組みをしている方々とつながりあいながら、その一翼を担う活動にしていきたいと思っています。子どもや若者が「やってもダメだろう」将来に希望を持てない、これが最大の日本の問題だと感じます。これからも社会環境は、短いサイクルで刻々と変化していくと思います。その変化に対して、あきらめることなく自信を持って対峙し、人と協力し合い、創意工夫を凝らして乗り越えていくことができる子どもや若者を一人でも多く、増やしていくことができればと思います。

Q.これから社会起業家を目指す人にメッセージをお願いします。

「行動ありき」です。特に、調べるという行為の重要性です。事業を始めるには、「きっとやれるだろう」「たぶん大丈夫」という段階ではなく、「必ずやれる」という確信が持てる段階まで調べることが重要と思います。事業を考えることはすごく奇抜な発想が必要なわけではなく、当事者に会い続けることで、何がニーズかを見つけることです。それは、当事者に会い続けることで、自然と見えてくるものです。徹底して調べるという行為は、是非実践してほしいです。自らの主観を捨て、現実を直視することから逃げないことが重要です。原体験があって、その裏付けが取れていれば、事業で困難にぶつかっても、挫折することはありません。あとは、試行錯誤あるのみです。

名称特定非営利活動(NPO)法人 夢職人
団体の目的子どもから大人まで幅広くまた多くの人に対して、社会教育に関する事業を行い、地域社会における人と人とのつながりを育むとともに、ひとりひとりの社会力の育成に努め、もって地域又は社会全体の利益に寄与することを目的とする。
活動概要若者が地域の子どもたちの教育活動に貢献することのできる機会とスキルを提供するとともに、子どもたちが多様な人との関わりや体験を積み重ねることのできる場を生み出しています。現在、主に下記の4つの事業を中心に取り組んでいます。

@キッズクラブ(地域子ども体験活動クラブ)事業
小中学生を対象とした異年齢集団での野外教育活動、スポーツ・レクリエーション活動、文化・芸術活動などの多彩な体験活動を年間通じて継続的に実施しています。

Aキャリア教育事業
「地域社会から『働く』を学ぶ」をテーマに企業や商店街さんに学習機会をいただきながら、子どもたちだけの力で地域のおまつり等に出店し、経営するキャリア教育プログラムを実施しています。

Bプレーパーク(冒険遊び場)づくり事業
「あれはダメ!」、「これは危険だからダメ!」という禁止事項をなくし、土・火・水・木などの自然を使って子どもたちが自由な発想や独自性、自主性を尊重した遊びを実現できる冒険遊び場(プレーパーク)づくりに取り組んでいます。

C学習支援事業
区立小学校と協働で児童の基礎学力の向上を目的とした学習支援活動を行っています。
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